凶一郎の婚約者さん
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例の分身騒ぎから数日、あきらは凶一郎に借りた本(拷問本)を読んでいた。
例の件については凶一郎はあまり記憶が定かでないそうで、良かったとあきらは安堵した。
こないだの自分の叫びを聞かれてなくて本当に良かった。
パラリとページを捲っているとバン!!と大きな音を立てて凶一郎が部屋に入ってくる。
珍しいな、凶一郎は必ずノックするのに……
「あ、もしかしてこの本?ごめんね、まだ読み終わってなくて……もうちょっと待ってもらっていい?」
と言ったが凶一郎は気にせずにこちらに向かってきて椅子に座ったあきらに合わせて膝をつき、近づいてきた。
思わず顔を本で隠すとするりと奪われてしまう。
「凶一郎……?」
何かこころなしか彼の視線が熱いような……と思っていると黒手袋をはめた凶一郎の手が伸び、あきらの唇を指でゆっくりなぞった。
「っっっ!?!?」
ぼっと火が出るような勢いで顔を真っ赤にする。
すりすり、と唇をなぞっていた凶一郎は手を離したかという思うとあきらの顔に手をそえて、ゆっくりと顔を近づけていく。
「え、ま、待って、」
しかし、凶一郎は止まる気配がない。
ぎゅっと目を瞑ると、開いたドアの向こう側から鋼蜘蛛が飛んできて凶一郎をぐるぐる巻きにした。
「……全く、やはりこうなったか……」
「きょ、凶一郎が二人!?!?」
ではどちらかが偽物だが、どちらも本物に見える。
「何もされてないな?」
「えっっ、えと、い、一応……?」
頬を染めているあきらに凶一郎は眉を上げた。
まぁ、ぎりぎりセーフといったところか。
「こないだの七悪の薬の事は覚えているな?
俺はあまり記憶はないが」
「う、うん、あ……もしかして凶一郎も……?」
そう聞くと凶一郎はああと答え、つい先程のやり取りを説明する。
約5分前。
凶一郎は七悪に呼び止められた。
しかも、小さい姿で。
「凶一郎お兄ちゃん、何も聞かずにこの薬飲んでほしいな」
「…………七悪、嫌な予感しかないんだが」
「大丈夫、じっけんた……サンプ……ううん、お手伝いがもう一人欲しいんだ」
ますます嫌な予感が強まり、後ずさる凶一郎の袖を七悪がそっと掴む。
「…………お兄ちゃん、ダメ?」
「っっっ!!!いいとも!!!!」
末っ子に長男は勝てない。
七悪から受け取った薬を勢いよく飲む。
味は苦いがこれくらいなら大丈夫だろう。
「それでこの薬はなんだ?」
「こないだあきらお姉ちゃんが飲んだやつと同じだよ」
こないだ……と凶一郎はあやふやな記憶を辿る。
七悪から聞いた説明は…………と思い出したあたりであきらと同じ現象にみまわれ気付くと自分がもう一人立っていた。
そしてそのまま走り去ってしまい…………。
「ということだ」
「じゃあ、この凶一郎は思いが分離した分身?ってことなんだね」
「あ、いや、俺のは違う
その、それではなくてな、予め要素が足されているというか」
「?よく分かんないけど凶一郎が元々持ってた思いが分裂したわけじゃないってことだね、分かった」
純粋なあきらは凶一郎が言う事を疑いもせず、すぐに信じてしまう。
それもあって思春期に凶一郎があきらの事を恋愛的に好きじゃないと百に向かって言った言葉を偶然聞いてしまい、それをずっと本当の事だと勘違いしてしまっている。
分身の方の凶一郎といえば拘束されたまま解けと言わんばかりにジタバタ暴れている。
自分と同じ顔をしたのをこう捕まえていると複雑な気分だ。
そんな分身をあきらは悲しそうに見つめている。
「気になるか」
「気になるっていうか……いくら分身でも拘束されてる姿はあまり見たくないかなって……」
「…………」
仕方ないと、凶一郎は分身に余計なことはするなと釘をさしてから拘束を解く。
「凶一郎、大丈夫?」
這いつくばっていた凶一郎に声をかけるとがばっと抱きついてきてあきらは尻もちをついた。
若干痛いほど抱きついてくる分身になんだか犬みたいだなぁと思っていると。(本物の方の凶一郎は眉間に皺を寄せている)
うなじに顔をよせていた分身がペロリと肌を舐めてきて、ぞわりと何かが走る。
「!?」
舌はそのまま鎖骨へと移動し、キスをして下半身を股間あたりにぐりぐりとすりつけてきた。
咄嗟のことに判断できなかったあきらの代わりに再度凶一郎は分身を縛り付ける。
「おい、いい加減にしろ」
こめかみに青筋を浮き立てて怒っている凶一郎に分身はほくそ笑む。
『何故だ?俺はお前だ
どうして自らの欲望を止める?』
「っ、」
『俺はお前が何を望んでいるのかを知っている』
動揺のせいか、糸がほつれ拘束が緩む。
拘束が解けた分身は、見ておけと言わんばかりにあきらを後ろから抱きしめた。
「っ、凶一郎!?、あっ分身の方か……びっくりした……」
『あきら』
「っ、ひゃい」
普段とは違う甘い声に返事がうわずる。
いや、これはあくまでも本物じゃない、分身であってーー!と頬を赤らめているあきらに分身の凶一郎は愛を囁く。
『好きだ』
「……う、うう」
『そんなに顔を赤く染めて…………可愛いな
ああ、食べてしまいたい』
これは違う!!!本物はこうは思ってない!!とぶんぶん首を振っていると分身の指が体をはった。
自分が何を思っているのか、と指は色んなところを触れていく。
そして、最終的に分身はあきらのお腹の下あたりを擦る。
『っはぁ、ここに注ぎたい……』
「……?な、何を?」
『決まっているだろう、俺の…………』
見た目は自分だが、まるで間男に奪われているような感覚に耐えられないと凶一郎はあきらを分身と挟み込んだ。
「きょ、凶一郎!?!?」
分身は本体が邪魔してきたと睨んでいる。
思い通りにはさせんと凶一郎もあきらの手に振れ指を絡ませる。
「〜〜〜〜〜っ!?!?」
はわわわわわと慌てるあきらに凶一郎は勝ったな、と分身に自信満々に笑う。
すると分身は見てろと言わんばかりに、あきらのスカートをたくし上げ、太ももをなぞった。
「ひゃんっ!!!」
際どいラインをつう、となぞりあきらの腰が浮く。
「や、やめ……」
涙目になっているあきらに気づかず、それに負けずとして凶一郎もヒートアップしてしまい今度は上の服を捲り、へそのあたりをちろりと舌で舐める。
このまま応戦が繰り広げられ、行くとこまで行くと思われたが…………
二人の凶一郎に色々され、あきらの許容量がついに越えてぼふんと湯気を立てて気絶してしまった。
「………………」
『………………』
ぐるぐる目を回しているあきらに二人とも流石に手を止めて、気絶したあきらをベッドに移す。
「認めよう」
『何をだ?』
「確かに俺は、そういう欲望を持っているらしい」
そういうと、分身はふっと笑い消える。
「さて……」
凶一郎は熱にうなされるように唸っているあきらを見る。
「今はまだ手を出さないが…覚悟しておくんだな」
自分の愛はとびっきりどろどろに甘いぞと宣言した凶一郎はあきらの手をとり薬指にキスをした。