凶一郎の婚約者さん
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とある秘密裏の場所にて夜桜家の金級三人は今年もこの季節が来たか……と密かに密談していた。
銀級スパイ試験の試験官に選ばれた三人は各々どういう試験にするかと話し合っていたのだが。
「さて、今回はどうするか……
辛三、初っ端かトリかどちらかを選べ」
「えっ!?!?そ、それならしょ、初っ端かな……
最後の方だと更に緊張しそうだし」
「なら間は私で決まりだね」
「決まったな、では試験内容は各々で決めるとして……
あきら、着いてきてるのバレバレだぞ」
こっそりと凶一郎を尾行していたあきらは天井からするっと入ってきた。
「あきらだからいいが…………急にどうした」
「え、ただ皆と一緒に試験官なることなんてないからどんなのするんだろうなぁ……って、いやあ今年も試験の季節がきたねぇ、皆今ごろ試験に向けて頑張ってるんだろうなぁ」
とのほほんと笑顔で言うあきらだが、彼女も試験官として毎回山程の受験者を振り落としている側の人間である。
見た目と雰囲気からして優しいと勘違いされやすいが彼女は決して手抜きをしない。
それならいい、と凶一郎は隣に座るように促した。
促され彼の隣に座ると辛三がはあああああ〜〜〜〜〜とため息をついた。
「緊張する…………あきら姉ちゃん変わってくれない……?」
「んーー無理、かな」
「だよね…………」
笑顔で即却下され辛三は、ヨヨヨと涙を流す。
「辛三、試験官担当するの初めてではないだろう
いい加減慣れろ」
凶一郎の言葉に辛三はでも〜〜〜〜!!とめそめそ泣いている。
「こればっかりは慣れるしかないねぇ……」
二刃は辛三をやんわりと宥めつつ励ましたのだった。
[女神の巣]
「あきら少し話したい事があるんだが」
例の事件からしばらく経ち婚約の期限が「未定」となってその事も慣れた頃凶一郎が二人で話したいと言ってきた。
なんだろうと思いつつもいいよ、と答えると凶一郎は訓練用の部屋にあきらを連れて行く。
「刀を出せ」
「え?私……凶一郎とはあまり訓練したくないんだけど……」
戦闘になるとセーブが効かなくなる性質の為あきらは出来る限り凶一郎と戦闘するのは避けている。
困惑するあきらに凶一郎は目的を話した。
「今回の事件六美はあと一歩で命を落とすところだった
……それを未然に防ぐ為にも俺は六美を何としてでも守らねばならん、ここに刀で触れてみろ」
凶一郎はくい、と何もない空間を指す。
言われたとおり刀を抜いて刺そうとすると見えない何か壁のような物に当たった。
「これは…………鋼蜘蛛……?」
「そうだ、開花で高めた視力でないと見えないレベルの糸を編み込んだ女神の巣という技だ、奇しくも今しがた完成したばかりだかな
と、見えないからといって開花はするなよ、絶対に」
百や凶一郎に決して開花をするなと止められているあきらは歯がゆい思いに苛まれながらこくりと頷いた。
「……で、私は何をしたら……?」
「完成した、といっても練度が上がっていないからな
そこでお前に切れないレベルで強度を上げたい」
「で、でも私……いつも戦うと自制が効かなくて……」
「そこが……!問題なんだ!!
いつもいつも無茶をして、怪我は極力無くなったのはいいがしょっちゅう服をズタボロにしてどうする!!
誰かに撮られたら困るのはお前なんだぞ!」
額をつんつん指で突かれてあきらはごめんなさい……と謝罪する。
こないだも街中で肌を晒してしまい凶一郎に上着を貸してもらったばかりである。
「……まぁいい
これから制御出来るよう訓練していくからな」
「え、で、でも…………」
そう渋るあきらに凶一郎は眉間の皺を寄せたまま言う。
「返事はイエスか、はい、だ、拒否は許さん」
「はい………………」
後回しにしていた問題にあきらは仕方なく刀を構えたのだった。
[眠り姫]
あれはそう初めてあきらと任務に行った時のことだ。
あの頃はあきらの異常性に気づいてない頃で。
俺が敵のスパイに攻撃を仕掛けられたその時だった。
構えようとした俺の前をすっとあきらが通る。
その小さな体は立ち塞がるように前に立って無防備にも攻撃をくらい体が宙に浮いた。
ふわりとあきらの体が回転しべしゃり、とまるでゴミのように地面に落ちる。
そして気づくと俺の顔にはあきらの血がべったりと付いていてあきらの体からはじわりと血が滲み泉が広がった。
あきらの体はピクリとも動かない。
まるで糸が切れてしまった操り人形のような微動だにしない。
無惨にも地面に叩きつけられたあきらにはばっくりと大きな傷が空いていて無機質な瞳から段々と光が消えていく。
待って、待ってくれ、と手を伸ばすも体が動かない。
まるで時間が止まったみたいに敵も自分も動けないが、あきらから広がる血は段々と広がり続ける。
止めないと、思うほど血が広がっていく。
叫びそうになった時凶一郎ははっと目が覚めた。
「夢……か」
そしてベッドの上で眠り続けるあきらに気づきいつの間にか眠っていたことを把握する。
そう、あれはただの夢ではない。
数日前起こったことが再現されただけの夢だ。
