凶一郎の婚約者さん
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「お姉ちゃんお願い!!!ダイエット手伝って!!!」
この通り!と両手でお願いする六美にあきらは唐突な頼みに驚いたのだった。
「ダイエットって…………六美そんなに太ってな……」
「だって!!!いつも着てる服が入らなかったんだもん!!!このままじゃ太陽の妻失格よ!!!」
めそめそ泣く六美を何とか励まそうとあきらは涙をハンカチで拭く。
「…………一応自分でもジョギングしたり皆にも何とかアドバイス貰えないか聞いてみたりしたんだけど……」
だが常人とは異なる夜桜家の代謝はイカれておりとても参考には出来なかった。
なら、藁にもすがる気持ちであきらに聞いてみたのだが……
「どうしたら痩せれると思う?運動はしてるんだけど……」
六美から食生活を聞いたあきらはうーーんと思案した後にっこりと笑顔で残酷な事を言った。
「食べる量減らしたらいいんじゃないかな?間食しないとか夜遅くに食べないとか」
「ゔっっっっ」
それが出来たら人間苦労はしないのだ。
食べるといけないとは分かっている、分かっているけれど……!!どうしても手が伸びてしまう。
「そうしないようにしてるんだけど……!!
食べちゃうの!!!だって!!美味しいんだもの!!!じゃあお姉ちゃんは空腹の時に目の前に美味しそうな食べ物置かれて我慢出来る!?!?」
「うん、出来るよ、食べちゃいけないんだったら食べない」
「えぇ?そ、そんなさも当たり前のように…………」
と言いかけて六美ははた、と思い出した。
そういえばあきらは自分の意思で食事をとろうとせず食べさすのに母が苦労していたと言っていた記憶がある。
今は普通に一緒に食事をしているがもしかして未だ食欲に関しても鈍麻なのではないか?と。
なら我慢出来るのも自然と納得がいく。
六美はこの人はちゃんと食事をとれているのか不安になってきた。
「お姉ちゃん…………」
「あ、ごめんね、ダイエットの話だったね
うーん、どうしたらいいのかな…………」
「ちゃんとご飯……食べてっ!!」
「うん、………………?あれ?」
いつの間にか自分の話にすり替わっていてあきらはうーーん?とどうしてこうなったのか困惑したのだった。
[マフラー]
「うおっ、寒っ、もうめっきり冬だな……」
「行ってらっしゃい、太陽」
木枯らし一番が吹きもう着込まないと寒い季節がやってきた。
そろそろマフラーの出番だなぁと思った六美はそういえば……あれは完成したのかな?と進捗を見に行くことにした。
この頃あきらは度々二刃の部屋を訪れていた。
黙々と編む事数時間、ようやく完成したマフラーにあきらは両手を上げて喜んだ。
「っ出来たぁ!!!!!ありがとう二刃
マフラーの編み方教えてくれて」
「大したことはしてないよ、……目にクマ出来てるじゃないか」
「あ、ほんとだ……」
夢中でこの頃夜中も編んでいたので睡眠をとることを忘れていたようだ。
「一生懸命なのはいいけどね、あんたはもう少し自分の体を気遣いな」
「はい、すみません……」
「はぁ……で、それでいつ渡すんだい?」
するとあきらの目がすすす……と横に動き二刃はため息をつく。
せっかく出来上がってもこれだ、尻を叩かねば永遠に渡さないだろう。
「わ、渡すよ……いつか……」
「それ渡さないって言っているのと同じだよ」
「ゔっ……」
痛い所を突かれてあきらは呻く。
そして唸りつつも、渡す……と声を絞り出して宣言した。
二刃はうんうん、と満面の笑みになって頑張りな、とあきらの背中を叩いた。
………………といったものの結局前日は渡せなかった。
今日こそは渡さないと……と暗い気持ちになっているとちょうど太陽がでかけるところだった。
「太陽ちょっと屈んで」
「こうか?」
「そうそう、はい、マフラー」
六美は太陽の首にマフラーをくるくると巻いてこれで寒くないね、とにっこりと笑う。
太陽は、お、おう…………ありがとう六美……と頬を染めて六美を見つめていた。
なんと微笑ましいやりとりなのだろうと笑顔で見守っていると背後からどす黒いオーラーがびしびし漂ってきた。
「………………なんで俺にはマフラーを巻いてくれないんだ…………六美ぃ!!!!」
「お兄ちゃんにはお姉ちゃんがいるでしょ!!!
