凶一郎の婚約者さん
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温泉旅行から数日経った日の事。
夜桜家に一通の手紙が届いた。
手紙の内容を確認した六美は今年も来たかーーと懐かしそうな顔をした。
「何が来たんだ?」
「そう言えば、太陽は知らなかったね
毎年この時期にスパイ協会演劇会主催が開く演劇大会が開かれるの」
「へーーほんと色々あるんだな……」
「ここのところしばらく参加してなかったんだけど
太陽も来たことだし参加してもいいかなって思って」
太陽はふーーんと手紙を眺める。
「それで何やるとかは決まってるのか?」
「演目はこっちで決めれずに毎年ランダムにお題が配られるんだ、えーーと確か一緒に入ってたはず……」
ごそごそと六美は封筒をあさってあった!と一枚の紙を出した。
「何何……演目は……シンデレラかぁ」
「ほう、今年はシンデレラか」
「わっ!脅かさないでよお兄ちゃん」
凶一郎は六美の手を取る。
「シンデレラとなれば話は早い
俺が王子役をやり六美がシンデレラ役を……!」
「何バカなこと言ってんだい」
ごすっ!と二刃が凶一郎の頭を殴る。
「あの子がシンデレラ役をやれないことくらいあんただって分かってんだろうね」
「ちっっっ」
舌打ちする凶一郎に太陽が二刃に聞いた。
「あの、六美がシンデレラ役をやれないというのはどうしてですか?」
「ああ、太陽は知らなかったね
演劇大会と言っても妨害、狙撃、何でもありでね
戦えないと意味がないのさ」
なるほど……と太陽は何でもありなルールに冷や汗をかく。
どこか嫌な予感がした。
「さて、あんた達配役決めるよ
まずはシンデレラと王子役だけど……
あきらと凶一郎でいいね?」
「え……!?!?私!?」
目を白黒させるあきらに凶一郎が待ったをかけた。
「それはダメだ、あきらに演技は出来ない」
「あんたね、その言い方はないんじゃないかい?
昔やってたじゃないか」
「それは昔の話だろう、今は違う」
凶一郎は見せた方が早い、とあきらの前でプロポーズでもするかのように膝をついた。
「あきらここは舞台上と仮定しろ
俺がセリフを言うからお前らはこの文字を読め」
「わ、分かった」
こくりとあきらが頷き、凶一郎はあきらの手をとる。
「俺と踊ってくれないだろうか」
恐らく舞踏会でのシーンをイメージしているのだろう、凶一郎は胸に手を当てている。
あきらは演技ではないだろうが、顔を朱に染めて口を開いた。
「よ、喜んで…………」
「声ちっさ!!!!!!」
蚊の鳴くような声の小ささに太陽は思わず突っ込んでしまう。
「見ての通りだ、俺と一緒にいるだけで緊張するのに加えいなくても声が小さくなってしまうのでな
代案を考えよう」
「でもクソ長男とセットなんて嫌なんだけど」
「私も嫌だねぇ」
冷たい妹達に凶一郎は表情を固まらせている。
すると傍観していた嫌五がしゃーねぇ、と六美に変装した。
「嫌五がシンデレラ役をやるのか?」
「シンデレラ役なんてやれるわけねぇだろ
つーか太陽劇の内容知らねぇな?」
「知らねぇだろってシンデレラだろ?知ってるって」
いくらなんでも……と笑う太陽に嫌五は説明する。
「とある王国に母そして姉2人に虐められているシンデレラという女性がおりました」
太陽はうんうんと頷く。
なんだ普通のシンデレラじゃないか。
「母と姉二人はお城からきた招待状に基づき、武闘会へと行きました」
「うんうん……舞踏会じゃなくて武闘会!?!?」
「そう、武力が大事な王国は深刻な後継者問題に悩まされておりました
そこで強い女性達を集めさせナンバーワンを決めることで強い後継者を生み出そうと考えたのです
しかしシンデレラは非力で筋肉がなく、参加することが出来ませんでした
するとなんということでしょう、魔法使いこと怪しい研究者の薬によって筋肉隆々の体を手に入れることができました
薬の効果は午前十二時まで、それまでにシンデレラは武闘会を勝ち進めることが出来るのでしょうか……
こんな感じの話だ」
「そ、そんな話だったのか……」
「で、もちろんシンデレラ役は太陽な!!
シンデレラ役が一番大変だからな〜〜〜
攻撃してくる頻度も高いし、ちなみにこの武闘会は他の劇に参加してる奴らも飛び入り参加してくるぞ☆」
「いやああああああ!!!!!」
泣き叫ぶ太陽に六美がファイト!!と応援したのてあった。
「うう、ドレス姿なんて恥ずかしい…………」
赤面する太陽に六美はバシャバシャとカメラで写真を撮る。
「太陽!!!可愛いよ!!!!