正確にはあの後すぐに救出し命には問題はなかったが出血量が多かったのかまだ目覚めていない。
百が言うにはほどなくして目を覚ますだろうと言っていたが…………
血の気が引いて少し青ざめた少女はこのまま永遠に眠り続けそうな気がして凶一郎は怖くなった。
皆あきらを心配している。
各々見舞いにきていていつの間にか机の上には土産でいっぱいだ。
その中に誰が置いたのか知らないが眠れる森の美女の絵本があった。
六美か?と思いぺらりと絵本をめくる。
要約すると魔女の呪いにより100年眠ってしまった姫が王子のキスによって目覚める話だが…………
凶一郎は絵本を置いてまだ眠っているあきらに視線を向ける。
手で触れても目覚めないあきらは本当に眠り姫と化してしまったようだ。
「こんなことなら任務なんて一緒に行くんじゃなかった」
ぽつりと凶一郎はつぶやきながらこんこんと眠り続けるあきらの唇に目を向ける。
「…………100年眠り続けるなんて嫌だ」
本当にこれで目覚めるなんて思っていないけれど起きてくれと願いながら口にキスをした。
すっと口を離したがやはり眠ったままだった。
そうだよな……と自嘲するように体を離すと何とあきらが目を覚ました。
ゆるゆると瞳を開いてぼんやりと凶一郎を見上げる。
「きょう……いちろう……くん?」
「……!起きた、の……か」
と、そこで凶一郎は先ほど自分が何をしたのか気づいた。
「…………!!」
急に恥ずかしくなって遠ざかろうとしたが無理にでもあきらが身を起こそうとするので慌てて止めると自ずと距離が近くなってしまい再び鼓動が跳ね上がった。
真っ白い寝間着を月の光が照らす様は本当に物語の中に飛び込んだように見える。
不思議そうに見上げるあきらに凶一郎はどうすれば……と思った矢先いきなりドアが開き百含め家族全員が部屋になだれ込んできた。
「…………!!!」
慌てて手を離しベッドから遠ざかると今度は妹弟達がかけよった。
わいわいとあきらの目覚めを喜ぶ妹弟達に凶一郎はともあれ本当に目覚めてよかったと安堵する。
それにしてもあの絵本は誰が置いたのだろう……と不思議に思う凶一郎を見守る百が微笑んでいた事は凶一郎は知らない。
銀級スパイ試験の試験官に選ばれた三人は各々どういう試験にするかと話し合っていたのだが。
「さて、今回はどうするか……
辛三、初っ端かトリかどちらかを選べ」
「えっ!?!?そ、それならしょ、初っ端かな……
最後の方だと更に緊張しそうだし」
「なら間は私で決まりだね」
「決まったな、では試験内容は各々で決めるとして……
あきら、着いてきてるのバレバレだぞ」
こっそりと凶一郎を尾行していたあきらは天井からするっと入ってきた。
「あきらだからいいが…………急にどうした」
「え、ただ皆と一緒に試験官なることなんてないからどんなのするんだろうなぁ……って、いやあ今年も試験の季節がきたねぇ、皆今ごろ試験に向けて頑張ってるんだろうなぁ」
とのほほんと笑顔で言うあきらだが、彼女も試験官として毎回山程の受験者を振り落としている側の人間である。
見た目と雰囲気からして優しいと勘違いされやすいが彼女は決して手抜きをしない。
それならいい、と凶一郎は隣に座るように促した。
促され彼の隣に座ると辛三がはあああああ〜〜〜〜〜とため息をついた。
「緊張する…………あきら姉ちゃん変わってくれない……?」
「んーー無理、かな」
「だよね…………」
笑顔で即却下され辛三は、ヨヨヨと涙を流す。
「辛三、試験官担当するの初めてではないだろう
いい加減慣れろ」
凶一郎の言葉に辛三はでも〜〜〜〜!!とめそめそ泣いている。
「こればっかりは慣れるしかないねぇ……」
二刃は辛三をやんわりと宥めつつ励ましたのだった。
[女神の巣]
「あきら少し話したい事があるんだが」
例の事件からしばらく経ち婚約の期限が「未定」となってその事も慣れた頃凶一郎が二人で話したいと言ってきた。
なんだろうと思いつつもいいよ、と答えると凶一郎は訓練用の部屋にあきらを連れて行く。
「刀を出せ」
「え?私……凶一郎とはあまり訓練したくないんだけど……」
戦闘になるとセーブが効かなくなる性質の為あきらは出来る限り凶一郎と戦闘するのは避けている。
困惑するあきらに凶一郎は目的を話した。
「今回の事件六美はあと一歩で命を落とすところだった
……それを未然に防ぐ為にも俺は六美を何としてでも守らねばならん、ここに刀で触れてみろ」
凶一郎はくい、と何もない空間を指す。
言われたとおり刀を抜いて刺そうとすると見えない何か壁のような物に当たった。
「これは…………鋼蜘蛛……?」
「そうだ、開花で高めた視力でないと見えないレベルの糸を編み込んだ女神の巣という技だ、奇しくも今しがた完成したばかりだかな
と、見えないからといって開花はするなよ、絶対に」
百や凶一郎に決して開花をするなと止められているあきらは歯がゆい思いに苛まれながらこくりと頷いた。
「……で、私は何をしたら……?」
「完成した、といっても練度が上がっていないからな
そこでお前に切れないレベルで強度を上げたい」
「で、でも私……いつも戦うと自制が効かなくて……」
「そこが……!問題なんだ!!