それにお兄ちゃんマフラー持ってたっけ?」
「ああ、持ってるぞ」
そっか、凶一郎マフラー持ってたんだ、なら私の編んだマフラーは用済みか……と目を伏せた時凶一郎が懐からマフラーを出す。
そのマフラーの柄を見てあきらはきょとんとしてよくよく凶一郎の持っているマフラーをまじまじと見る。
「ん?んん?」
どこからどう見てもあきらが編んだマフラーそのものである。
凶一郎のイニシャルである刺繍がある以上唯一無二のマフラーであるはずだ。
「ちょ、ちょっと凶一郎、そ、そのマフラー!」
「ん?どうかしたか?このマフラーが気になるか?
ふっ、欲しそうな顔をしても無駄だ、これは俺だけの物だからな」
「そ、そうじゃなくて!!そ、それどこで!?」
結局前日わたせなくて引き出しの中に閉まっておいたのにどうして彼が身につけているんだろう。
わたわたと慌てるあきらに凶一郎はマフラーを取り六美に巻いて♡と頼むがあえなく却下された。
「くそう!!!太陽はいいのになんで俺は駄目なんだ!!くっ、この際お前でもいい俺にマフラーを巻いてくれ!!!!」
「わ、わかった」
凶一郎の言葉に流されあきらはマフラーを手に取り背伸びをして首にくるくると巻く。
(あっ…………この体勢…………すごく顔が近い……!)
もう少しで口がくっついてしまいそうな距離に顔を赤くしつつも巻き終えると凶一郎はすごく嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「ありがとう」
「ど、どういたしまして…………あったかい?」
「ああ、とてもな、誰かの思いが込められているからかもな…………」
「そ、そっか…………誰なのかは知らないけど……」
目を逸らすあきらに凶一郎はふっと微笑んだ。
「いつまで誤魔化すつもりだ?
目に隈までつけてバレバレだからな」
「っ、そ、そっちこそ勝手に入って…………」
「どうせくれるんだろう?結果としては変わらん
勝手に入った事には謝る、すまない」
「そっちは別にいいんだけど…………」
どうしても恥ずかしてくて両手をもじもじしてしまう。
でも凶一郎の様子を見る限り本当に喜んでくれているらしい、そう思うと恥ずかしくも同時に嬉しくもあって胸の中が暖かくなる。
まるで一緒にマフラーを巻いているみたいだ。
「で、でもね、二刃みたいに上手じゃないよ?」
「かまわん、お前が一生懸命編んでくれただけで十分だ」
「…………良かった」
何はともあれ凶一郎にマフラーを渡せて安堵したあきらだった。
この通り!と両手でお願いする六美にあきらは唐突な頼みに驚いたのだった。
「ダイエットって…………六美そんなに太ってな……」
「だって!!!いつも着てる服が入らなかったんだもん!!!このままじゃ太陽の妻失格よ!!!」
めそめそ泣く六美を何とか励まそうとあきらは涙をハンカチで拭く。
「…………一応自分でもジョギングしたり皆にも何とかアドバイス貰えないか聞いてみたりしたんだけど……」
だが常人とは異なる夜桜家の代謝はイカれておりとても参考には出来なかった。
なら、藁にもすがる気持ちであきらに聞いてみたのだが……
「どうしたら痩せれると思う?運動はしてるんだけど……」
六美から食生活を聞いたあきらはうーーんと思案した後にっこりと笑顔で残酷な事を言った。
「食べる量減らしたらいいんじゃないかな?間食しないとか夜遅くに食べないとか」
「ゔっっっっ」
それが出来たら人間苦労はしないのだ。
食べるといけないとは分かっている、分かっているけれど……!!どうしても手が伸びてしまう。
「そうしないようにしてるんだけど……!!
