凶一郎の婚約者さん
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「お前ら任務ご苦労
つーわけで……ヒナギク鍋のはじまりじゃー!!!」
ドカカカカカ、と銃を乱射するのは政府お抱えの公務員スパイヒナギクこと内閣諜報室の室長の不動リン。
ひょんなことから不動リンから頼まれ、とある政治家が引き起こそうとした暗殺事件を無事おさめた太陽はそのねぎらいとして招かれていた。
宴のはじまりに招かれた者達はパチパチと拍手を送るが、リンはその中にシスコンとそのシスコンの婚約者が紛れ込んでいる事に顔をしかめた。
「つーか呼んだ覚えのねぇ奴がまぎれてる気がするな……まぁあきらはいいとして……」
凶一郎とリンは犬猿の仲だが、あきらとリンの仲は普通だ。(リンが凶一郎の悪口でも言わない限りだが)
追い出そうと考えたリンだったが、凶一郎が夜桜酒造特性「夜桜吹雪」を出したことで特別に許可することとなった。
「リンちゃん、久しぶり」
「おう、つーか聞いたぞ、こないだの誘拐事件」
というとあきらはああ……とすっかり忘れてた、と遠い昔の事を思い出すかのように声を上げた。
「そんなこともあったね」
凶一郎のこととなればどんな事でも覚えているのに自分の事に関する事はおざなりなのがあきらだ。
「私のことはいいから食べようよ」
と促すのでリンはこの件に関して追及するのは一旦やめた。
リンが捕獲した食材を部下の翠が刀でカットし(しぶしぶ)鍋に放り込まれていく。
太陽は鍋の具材を六美用によそった器を渡そうとすると凶一郎がすばやい箸さばきで太陽の口に詰め込んだ。
太陽が呻いている間に凶一郎は六美によそったのを渡そうとすると……
リンによりぐしゃり、と自らよそった具材に頭をダイブすることになった。
太陽と六美の仲をことある毎に引き裂こうとする凶一郎とは反対なのがリンである。
「二人の邪魔すんな、小姑め」
「そんなに具になりたいか、不動リン」
額にペタリと大根がひっついた凶一郎の怒りは突破した。
この二人が顔を会わすと必ずバトルが発生するもので、鍋パーティーのはずが乱闘が始まってまった。
鍋の周辺で激しく戦っている弊害か、巻き込まれた具材がもうスピードで飛んでくるものだからとてもこれでは食事にならない。
ちくわでさえ直撃した王牙が気絶するほどである。
翠によってやっとこさ自分の分を獲得できた太陽は飛んでくる具材に時折当たりつつなんとか食べていたのだが、ふとあきらの姿がない事に気づいた。
「ってあれ、あきら姉さんは!?」
「ほんとだ!帰った……てことはないと思うけど……」
あきらの姿を見失った二人に翠はすっと戦場となっている机を差す。
「普通にそこで食べているが」
「えぇ!?、よ、よく見れば!」
くっと目を凝らさないと見えないが、凶一郎とリンの戦いの最中、危険なはずのど真ん中にあきらは諸々飛んでくる物を避けながらゆったりと食べていた。
中学時代から何かと喧嘩が勃発する二人だが、どこでも発生するので自然と身に付いた技術である。(ちなみに喧嘩を仲裁したりはしない)
そんな中、あきらは水を飲もうとして誤ってリンのコップを手に取り中の液体を飲んだ。
すると、するんとコップが床に落ちあきらは机に倒れこんで寝てしまった。
「ええええええ!?!?
ちょ、あきら姉さん!?」
「あーーもしかしてあれリンさんの?
