凶一郎の婚約者さん
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凶一郎は任務の終わりとある記者に話しかけられた。
挨拶代わりにと名刺を渡され名前をみると週刊スパイデーの記者だった。
「スパイデーの者が俺に何のようだ」
「単刀直入にいいます
あなたの婚約者のあきらさんのお写真を撮らせてください!!!」
がばっと記者が土下座し凶一郎は面をくらった。
「お前、それが何を意味するか分かっているのか?
業界では知れ渡っていることだろう。」
そう聞くと記者は勿論ですと答える。
現在あきらはあらゆる情報雑誌の記者たちにおいて最も警戒すべき人物として知られている。
そうなったのは数年前のことだ。
はあ、はあと荒い呼吸をした男が闇夜の中を走る。
脇腹には切り傷がついていて傷を抑えながら走った後には血の痕跡が残っていた。
そして男を追う女が一人。
彼女は刀を抜き軽やかな足取りで男を追う。
かつ、かつ、かつ、と歩く音が遠くの方から聞こえる。
逃げてしばらくが経つこちらは走っているのにも関わらず向こうはゆっくりと歩いている。
けれどいつまで経っても引き離せずそして追いつかれることもない。
あの女はきっと自分から足を止める時をずっと待っている。
そして足を止めた時が自分の最後だ。
女は死神のように鬼ごっこを楽しんでいる。
口元は見えないがうすら笑っているような気がして、背筋が凍った。
なんで、なんで、こんなことになっているんだ。
もう自分は解放されたはずなのに。
こんな目に合う理由が分からない。
日常を送れると思った瞬間にあんなのが待ち伏せしているなんて聞いていない。
理不尽だ、どうか、している…………
刺された部分から血が溢れ、止まらない。
血液が凝固しない薬品を塗っていたのか押さえても押さえても出血が止まらない。
とっくに傷は塞がっているはずなのに。
「あ、あ……」
血液を徐々に失ったせいか段々と走れなくなってきた。
女が次第に近づいてくる。
逃げなくちゃ、とよろよろと壁に捕まりながら足をすすめる。
やがて歩く体力もなくなって地面に倒れ込む。
それでも死にたくなくてなんとか腕だけの力で這いつくばって逃げようとした。
地面にはべったりと自分の赤い血がこびりついた。
なんと無様な姿なのだろう。
次第に縮まってく距離にじわりと涙が浮かぶ。
死にたくない、死にたくない、こんなところで生涯を終えたくない、その一心で懸命に逃げる。
でもその時は来てしまった。
「つーーかまえた」
「ひっっっ」
女は狂気の眼差しで男を上から見下ろした。
「…………足でも切っとくべきだったかな……
まぁでも死ぬんだからもういいか」
なんて女はニッコリと笑う。
じゃあ、たっぷり逃げたしそろそろ良いよね?と女は刀を振り上げようとするとのを必死に男が叫ぶ。
「やめてくれ!!
もう俺は記者じゃないんだ!!
もうあんな記事は書かない!だから……!」
だから、見逃してくれ、死にたくないと懇願する男に女は驚いて笑った。
「で、だから何?」
そんなことくらいであなたを許さないと女は笑顔で語りかける。
ああ、そうか。
この女は俺が記者だから追ってきたんじゃないんだ、たとえもうしないと言っていてもこいつには何も効果をなさない。
女、もといあきらはすっと刀を男の首に当てる。
「じゃあね」
そう言って男の首を刎ねようとして刀に糸が絡みついた。
「…………!凶一郎!どうしたの?」
僅かながらに返り血を浴びたあきらに凶一郎は眉間に皺を寄せて薬を這いつくばった男に投げつける。
「応急処置だ
今のうちになんとか逃げろ
それ以上のことは知らん」
凶一郎は男を鋼蜘蛛でしゅるりと巻き安全な場所に移動させた。
凶一郎なら止めることは容易いが万が一ということもある。
「…………凶一郎、なんで逃がしたの?」
「なんでとはこちらのセリフだ
あいつはもう記者じゃない、一般人だ」
先ほどの男はこないだ凶一郎の事をズタボロに書いた元記者である。
彼を退職に追い込んだのは凶一郎だが、命まで奪い取るつもりはなかった。
…………けれどあきらは最初から許す気はなかった。
じわりとじわりと恐怖を与え絶望を与え殺す気だった。
それも全て凶一郎の事を悪く書いたからである。
ここで止めなければきっとあきらは別の記者にも同じ事を繰り返すだろう。
それくらいあきらの瞳は冷たい。
「凶一郎は私に手出しするなって言いたいんだね」
日頃ほんわかとした印象から程遠い冷酷な顔をしてあきらは刀を鞘に収める。
「…………わかった、凶一郎が言うなら
ここは大人しく引くよ」
引き下がってくれたあきらに安堵する。
六美の事になると暴走する凶一郎だが、それはあきらも一緒で。
こうして驚くくらい狂気に満ちた行動を取る。
それもひとゆえ凶一郎の為と言う。
そんな彼女を止められければ、そう思った凶一郎だった。
「ええ、あの事件は業界全体に伝わりました
今では自発的に取材したいという記者はおりません
…………ですが……
なんとしても!!インタビューは無理でも!!