ほら!!!こっち!笑顔向いて!!!」
「六美、お兄ちゃんも撮って」
「ごめん、お兄ちゃん私太陽撮るのに忙しいから」
相手にされない凶一郎はドレスの袖をきーーー!!と噛む。
凶一郎といえばフリフリのドレスを着ているのにも関わらず堂々としている。
「凶一郎、あんまり引っ張ると服ちぎれちゃうよ」
「すまん」
ちなみに配役はこうだ。
シンデレラ役が太陽、王子役は嫌五(六美に変装)。
ママ母役が凶一郎、姉1姉2が二刃、四怨。
魔法使いこと科学者が七悪。
六美は当然参加は出来ないので見物客で、もちろん辛三も不参加だ。
そしてあきらは。背景の木役だ。
「まぁ木は必要だからな
木なら喋らないしこれなら大丈夫だろう」
「うん、私頑張って皆を見守るね!」
そしていよいよ夜桜家の劇のターンが回ってきた。
ちなみにナレーション役は殺香である。
「ここは武力が制するとある王国。
とある家にそれはそれは非弱なおなごがおりました……
その名はシンデレラ、彼女は弱いが為に義理の母と姉2人にそれはたいそうに虐められているおりました」
「ほらほら、なんだその貧弱な有り様は
そんな様子ではとても六美を任せられん、さぁこの離婚届にサイン、ぐえっ」
凶一郎にどかりと二刃が乗っかる。
「この長男、ちゃんと進めな
そこのシンデレラ、ほこりがとれてないよ
ちゃんと掃除しな」
「そーそーーあ、ついでにパン買ってきて」
「これパシリだ!!!てかゲームしてる!」
と話をしている間にも舞台上には銃やらミサイルやらどんどんやってきて太陽は悲鳴を上げながら叫けつづける。
一方、凶一郎達は平気な顔で攻撃を捌いてたがどこか違和感を感じた。
手ぬるい、と思っていると二刃と演技をしながら目線で会話をする。
(何か攻撃の回数少ないね?)
(ああ、何故かは分からないが……)
一つ前の参加者よりも僅かに攻撃の手が緩んでいる。
たとえ夜桜といえども手を抜くことはないはず……と凶一郎は首を傾げた。
それが自分の後ろで満面の笑みで凶一郎を眺めるあきらのせいだとは知らずに。
「おい、気づいたか……」
「ああ、なんだあの笑みは……」
「攻撃したら報復するとでも訴えかけているのか?」
「分からん……だが今回は控えめにしよう」
「そしてシンデレラの住む家にとある招待状が届きました
そう、武闘会へのお誘いです
しかし、シンデレラの参加は許されませんでした、参加条件は強いこと。非弱なシンデレラでは到底叶わない事でした…………ああっ太陽様なんと嘆かわしいのでしょうか……!!」
ナレーションによる私情が入っているような……と太陽は苦笑いをする。
「では俺らは武闘会に行ってくるが
いっそのこと参加して死んでもらっても構わんぞ♡」
「くだらないこと行ってないでさっさと行くよ」
凶一郎は二刃にずるずると引きずられて舞台袖にはけていった。
ハハハと引きつり気味に見送った太陽の元に白衣を着た七悪がやってきた。
「こんにちは、何かお困りはありませんか?」
「え、ええと……お、わ、わたくしは武闘会に参加したいのですが、こ、こんな有り様なのです
何か、いい方法はありませんでしょうか??」
七悪はごそごそとポケットから薬を取り出した。
「てれってれー!!筋肉隆々になる薬〜〜〜」
「ネーミングセンスそのま!!!」
「これはどんな人でも筋肉増強できる薬だよ
…………ただしあんまり頻繁に服用すると死んじゃうから気を付けてね…………」
「こわっ!!!!!」
太陽はグビリと薬を飲むと一気に筋肉が膨れ上がりびりびりと着ていた服が裂ける。
「いやー!!!!!」
すると客席の方からバシャバシャとカメラ音が聞こえた。
きっと六美だな…………と太陽は予め用意していた服を着る。
「六美……それくらいにしておいた方が……」
「いや!!太陽の貴重なシャッターチャンスよ!?
無駄には出来ない!!!」
うーん、こういうところ凶一郎兄ちゃんにそっくりなんだよな……と辛三は苦笑いした。
「じゃあ僕は帰るから」
「えっ、かぼちゃの馬車は??」
「そんなものないよ
これから闘いにいくのになんで自分の足でいかないの??あ、ちなみに武闘会の会場までは200kmあるから急いでいかないと薬の効果が切れちゃうよ!」
思ったよりスパルタだ!!と急ぐ振りをして太陽は足を動かした。
「こうして太陽さ、……ごほん、シンデレラは武闘会場に着きました
参加者の皆様これからは舞台上に上がっていただけますのでご参加したい方は是非ご参加ください」
殺香の声にぞろぞろとスパイ達が舞台に向かって歩いていく。
六美は応援のうちわを掲げながらファイト!!と応援したのだった。
武闘会はそれはもうはちゃめちゃだった。
あっちこちらで乱闘が起き、太陽を狙わない者もいた。
当然狙いは凶一郎である。
が、凶一郎に届くはずもない。
全て鋼蜘蛛によって敵は遥か彼方にまで吹っ飛び、時折太陽にちょっかいをかけるくらいである。(そのたびに二刃からげんこつをくらっていた)
後はクライマックスに向けるのみ……と展開を進めようとした時、六美に変装していた嫌五が立ち上がった。
「????」
ここでまだ王子役は動かない、脚本と違う……と太陽が不思議に思った瞬間嫌五が変装を解いた。
「飽きた、やーーーめた」
王子衣装も脱ぎ捨て、嫌五は舞台上から下りていく。
えええ…………?と場にいる誰もが引いたのだった。
後日、六美に「嫌五のせいで私達論外で賞貰っちゃったんだけど!!反省してるの!?」と言われ嫌五は。
「えー??そもそも俺シンデレラ王子役はやることなくて退屈で嫌だし
俺楽しい事しかしねーもん」
と反省0な嫌五であった。
