凶一郎の婚約者さん
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凶一郎の誕生日でもある正月を迎え、お雑煮とおせちを食べた夜桜一家は馴染みの神社へと出かけた。
裏業界向けの神社で夜桜家と似たようにここの神社は裏業界の一家が取り仕切っている。
神社に着くと殺し屋やスパイなど……あらゆる裏業界の人間が集っている。
当然ここでは戦闘は禁止されている。
「はぁ……ここは毎年混むから嫌なんだよ……」
家にこもってゲームしたかったと四怨がぼやく。
「まあまあ、任務遂行とかお守りあるのここくらいなんだし……」
「へっ、お守りなんざオカルトなんて信じねーての
てかあきら姉ちゃんは?」
「もう着いてるってメッセージ来てるけど……
これだけ人多いとね……」
あきらは年明けた瞬間いつも凶一郎の誕生日を祝ってから自宅に戻り、こうして神社の前で落ち合うのというのが恒例と化していた。
大方人混みで身動きがとれなく困っているのだろう。
ここでは戦闘が禁止なので刀を振るう訳にもいかず立ち往生しているあきらが予想できた。
仕方ない、と凶一郎は電話をかけるとすぐに出た。
『凶一郎?ごめんね、中々人混みから出れなくて……』
「今どこだ?目印がないのならジャンプしろ」
『ジャンプ……?分かった』
すると遠くの方で見覚えのある頭がちらちらと見えるので鋼蜘蛛を飛ばしてこちらに移動させた。
「ありがとう、凶一郎
あけましておめでとう、皆」
あきらは鋼蜘蛛によって宙に浮いたままぺこりと挨拶をする。
「挨拶するのはいいけど、まずは地面に降りな」
賽銭箱にお参りをして、おみくじを引く。
各々が運勢の結果で一喜一憂する中あきらが中身を見ると満面の笑みになったので大吉でも出たのかな?と六美が思っていると。
「見て見て!!大凶!!!」
逆だった。
普通なら落ち込むところがあきらは本当に嬉しそうにおみくじを眺める。
「大凶引いて喜ぶのお姉ちゃんくらいだよ?」
そう言うとあきらはえーー?と信じられない様子だ。
「だってだって、大凶だよ?凶だよ?
凶一郎の凶だもん、これはいいこと起きるね……」
ふふ、と微笑んだあきらに子供がすっ転び持っていたジュースが顔にかかった。
「ごめんなさい!!」
「いいの、いいの、だって私は大凶を持っているから……」
「ママーー!!変な人いるー!!!」
子供に変な人呼ばわりされたが、依然としてあきらは上機嫌のままだった。
このままだと通り魔にあい刺されたとしても大凶だからいいと許してしまいそうだ。
おみくじを持って嬉しそうなあきらから凶一郎は大凶をぶんどった。
「な、何するの、返して……!」
「返さん、これは俺が結んでおく」
通常悪いおみくじを引いたらそれ以上悪いことが起きないよう神社に結んでおくがお決まりだ。
あきらが届かぬよう高い場所に結ぶとなんとか取り戻そうとぴょんぴょんウサギのように飛んでいた。
「〜〜〜〜っ、届かない〜〜」
「ふっ、残念だったな」
「返してよぉ」
「泣いても無駄だ、諦めろ」
あまり泣くところは見たくないが、ここは心を鬼にせねばなるまい。
あきらは凶一郎のコートの裾を掴み拗ねている。
あまりこんなことはしないあきらだが、これがせめてものの抵抗なんだろう。
帰り道、しばらく無言だったあきらだったが時間がたって怒りが収まったようですぐに謝罪した。
「凶一郎、何願った?」
「無論六美の平穏だ」
ぶれない凶一郎にあきらは嬉しそうににこにこ笑う。
「そういうお前は?」
「私?んー……これからも凶一郎の隣に入れますように、かな」
というあきらに凶一郎はそんな事を願ったのか、とそっけない。
「わざわざ願わなくても一緒にいれるだろう」
当たり前のようにずっと隣にいてくれると凶一郎が言いあきらは驚き微笑んだ。
「……そっか、じゃあ来年は他の事を願おうかな」
「好きにしろ」