食べちゃうの!!!だって!!美味しいんだもの!!!じゃあお姉ちゃんは空腹の時に目の前に美味しそうな食べ物置かれて我慢出来る!?!?」
「うん、出来るよ、食べちゃいけないんだったら食べない」
「えぇ?そ、そんなさも当たり前のように…………」
と言いかけて六美ははた、と思い出した。
そういえばあきらは自分の意思で食事をとろうとせず食べさすのに母が苦労していたと言っていた記憶がある。
今は普通に一緒に食事をしているがもしかして未だ食欲に関しても鈍麻なのではないか?と。
なら我慢出来るのも自然と納得がいく。
六美はこの人はちゃんと食事をとれているのか不安になってきた。
「お姉ちゃん…………」
「あ、ごめんね、ダイエットの話だったね
うーん、どうしたらいいのかな…………」
「ちゃんとご飯……食べてっ!!」
「うん、………………?あれ?」
いつの間にか自分の話にすり替わっていてあきらはうーーん?とどうしてこうなったのか困惑したのだった。
[マフラー]
「うおっ、寒っ、もうめっきり冬だな……」
「行ってらっしゃい、太陽」
木枯らし一番が吹きもう着込まないと寒い季節がやってきた。
そろそろマフラーの出番だなぁと思った六美はそういえば……あれは完成したのかな?と進捗を見に行くことにした。
この頃あきらは度々二刃の部屋を訪れていた。
黙々と編む事数時間、ようやく完成したマフラーにあきらは両手を上げて喜んだ。
「っ出来たぁ!!!!!ありがとう二刃
マフラーの編み方教えてくれて」
「大したことはしてないよ、……目にクマ出来てるじゃないか」
「あ、ほんとだ……」
夢中でこの頃夜中も編んでいたので睡眠をとることを忘れていたようだ。
「一生懸命なのはいいけどね、あんたはもう少し自分の体を気遣いな」
「はい、すみません……」
「はぁ……で、それでいつ渡すんだい?」
するとあきらの目がすすす……と横に動き二刃はため息をつく。
せっかく出来上がってもこれだ、尻を叩かねば永遠に渡さないだろう。
「わ、渡すよ……いつか……」
「それ渡さないって言っているのと同じだよ」
「ゔっ……」
痛い所を突かれてあきらは呻く。
そして唸りつつも、渡す……と声を絞り出して宣言した。
二刃はうんうん、と満面の笑みになって頑張りな、とあきらの背中を叩いた。
………………といったものの結局前日は渡せなかった。
今日こそは渡さないと……と暗い気持ちになっているとちょうど太陽がでかけるところだった。
「太陽ちょっと屈んで」
「こうか?」
「そうそう、はい、マフラー」
六美は太陽の首にマフラーをくるくると巻いてこれで寒くないね、とにっこりと笑う。
太陽は、お、おう…………ありがとう六美……と頬を染めて六美を見つめていた。
なんと微笑ましいやりとりなのだろうと笑顔で見守っていると背後からどす黒いオーラーがびしびし漂ってきた。
「………………なんで俺にはマフラーを巻いてくれないんだ…………六美ぃ!!!!」
「お兄ちゃんにはお姉ちゃんがいるでしょ!!!
それにお兄ちゃんマフラー持ってたっけ?」
「ああ、持ってるぞ」
そっか、凶一郎マフラー持ってたんだ、なら私の編んだマフラーは用済みか……と目を伏せた時凶一郎が懐からマフラーを出す。
そのマフラーの柄を見てあきらはきょとんとしてよくよく凶一郎の持っているマフラーをまじまじと見る。
「ん?んん?」
どこからどう見てもあきらが編んだマフラーそのものである。
凶一郎のイニシャルである刺繍がある以上唯一無二のマフラーであるはずだ。
「ちょ、ちょっと凶一郎、そ、そのマフラー!」
「ん?どうかしたか?このマフラーが気になるか?
ふっ、欲しそうな顔をしても無駄だ、これは俺だけの物だからな」
「そ、そうじゃなくて!!そ、それどこで!?」
結局前日わたせなくて引き出しの中に閉まっておいたのにどうして彼が身につけているんだろう。
わたわたと慌てるあきらに凶一郎はマフラーを取り六美に巻いて♡と頼むがあえなく却下された。
「くそう!!!太陽はいいのになんで俺は駄目なんだ!!くっ、この際お前でもいい俺にマフラーを巻いてくれ!!!!」
「わ、わかった」
凶一郎の言葉に流されあきらはマフラーを手に取り背伸びをして首にくるくると巻く。
(あっ…………この体勢…………すごく顔が近い……!)
もう少しで口がくっついてしまいそうな距離に顔を赤くしつつも巻き終えると凶一郎はすごく嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「ありがとう」
「ど、どういたしまして…………あったかい?」
「ああ、とてもな、誰かの思いが込められているからかもな…………」
「そ、そっか…………誰なのかは知らないけど……」
目を逸らすあきらに凶一郎はふっと微笑んだ。
「いつまで誤魔化すつもりだ?
目に隈までつけてバレバレだからな」
「っ、そ、そっちこそ勝手に入って…………」
「どうせくれるんだろう?結果としては変わらん
勝手に入った事には謝る、すまない」
「そっちは別にいいんだけど…………」
どうしても恥ずかしてくて両手をもじもじしてしまう。
でも凶一郎の様子を見る限り本当に喜んでくれているらしい、そう思うと恥ずかしくも同時に嬉しくもあって胸の中が暖かくなる。
まるで一緒にマフラーを巻いているみたいだ。
「で、でもね、二刃みたいに上手じゃないよ?」
「かまわん、お前が一生懸命編んでくれただけで十分だ」
「…………良かった」
何はともあれ凶一郎にマフラーを渡せて安堵したあきらだった。
