凶一郎の婚約者さん
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「全く…………お兄ちゃんはいつもこうなんだから……」
「ははは……」
六美と太陽がいい雰囲気になった途端これである。
「太陽が万花繚乱の影響で体調崩してるっていうのに……!もう!」
「まぁまぁ……六美、落ち着いて……
そういえばあきら姉さんから連絡あったか?」
本来今日夜桜邸に泊まる予定だったあきらだがまだ訪れていない。
「あ、バタバタで忘れてたんだけど今日は予定変更して向こうに泊まるって」
「そうなのか……忙しいなら仕方ないな」
「でも太陽が体調ちょっと悪いのにおかしいな……
お姉ちゃんなら忙しくても見舞いに来るはずなのに……」
「それは俺が不甲斐ないからじゃないか?」
「それは絶対にない!!ううん、ちょっと心配だな……」
うーーん……と唸る六美に気にしすぎじゃないか?と思った太陽だった。
「お姉ちゃん、どう?電話出た?」
「出ないねぇ……六美がかけても駄目だったのかい?」
「うん、メッセージは返ってくるんだけど……」
今日があいにく任務がない日の為そうなのかそうでないかを判断しにくい。
となると直接会うか声を聞くかなのだがあきらは今日も家には行けないと連絡がありますます疑惑が高まった。
そう、風邪を引いている可能性が高いのだ。
何かとあきらは自身の体調の変化に気づきにくい特性はあったのだが、ここ数年は体調を悪くしても隠すようになってしまった。
「でも電話に出ないんじゃねぇ……」
「それなら強制的に出るように変えりゃいい」
「四怨」
四怨はトトト、と自身のスマホを操作する。
「あきら姉ちゃん、二刃姉ちゃんほどじゃねーけどシステムに強いってわけじゃねーからな
この日の為にこっそりスマホに仕組んどいてやったぜ」
クククク、と悪人面して笑う四怨に六美はやっている事はあきらの為なのだが絵面だけ見てるとまるで悪いことをしている気分になる。
二刃といえば、便利だねぇと微笑んでいた。
ほどなくしてあきらのスマホが強制的に通話へと切り替えられる。
急に電話が繋がって驚いたのかごとん、とスマホを落とす音とどうにかして切れないかと試すタップ音が僅かに聞こえた。
「言っとくが切ろうとしたって無駄だからな、観念して白状しろ」
「そうだよ、あきら
あたしらも鬼じゃないんだ、素直に言ってくりゃ怒らないよ」
「お姉ちゃん、風邪引いてないならいいの、だから返事をして……!」
通話先の向こう側で躊躇する息遣いが聞こえた後、風邪じゃないよ、と若干くぐもった声が届く。
「…………風邪だね」
「だな」
『ちょ、ちょっと頭痛いだけ……寝過ぎかも……
少し体温が高いだけで……』
「少しってどれくらいだい?」
「答えろ、今何度だ?」
『…………………………』
黙ってしまったあきらに三姉妹は黒だと判断した。
「分かった、こっちにも方法はあるよ
素直に白状するか、凶一郎に報告するかどっちがいいかい?」
『ごめんなさい…………風邪引きました……
凶一郎には言わないで…………』
「…………あのね、あんたが心配かけたくないのは分かるよ
でも隠すのは違くないかい?」
問い詰めるとあきらはおっしゃる通りです……と返答する。
『あと七悪には言わないで……』
「それはこっちも言う気はないよ、言うとあの子出かけてワクチン打ちに言っちゃうからね」
七悪は本日任務の為不在である。
それが分かった上で連絡しているのだ、もし耳に入ったら全員にワクチンを打とうとしてしまう。
七悪の体に悪いし何より注射がめちゃくちゃ痛いので極力避けたい。
「こっちから誰か薬とか届けるけどいいかい?」
『…………うん、二刃ごめんね』
「家族だろ、謝罪は不要だよ、じゃあ切るからね」