じゃあ、中に入ってたお酒飲んじゃったんだ……
あきらお姉ちゃんちょっとでも飲んだら寝ちゃうくらいお酒弱いから……」
「そ、そうなのか……
それはそれとしてどうにかしてあの中から出さないと……」
いくらあきらとはいえ、あれではろくに反応できないだろう。
「翠、どうにかできないか?」
「……分かった」
翠は持っていた皿を置くと、凶一郎とリンの攻撃の合間をぬい、あきらの救出に成功した。
「全く、この人の体質には困ったものだ」
あきらを床に下ろした翠はため息をついた。
「そういえばなんだけど
翠とあきら姉さんの動きを見ていて思ったんだけど……」
「刀さばきや、戦闘方法が似ていることか?」
「もしかして……ししょう……」
「違う」
ピシャリと断言した翠に太陽はそ、そうなんだ……とちょっと恥ずかしさを感じた。
「ただ単に手解きを受けた事があるというだけだ
参考にはしたが俺とあの人の技術は異なるものだ……ところで太陽」
「ん?」
「気をぬいていいのか?」
「あっつう!!!!!?」
またもや飛んできたしらたきが額にあたり悶絶した太陽だった。
なんやかんやで鍋を堪能し終わった後。
「おい、そろそろ起きろ」
「…………」
すうすう寝息を立てるあきらはまだ起きそうにない。
まだしばらくはかかるだろう、そう思い凶一郎は手洗いに向かった。
それからの事だ。
太陽の不安を和らげたいと思い六美が太陽の頬にキスをした。
当然その現場を目撃した凶一郎の怒りは凄まじものである。
太陽の命が危ぶまれる中、またもやリンが食い止めようとして戦闘が再開し数時間が経過した。
時刻を見ればもう午前の零時を回っている。
なお、凶一郎とリンはまだ戦っていた。(太陽と六美は既に帰宅している)
最初ほどの怒りはさほど残っていないようだが、まだ燻っているのかやめようとはしない。
そろそろ帰ろう、と思い始め翠は部屋の隅で寝たままのあきらに視線をむけた。
「五十嵐さんおきてください」
と声をかけるが、今だ夢の中のようで凶一郎、と寝言を言い幸せように眠っている。
こうして眠っている姿は自分が知る一面とはかけはなれている。
かつて手合わせした時とは天と地の差を感じる寝顔に翠はため息をついた。
翠が出会った時から既にあきらは凶一郎にベタぼれだった。
その熱量は変わることなく、今も続いている。
正直自分にはその思いを微塵も共感することは出来ないが、本人が幸せそうならそれでいいのだろう。
(時間がもったいないな)
こうして起きるのを待つより自分が運んで夜桜夫婦に明け渡した方がいい、と判断して手を伸ばそうとするとふいに掴まれた。
「待て」
翠の腕を掴んだのは凶一郎だった。
「それは俺の役割だ」
翠は分かりました、とすっと身を引いた。
あきらを背負って帰るべく準備をしているとふいにリンが口を開いた。
「全く素直じゃねーなって」
「……何がだ」
「他の男に触らせたく……」
勢いよく飛んできた鋼蜘蛛を拳で蹴散らす。
「ほざけ、あくまでも婚約者としての立場があるからだ
スパイデーに好き勝手書かれる訳にはいかん」
じゃあな、とあきらを背負って去ろうとする凶一郎にリンが呼び止める。
「手放すつもりじゃねーだろな」
恐らくこないだの事件の時に何も行動を起こさなかった事を責めているのだろう。
鋭い視線に凶一郎はふん、と当たり前のように。
「手放すつもりなどさらさらない」
返答を聞いてにぃ、と笑うリンを後ろに凶一郎はヒナギクを出たのだった。
つーわけで……ヒナギク鍋のはじまりじゃー!!!」
ドカカカカカ、と銃を乱射するのは政府お抱えの公務員スパイヒナギクこと内閣諜報室の室長の不動リン。
ひょんなことから不動リンから頼まれ、とある政治家が引き起こそうとした暗殺事件を無事おさめた太陽はそのねぎらいとして招かれていた。
宴のはじまりに招かれた者達はパチパチと拍手を送るが、リンはその中にシスコンとそのシスコンの婚約者が紛れ込んでいる事に顔をしかめた。
「つーか呼んだ覚えのねぇ奴がまぎれてる気がするな……まぁあきらはいいとして……」
凶一郎とリンは犬猿の仲だが、あきらとリンの仲は普通だ。(リンが凶一郎の悪口でも言わない限りだが)
追い出そうと考えたリンだったが、凶一郎が夜桜酒造特性「夜桜吹雪」を出したことで特別に許可することとなった。
「リンちゃん、久しぶり」
「おう、つーか聞いたぞ、こないだの誘拐事件」
というとあきらはああ……とすっかり忘れてた、と遠い昔の事を思い出すかのように声を上げた。
「そんなこともあったね」
凶一郎のこととなればどんな事でも覚えているのに自分の事に関する事はおざなりなのがあきらだ。
「私のことはいいから食べようよ」
と促すのでリンはこの件に関して追及するのは一旦やめた。
リンが捕獲した食材を部下の翠が刀でカットし(しぶしぶ)鍋に放り込まれていく。
太陽は鍋の具材を六美用によそった器を渡そうとすると凶一郎がすばやい箸さばきで太陽の口に詰め込んだ。
太陽が呻いている間に凶一郎は六美によそったのを渡そうとすると……
リンによりぐしゃり、と自らよそった具材に頭をダイブすることになった。
太陽と六美の仲をことある毎に引き裂こうとする凶一郎とは反対なのがリンである。
「二人の邪魔すんな、小姑め」
「そんなに具になりたいか、不動リン」
額にペタリと大根がひっついた凶一郎の怒りは突破した。
この二人が顔を会わすと必ずバトルが発生するもので、鍋パーティーのはずが乱闘が始まってまった。
鍋の周辺で激しく戦っている弊害か、巻き込まれた具材がもうスピードで飛んでくるものだからとてもこれでは食事にならない。
ちくわでさえ直撃した王牙が気絶するほどである。
翠によってやっとこさ自分の分を獲得できた太陽は飛んでくる具材に時折当たりつつなんとか食べていたのだが、ふとあきらの姿がない事に気づいた。
「ってあれ、あきら姉さんは!?」
「ほんとだ!帰った……てことはないと思うけど……」
あきらの姿を見失った二人に翠はすっと戦場となっている机を差す。
「普通にそこで食べているが」
「えぇ!?、よ、よく見れば!」
くっと目を凝らさないと見えないが、凶一郎とリンの戦いの最中、危険なはずのど真ん中にあきらは諸々飛んでくる物を避けながらゆったりと食べていた。
中学時代から何かと喧嘩が勃発する二人だが、どこでも発生するので自然と身に付いた技術である。(ちなみに喧嘩を仲裁したりはしない)
そんな中、あきらは水を飲もうとして誤ってリンのコップを手に取り中の液体を飲んだ。
すると、するんとコップが床に落ちあきらは机に倒れこんで寝てしまった。
「ええええええ!?!?