表紙だけでも写真を撮りたいのです!!」
「そうは言ってもな」
あのあきらのことだ、確実に暴走しないという可能性はない。
「はい、なので夜桜さんも一緒に映って頂きたいのです」
「それは構わないが…………
何故そんなにあきらの写真を撮りたがる」
「…………あきらさんの父親からの依頼です
普段娘の笑顔を見ることがないのでさせて雑誌の写真でもいいから見たい……と」
「…………」
凶一郎はそうか、と言い返事をした。
「凶一郎、連れて行きたい場所ってここ?」
「ああ」
凶一郎は戸を開くとそこは写真撮影場だった。
見覚えのある記者にあきらは表情を固まらせて歪ませる。
「あきら表情が固いぞ
これから俺と一緒に写真を撮るんだからな」
「えっ、凶一郎と一緒に!?」
初耳!!と驚くあきらを連れて準備をしてもらう。
時おり、手が動こうとしたあきらの手を掴み何とか撮影までこぎつけた。
カメラの前に移動するもやはりあきらの表情は固い。
カメラマンが笑顔でというが表情は中々変わらない。
なら、感情を上書きする他ないなと凶一郎はあきらの腰を抱き寄せた。
「!?凶一郎!?」
ぐっと近くなる距離にあきらの頬が染まって表情がふっと緩んだ。
「俺は笑顔のお前と一緒に映りたい
笑ってくれないか」
凶一郎はあきらの頬に手を当てる。
「凶一郎…………うん……」
そう言って笑ったあきらの表情はいつもと同じく温かみのある笑顔に戻った。
「あ!!ほんとだ!お姉ちゃん映ってる!」
「うう、なんだか恥ずかしいな……」
と家族団らんで雑誌を眺めているのを見守りながら凶一郎は今頃届いてる頃かと窓の外を見た。
荷物が届き、男は自室に入って包から雑誌をとりだした。
表紙には笑顔の娘とその婚約者が映っている。
男はその写真を見て微笑んだ。
挨拶代わりにと名刺を渡され名前をみると週刊スパイデーの記者だった。
「スパイデーの者が俺に何のようだ」
「単刀直入にいいます
あなたの婚約者のあきらさんのお写真を撮らせてください!!!」
がばっと記者が土下座し凶一郎は面をくらった。
「お前、それが何を意味するか分かっているのか?
業界では知れ渡っていることだろう。」
そう聞くと記者は勿論ですと答える。
現在あきらはあらゆる情報雑誌の記者たちにおいて最も警戒すべき人物として知られている。
そうなったのは数年前のことだ。
はあ、はあと荒い呼吸をした男が闇夜の中を走る。
脇腹には切り傷がついていて傷を抑えながら走った後には血の痕跡が残っていた。
そして男を追う女が一人。
彼女は刀を抜き軽やかな足取りで男を追う。
かつ、かつ、かつ、と歩く音が遠くの方から聞こえる。
逃げてしばらくが経つこちらは走っているのにも関わらず向こうはゆっくりと歩いている。
けれどいつまで経っても引き離せずそして追いつかれることもない。
あの女はきっと自分から足を止める時をずっと待っている。
そして足を止めた時が自分の最後だ。
女は死神のように鬼ごっこを楽しんでいる。
口元は見えないがうすら笑っているような気がして、背筋が凍った。
なんで、なんで、こんなことになっているんだ。
もう自分は解放されたはずなのに。
こんな目に合う理由が分からない。
日常を送れると思った瞬間にあんなのが待ち伏せしているなんて聞いていない。
理不尽だ、どうか、している…………
刺された部分から血が溢れ、止まらない。
血液が凝固しない薬品を塗っていたのか押さえても押さえても出血が止まらない。
とっくに傷は塞がっているはずなのに。
「あ、あ……」
血液を徐々に失ったせいか段々と走れなくなってきた。
女が次第に近づいてくる。
逃げなくちゃ、とよろよろと壁に捕まりながら足をすすめる。
やがて歩く体力もなくなって地面に倒れ込む。
それでも死にたくなくてなんとか腕だけの力で這いつくばって逃げようとした。
地面にはべったりと自分の赤い血がこびりついた。
なんと無様な姿なのだろう。
次第に縮まってく距離にじわりと涙が浮かぶ。
死にたくない、死にたくない、こんなところで生涯を終えたくない、その一心で懸命に逃げる。
でもその時は来てしまった。
「つーーかまえた」
「ひっっっ」
女は狂気の眼差しで男を上から見下ろした。
「…………足でも切っとくべきだったかな……
まぁでも死ぬんだからもういいか」
なんて女はニッコリと笑う。
じゃあ、たっぷり逃げたしそろそろ良いよね?と女は刀を振り上げようとするとのを必死に男が叫ぶ。
「やめてくれ!!
