凶一郎の婚約者さん
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朝、六美が淹れてくれたダークスイートの紅茶を飲むことが凶一郎の日課である。
自分で挿れることもあるが、やはり最愛の妹に淹れてもらうこの紅茶が一番だ。
冷めないうちに飲もうと口をつけようとして、凶一郎はこないだの出来事を思い出し、気持ちが少し冷めた。
それもそのはず、この紅茶の元の茶葉は日頃凶一郎が疎ましく思っている太陽が凶一郎への感謝の気持ちとしてプレゼントとしたものだ。
本人としてはこっそり補充しとくつもりだったが、ひょんなことからバレてしまい凶一郎は太陽の行動が理解出来なかったのもありそれはもう複雑な気分だ。
が、それはそれとして妹が淹れてくれた紅茶を残すわけにはいかない、ぐっと飲み干すと廊下から例の忌まわしい弟の声がした。
眉間に皺を寄せると自分もよく知っている人物の声もした。
「あきら姉さん、こないだは助言ありがとうございました」
「助言なんて、私はあくまでも候補の一つを上げただけだし、頑張ったのは太陽だよ」
そう言うと太陽はそうですかね、とハハハと笑った。
遡ること数週間前。
あきらと一緒に体力作りとしてジョギングを行っていた太陽はベンチで休憩する途中、こんな相談をした。
「実は折入ってお願いがあるんですけど……
凶一郎兄さんに日頃の感謝として何か贈り物をしたいんですけど、どれだったら喜ばれるんでしょうか?」
凶一郎にプレゼントを贈りたいという太陽にあきらは驚いた。
あれだけ常日頃忌み嫌われいるというのに感謝の気持ちを伝えようなんて、自分にはとても出来ないなと感心しつつあきらはうーーんと思考した。
「やっぱり六美ちゃん……かな?
六美の手料理とか六美の写真とか……」
「あ、出来れば六美以外の物で……
それだと俺が贈ることに意味がないし、そもそも六美が嫌がると思うので……」
苦笑いしながら太陽はやんわりと断った。
「でもなぁ、凶一郎は六美ちゃんが大好きだし……」
「他に何かありませんか?」
しばらく唸っていたあきらはあ、と思いついた。
「そうだ、紅茶!
昔はコーヒー好きだったけど、紅茶が好きでよく飲んでるよ」
「紅茶……ですか、銘品は?」
「ダークスイートっていうすごく貴重なやつなんだけど……
あーーでもあれ買う……っていうか手に入れるのはめちゃくちゃ骨折れるかも……」
他……他……と頭を悩ませているあきらに太陽はそれでも構いませんと真剣な表情で言う。
「太陽」
「俺、凶一郎兄さんにはたくさんお世話になりました
だからこそどれだけ大変でも手に入る可能性があるなら頑張りたいです」
なんと出来た弟なのだろうと思いあきらは分かったと答えた。
「私は直接力になれないけど……
ヒナギクだったら手伝ってくれるかも」
「本当ですか!?じゃあ、早速聞いてみます!