ちょ、あきら姉さん!?」
「あーーもしかしてあれリンさんの?
じゃあ、中に入ってたお酒飲んじゃったんだ……
あきらお姉ちゃんちょっとでも飲んだら寝ちゃうくらいお酒弱いから……」
「そ、そうなのか……
それはそれとしてどうにかしてあの中から出さないと……」
いくらあきらとはいえ、あれではろくに反応できないだろう。
「翠、どうにかできないか?」
「……分かった」
翠は持っていた皿を置くと、凶一郎とリンの攻撃の合間をぬい、あきらの救出に成功した。
「全く、この人の体質には困ったものだ」
あきらを床に下ろした翠はため息をついた。
「そういえばなんだけど
翠とあきら姉さんの動きを見ていて思ったんだけど……」
「刀さばきや、戦闘方法が似ていることか?」
「もしかして……ししょう……」
「違う」
ピシャリと断言した翠に太陽はそ、そうなんだ……とちょっと恥ずかしさを感じた。
「ただ単に手解きを受けた事があるというだけだ
参考にはしたが俺とあの人の技術は異なるものだ……ところで太陽」
「ん?」
「気をぬいていいのか?」
「あっつう!!!!!?」
またもや飛んできたしらたきが額にあたり悶絶した太陽だった。
なんやかんやで鍋を堪能し終わった後。
「おい、そろそろ起きろ」
「…………」
すうすう寝息を立てるあきらはまだ起きそうにない。
まだしばらくはかかるだろう、そう思い凶一郎は手洗いに向かった。
それからの事だ。
太陽の不安を和らげたいと思い六美が太陽の頬にキスをした。
当然その現場を目撃した凶一郎の怒りは凄まじものである。
太陽の命が危ぶまれる中、またもやリンが食い止めようとして戦闘が再開し数時間が経過した。
時刻を見ればもう午前の零時を回っている。
なお、凶一郎とリンはまだ戦っていた。(太陽と六美は既に帰宅している)
最初ほどの怒りはさほど残っていないようだが、まだ燻っているのかやめようとはしない。
そろそろ帰ろう、と思い始め翠は部屋の隅で寝たままのあきらに視線をむけた。
「五十嵐さんおきてください」
と声をかけるが、今だ夢の中のようで凶一郎、と寝言を言い幸せように眠っている。
こうして眠っている姿は自分が知る一面とはかけはなれている。
かつて手合わせした時とは天と地の差を感じる寝顔に翠はため息をついた。
翠が出会った時から既にあきらは凶一郎にベタぼれだった。
その熱量は変わることなく、今も続いている。
正直自分にはその思いを微塵も共感することは出来ないが、本人が幸せそうならそれでいいのだろう。
(時間がもったいないな)
こうして起きるのを待つより自分が運んで夜桜夫婦に明け渡した方がいい、と判断して手を伸ばそうとするとふいに掴まれた。
「待て」
翠の腕を掴んだのは凶一郎だった。
「それは俺の役割だ」
翠は分かりました、とすっと身を引いた。
あきらを背負って帰るべく準備をしているとふいにリンが口を開いた。
「全く素直じゃねーなって」
「……何がだ」
「他の男に触らせたく……」
勢いよく飛んできた鋼蜘蛛を拳で蹴散らす。
「ほざけ、あくまでも婚約者としての立場があるからだ
スパイデーに好き勝手書かれる訳にはいかん」
じゃあな、とあきらを背負って去ろうとする凶一郎にリンが呼び止める。
「手放すつもりじゃねーだろな」
恐らくこないだの事件の時に何も行動を起こさなかった事を責めているのだろう。
鋭い視線に凶一郎はふん、と当たり前のように。
「手放すつもりなどさらさらない」
返答を聞いてにぃ、と笑うリンを後ろに凶一郎はヒナギクを出たのだった。