通話を切り、二刃はやれやれ困ったものだね、とため息をつく。
「薬とか誰が届けようか?」
「……それなら適任がいるよ、出てきな凶一郎」
「ちっバレてたか」
声と共に屋根裏から凶一郎が出てきて六美はまた……と頭を抱えた。
「っていうかお兄ちゃんには報告しないはずじゃ……」
「報告も何も最初から聞いてたからねぇ」
「ああ、盗み聞きをしていただけだ、報告をうけたわけじゃない…………さて隠し事をしたあきらにはキツイお仕置きが必要なようだな」
「凶一郎、移らないようにね」
「分かってる」
とんだ屁理屈をいう長子に六美はこれから説教を受けることになるであるあきらに合掌した。
「う〜〜〜〜しまった、言っちゃった……
絶対後で説教される…………」
まさか自分のスマホに仕組まれているのは思わず通話に出なければセーフと思った自分を呪いたい。
でも凶一郎は当然として二刃達誰にも面倒も心配もかけたくないのだが、あきらはそれが返って家族に心配かけることに気づいていなかった。
スマホをベッドに投げて倒れ込むと熱が上がってきているのか頭痛と視界がぼやけてくる。
そういえば家には誰が来るんだろう、極力血縁の人には会わせたくないな……とぼんやりと思って。
「凶一郎なら大丈夫なんだけど…………」
婚約者だし接点はあるから……と呟くあきらに俺ならいいのか?と天井裏から声がして、うん、と頷く。
あれ、おかしいな、幻聴?と不安に思っているとすっと天井裏から出てきた人物があきらの額を触る。
「…………予想以上に熱が上がっているな
全く早く言え、どうせ昨日から予感はしてたんだろう?」
「きょ、…………凶一郎……!?」
起き上がろうとしてむせたあきらに凶一郎は背中を擦る。
しばらく擦れていると落ち着いたのか呼吸が少し楽になった。
「無理をするな、今は休んでおけ」
「…………どうして……」
「報告するな、と言ったのに……か?
あいにくその場にいただけだ、恨むなら隠そうとした自分を恨むんだな」
「……でも風邪移しちゃう」
「安心しろ、感染対策は済ませてある
ほら、薬だ、後例のやつもな」
ゴポゴポと凄まじい音を立てて沸き立つ黒い液体にあきらは懐かしいな、と微笑んだ。
「よく零さんが作ってくれたよね」
「そうやって笑顔で語れるのお前と七悪くらいしかいないからな」
凶一郎含め他妹弟はこれが苦手だ。
あきらは夜桜汁を受け取り一気に飲み干す。
「うーーーん、苦い!」
「苦いって代物じゃないんだがな……
とにかく今日は1日寝ていろ、説教は明日に回す」
「はい…………」
あきらをベッドに横たわらせ凶一郎はとりあえず額にデコピンをした。
あまり病人に負荷はかけたくないがこれくらいはしても許されるだろうと思っているとあきらが何か言いたそうな表情でこちらを見ている事に気づいた。
「何だ?」
「な、なんでもない…………あまり長居させるのも悪いしもう帰っていいよ……」
あきらは布団を被り目線を合わせようとしない。
「何を気にしてるか分からんが既に怒ってるから何を言われたとしてもこれ以上怒りは増さないからな、気にせず言え」
「そう言われると言いづらくなるんだけど……まぁいいや
……あのほんと下らない事なんだけど……私が眠るまで手握ってて貰ってもいい…………?」
「そんな事か」
お安い御用だ、と凶一郎はあきらの手を握った。
熱が上がっているのか火照っている。
なんだか恥ずかしいな、とあきらは照れながらお休みなさい、と目を閉じる。
しばし待つと眠りに入ったのか寝息が聞こえてきた。
眠ったのを確認して凶一郎はあきらの前髪を撫でる。
「眠るまで……か、俺としてはずっとでもいいんだがな」
翌日凶一郎含め他妹弟の目の前で『私は風邪を引いていたのを隠しました』と札を下げて正座し説教を受けるあきらの姿が目撃されたとか…………