もう俺は記者じゃないんだ!!
もうあんな記事は書かない!だから……!」
だから、見逃してくれ、死にたくないと懇願する男に女は驚いて笑った。
「で、だから何?」
そんなことくらいであなたを許さないと女は笑顔で語りかける。
ああ、そうか。
この女は俺が記者だから追ってきたんじゃないんだ、たとえもうしないと言っていてもこいつには何も効果をなさない。
女、もといあきらはすっと刀を男の首に当てる。
「じゃあね」
そう言って男の首を刎ねようとして刀に糸が絡みついた。
「…………!凶一郎!どうしたの?」
僅かながらに返り血を浴びたあきらに凶一郎は眉間に皺を寄せて薬を這いつくばった男に投げつける。
「応急処置だ
今のうちになんとか逃げろ
それ以上のことは知らん」
凶一郎は男を鋼蜘蛛でしゅるりと巻き安全な場所に移動させた。
凶一郎なら止めることは容易いが万が一ということもある。
「…………凶一郎、なんで逃がしたの?」
「なんでとはこちらのセリフだ
あいつはもう記者じゃない、一般人だ」
先ほどの男はこないだ凶一郎の事をズタボロに書いた元記者である。
彼を退職に追い込んだのは凶一郎だが、命まで奪い取るつもりはなかった。
…………けれどあきらは最初から許す気はなかった。
じわりとじわりと恐怖を与え絶望を与え殺す気だった。
それも全て凶一郎の事を悪く書いたからである。
ここで止めなければきっとあきらは別の記者にも同じ事を繰り返すだろう。
それくらいあきらの瞳は冷たい。
「凶一郎は私に手出しするなって言いたいんだね」
日頃ほんわかとした印象から程遠い冷酷な顔をしてあきらは刀を鞘に収める。
「…………わかった、凶一郎が言うなら
ここは大人しく引くよ」
引き下がってくれたあきらに安堵する。
六美の事になると暴走する凶一郎だが、それはあきらも一緒で。
こうして驚くくらい狂気に満ちた行動を取る。
それもひとゆえ凶一郎の為と言う。
そんな彼女を止められければ、そう思った凶一郎だった。
「ええ、あの事件は業界全体に伝わりました
今では自発的に取材したいという記者はおりません
…………ですが……
なんとしても!!インタビューは無理でも!!
表紙だけでも写真を撮りたいのです!!」
「そうは言ってもな」
あのあきらのことだ、確実に暴走しないという可能性はない。
「はい、なので夜桜さんも一緒に映って頂きたいのです」
「それは構わないが…………
何故そんなにあきらの写真を撮りたがる」
「…………あきらさんの父親からの依頼です
普段娘の笑顔を見ることがないのでさせて雑誌の写真でもいいから見たい……と」
「…………」
凶一郎はそうか、と言い返事をした。
「凶一郎、連れて行きたい場所ってここ?」
「ああ」
凶一郎は戸を開くとそこは写真撮影場だった。
見覚えのある記者にあきらは表情を固まらせて歪ませる。
「あきら表情が固いぞ
これから俺と一緒に写真を撮るんだからな」
「えっ、凶一郎と一緒に!?」
初耳!!と驚くあきらを連れて準備をしてもらう。
時おり、手が動こうとしたあきらの手を掴み何とか撮影までこぎつけた。
カメラの前に移動するもやはりあきらの表情は固い。
カメラマンが笑顔でというが表情は中々変わらない。
なら、感情を上書きする他ないなと凶一郎はあきらの腰を抱き寄せた。
「!?凶一郎!?」
ぐっと近くなる距離にあきらの頬が染まって表情がふっと緩んだ。
「俺は笑顔のお前と一緒に映りたい
笑ってくれないか」
凶一郎はあきらの頬に手を当てる。
「凶一郎…………うん……」
そう言って笑ったあきらの表情はいつもと同じく温かみのある笑顔に戻った。
「あ!!ほんとだ!お姉ちゃん映ってる!」
「うう、なんだか恥ずかしいな……」
と家族団らんで雑誌を眺めているのを見守りながら凶一郎は今頃届いてる頃かと窓の外を見た。
荷物が届き、男は自室に入って包から雑誌をとりだした。
表紙には笑顔の娘とその婚約者が映っている。
男はその写真を見て微笑んだ。
