凶一郎の婚約者さん
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「四怨姉ちゃん、私は妹として恥ずかしいです
…………ブラの付け方も忘れるなんてっ!!!!」
くわっと目をひん剥いて説教をする六美に四怨は正座をさせられていた。
先日四怨がスパイ仲間兼ゲーム仲間であるケンジと部品探し(ほぼデート)に行こうとした際、デートの服選びに迷うがあまり男である太陽と草助がいるのにも関わらず下着姿で出てきた上にブラの付け方までどこかに行ってしまった姉に六美は涙を流す。
一応デート服については一件落着となったが、そもそも付け方を忘れている時点で下着もろくに買い替えてないことが明らかとなり説教を受けていた。
「六美から聞いたよ、これは流石にねぇ……」
「私も…………」
二刃は呆れ、あきらは苦笑いをしている。
「というわけで今日は皆で一緒に下着を買いに行きます」
「え〜〜〜〜下着くらいあるし買わなくても……」
「買うの!!!!下着は消耗品なんだから!!古いのは捨てる!!」
ガミガミと角が生えた六美に四怨は観念して下着を買いに行くことにした。
「ついでにだ、皆で行くことにしようかね」
「そうだね、私もオーダメイドで頼んでたの出来上がってる頃だし」
「よし、決まりだね!じゃあしゅっぱーつ!!!」
「しゅっぱーつ!!!」(凶一郎)
「…………………………」
一瞬の沈黙のち、二刃、四怨によって凶一郎はしめあげられた。
六美は下着店にまで着いていこうとする兄を冷たい視線で見てあきらは流石に助けることが出来ずオロオロ狼狽えていた。
「………………凶一郎……何か言うことはあるかい?」
「ふっ………………妹の下着選びに着いていって何が悪い
というか二刃こそブラなんかいらないだ……ぐぇー!!!!!!」
ぎりぎり…………と骨がきしむ音が凶一郎から聞こえ四怨が体を踏んづけた。
「冗談じゃねぇ!このシスコン!!いい加減にしやがれ!!」
「お兄ちゃん…………いい加減にしてください」
「む、六美ぃー!!!!」
六美が敬語口調になっている時はそうとう怒っている時だ。
このままでは着いていくことが出来ない……凶一郎は床に這いつくばったままオロオロと狼狽えているあきらと目があった。
目があった瞬間凶一郎はしゅばっ!と二刃の拘束から抜け出しあきらの手を握るとあきらはみるみるうちに顔を赤く染めた。
あきらは大変ちょろい。
何かお願い事をすればすぐ引き受けるくらい凶一郎に甘い。
今回もただを捏ねればあきらだけは許可してくれるだろう。
そしてついでに六美達を見守ればいい。
「あきら」
「は、はい」
「一緒についていってもいいか……?一緒に選びたいんだ」
目を合わせてそう言えばあきらは恥ずかしそうに目を伏せる。
「あっ!このシスコン兄貴ずりぃぞ!!!」
「ふっ、あきらに着いていく分なら問題ないだろう
文句があるならあきらに……」
「…………なさい」
手を握られたあきらは目を反らしたままポツリと呟く。
そして。
「ごめんなさい!!!!!」
「????は?い、今なんて……?嘘、だよな?あきら?」
さっと青ざめる凶一郎。
あきらが俺を拒むはずがない。
「流石に一緒は…………」
というあきらに凶一郎はがばっと土下座をした。
「頼む!!!!!!連れて行ってくれ!!!!!
何でもするから!!!!」
あまりにも情けない兄の姿に三人の妹はそれはもうこの世の物とは思えないくらい冷たい目をしていた。
そして懇願する凶一郎にあきらは……
「ほんっっっっとに無理!!!!!」
「……………………!!!!!」
無理、ムリ…………と凶一郎の脳内で言葉が反芻する。
そしてショックのあまりべしゃっと床に倒れてしまった。
四怨がつんつんと突くが反応はない。
どうやらあまりの衝撃に失神してしまったようだ。
拒否しながらも凶一郎を心配するあきらを引っ張り三姉妹はショッピングモールに向かった。
「はあ〜〜〜〜ほんとに良かった……
お兄ちゃんついてこなくて……」
「あの状態じゃしばらく目を覚まさないね
起きる前に買い物を済ませようかね」
「つーかあのべったべたに甘いあきら姉が珍しいな、どういう風の吹き回しだ?」
三人に物珍しそうに見つめられあきらは再び羞恥する。
「だ、だって…………凶一郎に買ってる下着見られるの恥ずかしいから……」
もじもじ、と恥ずかしそうにするあきらに三人はそっちか〜〜〜〜〜と遠い目をしたのだった。
「あっこれ可愛い!」
「おい、六美これなんかどうだ?」
「ちょっ、四怨姉ちゃんこれ生地少なくない……?」
「わざとだよ、太陽に見せてやれ」
え〜〜〜!?!?と目をまん丸にする六美にあきらは微笑んだ。
ちなみにもう頼んであるオーダメイドの品物は受け取った後だ。
「あきらは買わなくていいのかい?」
「え、うーーん……オーダメイドのあるし……」
「もしかしてお姉ちゃんって仕事以外の下着ないの?」
「完全にないって訳じゃないけど…………
だって誰かに見せるわけじゃないし……」
六美は四怨と目を合わせた。
「よし!!私たちがお姉ちゃんに似合う下着選んであげる!!!」
「任せろ!!」
「ええ!?!?」
当初の目的とは外れつつある買い物に二刃はやれやれとため息をついた。
数時間後、帰宅したあきらは凶一郎が倒れていた居間に向かったが流石に居なかった。
恥ずかしかったとはいえ流石に冷たくしすぎたかな…………と自分の部屋に戻ると何と凶一郎が待ち構えていた。
「凶一郎!?!?」
「おかえり、買い物は楽しかったか??」
置いておかれゴゴゴゴと暗黒のオーラを醸し出す凶一郎にあきらは顔を強張らせる。
「あ、あの…………ごめんね?」
凶一郎は拗ねた様子でそっぽを向いた。
どうも無理と拒否られた事がそうとうショックだったのか怒りは収まっていないようだ。
何て説明をすべきか…………と迷っていると凶一郎が口を開いた。
「ちゃんと理由を言え
恥ずかしいから着いてこられるのは困る、と
単に無理と拒否られたのでは流石に俺も傷つく」
「凶一郎…………その……うん、そうなの
申し訳ないんだけど……一緒に買いに行くのは恥ずかしいかな……って」
ポツリと呟くと凶一郎が顔をこちらに向けて髪を撫でる。
「分かった、それなら止めにしよう
理由を詳しく言ってくれないとどうして嫌なのか分からないからな」
「うん……」
「で、無事に買えたか?」
「買えたよ、元々頼んでたのと…………それと六美と四怨に無理矢理押し付けられたえっちやつと……あ」
「………………」
みるみるうちにあきらの顔が真っ赤に染まる。
「い、今のは聞かなくったことにして!!!!」
ぐいぐいと押されて凶一郎は部屋から追い出された。
凶一郎の脳内で先程あきらが言った言葉が反芻される。
それからしばらく凶一郎は悶々と過ごしたのだった。
