凶一郎の婚約者さん
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凶一郎は帰宅し、あきらの部屋を訪れると今は会えないと返事が返ってきた。
いつもなら、すぐにでもドアが開くのに。
何か不審な事でもあるのかと思い、開けてくれと言っていると控えめにドアが開き、だるだるなTシャツを着たあきらが現れた。
身長差のせいか自然と胸元が見えてしまい、思わず目線をそらす。
下を履いていないのかぎりぎり下着が見えるか否かの際どさを放っている。
「なんだその格好は」
「何って……四怨の服だけど」
「いつもの服はどうした」
たまたま全部洗っちゃって着る服無かったから四怨に借りたんだ、ゆるゆるの服をきたあきらが話す。
「二刃はサイズが合わないし、六美は……その、何か気が引けるので……」
道理で部屋に入れたくないはずだ。
じゃあ、とドアを閉じようとしたあきらを凶一郎がひきとめる。
「………待て」
「わー凶一郎のシャツ大きい、これなら……ちょっとは隠れそうかな?……足元はちょっと見えてるけど……」
とりあえず胸元は隠せたが新たな問題が発生した。
足は以前として出ているのとあきらが自分のYシャツを着ている状況に再び目のやり場に困る。
「ありがとう、凶一郎」
「……大したことはしていない、あきら?」
凶一郎の服を着て、あきらはちょっとそわそわしていた。
「な、なにも??ちょっと凶一郎の、に、匂いがしてドキドキしてるなんて思ってないよ!?」
分かりやすい反応に凶一郎は頭を壁にぶつけた。
「凶一郎!?」
「気にするな、邪な心を消し去ってただけだ」
邪?、とあきらは頭を傾げている。
「よく分かんないけど……私自分の部屋に戻ってるね」
「いや、洗濯物が乾くまでここにいろ
嫌五あたりにでも見られてみろ、あらぬ疑いをかけられる」
そして妹弟に揶揄されるまでが落ちだ。
「…………でもいいの?私部屋にいても」
「何がだ、別に構わん」
「……凶一郎が良いっていうんならいいんだけど……」
忘れてるのかなぁ、とあきらは16歳の時の出来事を思い出す。
凶一郎が帰宅し自室に入るとあきらが寝間着のまま自分のベッドで待っていた。
「あ、おかえり!凶一郎」
ニコニコと笑うあきらに凶一郎は頭が痛くなる。
「だから何で俺の部屋のしかもベッドで待ってるんだ」
「え、だってここで待ってた必ず会えるでしょ?
眠くなったらここで寝ればいいし」
「それは俺のベッドなんだが」
「凶一郎使わないのに」
それはそれこれはこれと凶一郎は叱る。
「しかもその格好はなんだ」
「?パジャマだけど」
夜だから当たり前とあきらは不思議そうに答える。
…………ここ数年過ごしていて気づいた事だがあまり自分は異性として意識されていないように思える。
あきらが自分の事を好きなのは間違いないのだが、あまりにも考慮していない行動に少し腹が立つ。
あきらは凶一郎が睡眠を取らなくなった一因を知らない。
仕事が忙しくなり、単純に睡眠をとれなくなったのもあるが中学生あたりから時折あきらが出てくるえっちな夢を見るようになった。
夢を見た日はあまりにも気まずくまともに目が合わせられなく、日常会話にも支障をきたすほどだった。
言っていない自分も悪いが、こんな無防備なあきらも悪いと思い始めた。
じゃあ、そろそろ自分の部屋に戻ろうかなとあきらをベッドに押し倒した。
「?凶一郎?」
押し倒している凶一郎にあきらは頭が追いついていないのかこれから何をしようかなんて思っていない無垢の瞳で見ている。
「いいか、深夜に男の部屋に入るというのはこういうことだ」
そう言って凶一郎はあきらの体に指をはわした。
「…………!?!?」
くすぐったい感覚にあきらは思わずきゅっと目を瞑る。
それから凶一郎は耳に息を吹きかけたり、首元を舐めたり寝巻きを少しだけはだけさせ、以下に男の部屋を訪れることが危険なことかを体に教え込む。
あきらのギブアップがあったが、行為に夢中になっていた凶一郎は刻み込む為、それを無視して続ける。
こんなものだろう、と身を起こした凶一郎はやりすぎたとあきらの顔を見て思った。
「…………ぐすっ、わかった、わかったから……」
初めての刺激に思わず涙目になり、頬を上下し寝巻きは乱れ情欲を連想させる様子に凶一郎は視線が外せない。
そしてそのまま凶一郎はあきらに覆い被さりーーとしたところでこんこんとノックの音が鳴る。
ふたりともビクンと急いで身を正すと凶一郎の父、百が入ってきた。
「凶一郎、……おや君も来てたのか」
「!!!、お、お休みなさい!!」
百と入れ替わるようにあきらは慌てて部屋を出ていき、凶一郎はほっと安堵した。
あと一歩で一線をこえるところだった。
「ところで父さん、何か用あるのか」
「ん?ああ、さっき終えたところだ」
さっき?と凶一郎に百は肩にポンと手を置く。
「するならちゃんと避妊しなさい
私は構わないと思うが向こうの親御さんから言われているだろうが……それも忘れないようにな」
「………………」
そう言って百は部屋から出ていき、凶一郎はベッドに倒れ込む。
「……分かってる」
凶一郎は思春期を迎えた頃あきらの父から言われた言葉を思い出す。
『結婚純潔を破ることのないよう君を信頼している』
あれが最初に凶一郎を異性として意識する出来事だったな、と思い出す。
あれ、以来律儀に約束を守り深夜に凶一郎の部屋を訪れることは無くなった。
思えば凶一郎は私にきっと婚約者といえども深夜まで入り浸っちゃダメってことを教えてくれたんだなぁと違う意味で捉えてしまったあきらだった。