相談乗って頂いてありがとうございました!!」
善は急げ、とぺこりと頭を下げてから去っていた太陽にあきらはニコニコと見送ったのだった。
「何はともあれ、喜んでくれたようで良かったです
あ、じゃあ俺そろそろ任務なので行ってきますね」
「行ってらっしゃい、頑張ってねー」
と見送るとぎい、と部屋から凶一郎がぬっと出てきた。
「喜ぶ……だと?あいつの目は節穴か?」
ふん、と凶一郎は機嫌が悪そうであるが、これは自分が嫌いな人物から何故か好かれ戸惑ってどう反応したらいいのか分からないだけである。
「?凶一郎は嬉しくないの?」
「ちっともな」
という割にはあれから毎日ちゃんと飲んでいるのだから不思議と思うと六美が淹れてくれるからだと言ってもいないのに返答が返ってきた。
「あくまでも六美が淹れてくれるからだ
つまり六美によって淹れられた茶葉であってあのクソの持ってきた茶葉ではない」
屁理屈をごねて意地でも認めようとしない凶一郎にあきらは太陽が認めてもらう日はまだまだ遠いなぁと苦笑したのだった。
自分で挿れることもあるが、やはり最愛の妹に淹れてもらうこの紅茶が一番だ。
冷めないうちに飲もうと口をつけようとして、凶一郎はこないだの出来事を思い出し、気持ちが少し冷めた。
それもそのはず、この紅茶の元の茶葉は日頃凶一郎が疎ましく思っている太陽が凶一郎への感謝の気持ちとしてプレゼントとしたものだ。
本人としてはこっそり補充しとくつもりだったが、ひょんなことからバレてしまい凶一郎は太陽の行動が理解出来なかったのもありそれはもう複雑な気分だ。
が、それはそれとして妹が淹れてくれた紅茶を残すわけにはいかない、ぐっと飲み干すと廊下から例の忌まわしい弟の声がした。
眉間に皺を寄せると自分もよく知っている人物の声もした。
「あきら姉さん、こないだは助言ありがとうございました」
「助言なんて、私はあくまでも候補の一つを上げただけだし、頑張ったのは太陽だよ」
そう言うと太陽はそうですかね、とハハハと笑った。
遡ること数週間前。
あきらと一緒に体力作りとしてジョギングを行っていた太陽はベンチで休憩する途中、こんな相談をした。
「実は折入ってお願いがあるんですけど……
凶一郎兄さんに日頃の感謝として何か贈り物をしたいんですけど、どれだったら喜ばれるんでしょうか?」
凶一郎にプレゼントを贈りたいという太陽にあきらは驚いた。
あれだけ常日頃忌み嫌われいるというのに感謝の気持ちを伝えようなんて、自分にはとても出来ないなと感心しつつあきらはうーーんと思考した。
「やっぱり六美ちゃん……かな?
六美の手料理とか六美の写真とか……」
「あ、出来れば六美以外の物で……
それだと俺が贈ることに意味がないし、そもそも六美が嫌がると思うので……」
苦笑いしながら太陽はやんわりと断った。
「でもなぁ、凶一郎は六美ちゃんが大好きだし……」
「他に何かありませんか?」
しばらく唸っていたあきらはあ、と思いついた。
「そうだ、紅茶!
昔はコーヒー好きだったけど、紅茶が好きでよく飲んでるよ」
「紅茶……ですか、銘品は?」
「ダークスイートっていうすごく貴重なやつなんだけど……
あーーでもあれ買う……っていうか手に入れるのはめちゃくちゃ骨折れるかも……」
他……他……と頭を悩ませているあきらに太陽はそれでも構いませんと真剣な表情で言う。
「太陽」
「俺、凶一郎兄さんにはたくさんお世話になりました
だからこそどれだけ大変でも手に入る可能性があるなら頑張りたいです」
なんと出来た弟なのだろうと思いあきらは分かったと答えた。
「私は直接力になれないけど……
ヒナギクだったら手伝ってくれるかも」
「本当ですか!?じゃあ、早速聞いてみます!
相談乗って頂いてありがとうございました!!」
善は急げ、とぺこりと頭を下げてから去っていた太陽にあきらはニコニコと見送ったのだった。
「何はともあれ、喜んでくれたようで良かったです
あ、じゃあ俺そろそろ任務なので行ってきますね」
「行ってらっしゃい、頑張ってねー」
と見送るとぎい、と部屋から凶一郎がぬっと出てきた。
「喜ぶ……だと?あいつの目は節穴か?」
ふん、と凶一郎は機嫌が悪そうであるが、これは自分が嫌いな人物から何故か好かれ戸惑ってどう反応したらいいのか分からないだけである。
「?凶一郎は嬉しくないの?」
「ちっともな」
という割にはあれから毎日ちゃんと飲んでいるのだから不思議と思うと六美が淹れてくれるからだと言ってもいないのに返答が返ってきた。
「あくまでも六美が淹れてくれるからだ
つまり六美によって淹れられた茶葉であってあのクソの持ってきた茶葉ではない」
屁理屈をごねて意地でも認めようとしない凶一郎にあきらは太陽が認めてもらう日はまだまだ遠いなぁと苦笑したのだった。