いつもいつも無茶をして、怪我は極力無くなったのはいいがしょっちゅう服をズタボロにしてどうする!!
誰かに撮られたら困るのはお前なんだぞ!」
額をつんつん指で突かれてあきらはごめんなさい……と謝罪する。
こないだも街中で肌を晒してしまい凶一郎に上着を貸してもらったばかりである。
「……まぁいい
これから制御出来るよう訓練していくからな」
「え、で、でも…………」
そう渋るあきらに凶一郎は眉間の皺を寄せたまま言う。
「返事はイエスか、はい、だ、拒否は許さん」
「はい………………」
後回しにしていた問題にあきらは仕方なく刀を構えたのだった。
[眠り姫]
あれはそう初めてあきらと任務に行った時のことだ。
あの頃はあきらの異常性に気づいてない頃で。
俺が敵のスパイに攻撃を仕掛けられたその時だった。
構えようとした俺の前をすっとあきらが通る。
その小さな体は立ち塞がるように前に立って無防備にも攻撃をくらい体が宙に浮いた。
ふわりとあきらの体が回転しべしゃり、とまるでゴミのように地面に落ちる。
そして気づくと俺の顔にはあきらの血がべったりと付いていてあきらの体からはじわりと血が滲み泉が広がった。
あきらの体はピクリとも動かない。
まるで糸が切れてしまった操り人形のような微動だにしない。
無惨にも地面に叩きつけられたあきらにはばっくりと大きな傷が空いていて無機質な瞳から段々と光が消えていく。
待って、待ってくれ、と手を伸ばすも体が動かない。
まるで時間が止まったみたいに敵も自分も動けないが、あきらから広がる血は段々と広がり続ける。
止めないと、思うほど血が広がっていく。
叫びそうになった時凶一郎ははっと目が覚めた。
「夢……か」
そしてベッドの上で眠り続けるあきらに気づきいつの間にか眠っていたことを把握する。
そう、あれはただの夢ではない。
数日前起こったことが再現されただけの夢だ。
正確にはあの後すぐに救出し命には問題はなかったが出血量が多かったのかまだ目覚めていない。
百が言うにはほどなくして目を覚ますだろうと言っていたが…………
血の気が引いて少し青ざめた少女はこのまま永遠に眠り続けそうな気がして凶一郎は怖くなった。
皆あきらを心配している。
各々見舞いにきていていつの間にか机の上には土産でいっぱいだ。
その中に誰が置いたのか知らないが眠れる森の美女の絵本があった。
六美か?と思いぺらりと絵本をめくる。
要約すると魔女の呪いにより100年眠ってしまった姫が王子のキスによって目覚める話だが…………
凶一郎は絵本を置いてまだ眠っているあきらに視線を向ける。
手で触れても目覚めないあきらは本当に眠り姫と化してしまったようだ。
「こんなことなら任務なんて一緒に行くんじゃなかった」
ぽつりと凶一郎はつぶやきながらこんこんと眠り続けるあきらの唇に目を向ける。
「…………100年眠り続けるなんて嫌だ」
本当にこれで目覚めるなんて思っていないけれど起きてくれと願いながら口にキスをした。
すっと口を離したがやはり眠ったままだった。
そうだよな……と自嘲するように体を離すと何とあきらが目を覚ました。
ゆるゆると瞳を開いてぼんやりと凶一郎を見上げる。
「きょう……いちろう……くん?」
「……!起きた、の……か」
と、そこで凶一郎は先ほど自分が何をしたのか気づいた。
「…………!!」
急に恥ずかしくなって遠ざかろうとしたが無理にでもあきらが身を起こそうとするので慌てて止めると自ずと距離が近くなってしまい再び鼓動が跳ね上がった。
真っ白い寝間着を月の光が照らす様は本当に物語の中に飛び込んだように見える。
不思議そうに見上げるあきらに凶一郎はどうすれば……と思った矢先いきなりドアが開き百含め家族全員が部屋になだれ込んできた。
「…………!!!」
慌てて手を離しベッドから遠ざかると今度は妹弟達がかけよった。
わいわいとあきらの目覚めを喜ぶ妹弟達に凶一郎はともあれ本当に目覚めてよかったと安堵する。
それにしてもあの絵本は誰が置いたのだろう……と不思議に思う凶一郎を見守る百が微笑んでいた事は凶一郎は知らない。
