秘密の代償(明智長編夢)
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ドクドク、と血が流れる。
地に倒れた体はシャドウとの戦闘で傷つき、もう動かせそうにない。
ここはパレスの中、ここで死んだらどうなるのかなと、ぼんやりと思った。
我ながらこんな時でも他人事のように感じる自分自身に嫌になる。
ああ、どうしてこうなったんだっけ、と意識が遠退く中、私は数年前の事をのんびりと振り返った。
それは高校一年生の夏くらいのことだった。
夏休み中、明智は探偵活動等を学校に報告する為登校していたのだが、職員室を出る直前先生に呼び止められた。
「明智くんちょっといいかな」
「はい、なんでしょう」
にっこりといつものスマイルで受け答える明智だが、内心では早めに済ませてくれと思っている。
「実は来月からうちに転校してくる生徒が転校手続きで今日来てるんだが
学校の案内を頼めるかな?」
「それは構いませんが……
僕なんかでいいんでしょうか?
まだ高校に入ってから数ヶ月も経っていませんし……他にも適役がいるのでは?」
「今日は登校日じゃないしねぇ
ほら、明智くん外見がいいからさ
こんなおっさんよりイケメンの方がいいだろ??」
よくねぇよ、と内心突っ込みつつ、明智は分かりました、と返事をした。
優等生を演じていると、時たまこういうめんどくさいイベントが発生するものだ、とため息をつきたくなる衝動を押さえる。
「で、その生徒はどこにいるんです?」
「ああいた、彼女がさっき話した生徒だよ
じゃあ、よろしく」
と言うと先生はそそくさと居なくなってしまった。
名前も知らぬ女子生徒と二人きりにされ気まずい雰囲気が流れる。
「えっと、先生から学校の案内を頼まれたんだけど……
あ、ごめん、とりあえず自己紹介が先かな?
僕は明智吾郎って言うんだけど、君は?」
話しかけられた女子生徒は目線を明智に向ける。
容姿はまぁ、整っている方だろう。
しかし、瞳は一切の光を灯しておらずどこまでも闇が続くような、そんな瞳をしていた。
女子生徒は、簡潔に自分の名前を名乗りまた黙った。
なるほど、道理で先生が自分に押し付けるわけだ、と納得する。
それはともかくとして頼まれたことは済まさねばならない、手っ取り早く済ませるべく明智は彼女の名前を復唱する。
「じゃあ、早速行こうか」
「ここが、教室
偶然にも僕と一緒のクラスのようだね」
何が偶然だ、どうせ教師どもがてっとり早く楽をすべくわざと自分のクラスになるよう手配したに違いない。
あきらは顔色を変えず、そう、とだけ答えた。
その後も。
どこを紹介しても、あきらはそう、としか答えなかった。
表情も無表情のままで、こいつ中身はロボットなんじゃないか??と明智は思う。
まぁ、ミーハーの女子みたくキャーキャー騒がれるよりはマシか、と自分を納得させる。
「ふう、あらかた紹介したかな?
じゃあ、僕はここで……ん?」
お役目を終えさっさと退散すべく帰ろうとした明智はじっっっと顔を見つめられている事に気づいた。
……表情が読めないだけで、普通の女か、と内心冷めた気持ちでにっこり笑いかける。
「ごめん、僕この後用事があって
用件があるならまた今度に……」
「あ、思い出した」
思い出した?とはてなマークを浮かべる明智はああ、となるほどと納得する。
おそらく探偵の方か、テレビ出演に出ているところを見たのだろう。
それで最近は街中で話しかけられることも多い。
そう思っていた明智はあきらが発した言葉を聞いた次の瞬間目を見開いた。
「ってとこの孤児院にいたことあ…………わっ」
「ちょっときて」
明智は勢いよくあきらの手を掴むとずんずん足早に屋上へと向かった。
ぐんぐん、と力強く引っ張られることには流石に驚いたのか、あきらは息を呑んだが素直に従ったようだ。
目的地の屋上へとたどり着くと明智はあきらを押し込み出口の鍵を閉める。
そして、先ほどまでのにこやかな雰囲気はどこへやら、明智は苛立ちを交えた冷ややかな目で彼女を睨み付けたのだった。
地に倒れた体はシャドウとの戦闘で傷つき、もう動かせそうにない。
ここはパレスの中、ここで死んだらどうなるのかなと、ぼんやりと思った。
我ながらこんな時でも他人事のように感じる自分自身に嫌になる。
ああ、どうしてこうなったんだっけ、と意識が遠退く中、私は数年前の事をのんびりと振り返った。
それは高校一年生の夏くらいのことだった。
夏休み中、明智は探偵活動等を学校に報告する為登校していたのだが、職員室を出る直前先生に呼び止められた。
「明智くんちょっといいかな」
「はい、なんでしょう」
にっこりといつものスマイルで受け答える明智だが、内心では早めに済ませてくれと思っている。
「実は来月からうちに転校してくる生徒が転校手続きで今日来てるんだが
学校の案内を頼めるかな?」
「それは構いませんが……
僕なんかでいいんでしょうか?
まだ高校に入ってから数ヶ月も経っていませんし……他にも適役がいるのでは?」
「今日は登校日じゃないしねぇ
ほら、明智くん外見がいいからさ
こんなおっさんよりイケメンの方がいいだろ??」
よくねぇよ、と内心突っ込みつつ、明智は分かりました、と返事をした。
優等生を演じていると、時たまこういうめんどくさいイベントが発生するものだ、とため息をつきたくなる衝動を押さえる。
「で、その生徒はどこにいるんです?」
「ああいた、彼女がさっき話した生徒だよ
じゃあ、よろしく」
と言うと先生はそそくさと居なくなってしまった。
名前も知らぬ女子生徒と二人きりにされ気まずい雰囲気が流れる。
「えっと、先生から学校の案内を頼まれたんだけど……
あ、ごめん、とりあえず自己紹介が先かな?
僕は明智吾郎って言うんだけど、君は?」
話しかけられた女子生徒は目線を明智に向ける。
容姿はまぁ、整っている方だろう。
しかし、瞳は一切の光を灯しておらずどこまでも闇が続くような、そんな瞳をしていた。
女子生徒は、簡潔に自分の名前を名乗りまた黙った。
なるほど、道理で先生が自分に押し付けるわけだ、と納得する。
それはともかくとして頼まれたことは済まさねばならない、手っ取り早く済ませるべく明智は彼女の名前を復唱する。
「じゃあ、早速行こうか」
「ここが、教室
偶然にも僕と一緒のクラスのようだね」
何が偶然だ、どうせ教師どもがてっとり早く楽をすべくわざと自分のクラスになるよう手配したに違いない。
あきらは顔色を変えず、そう、とだけ答えた。
その後も。
どこを紹介しても、あきらはそう、としか答えなかった。
表情も無表情のままで、こいつ中身はロボットなんじゃないか??と明智は思う。
まぁ、ミーハーの女子みたくキャーキャー騒がれるよりはマシか、と自分を納得させる。
「ふう、あらかた紹介したかな?
じゃあ、僕はここで……ん?」
お役目を終えさっさと退散すべく帰ろうとした明智はじっっっと顔を見つめられている事に気づいた。
……表情が読めないだけで、普通の女か、と内心冷めた気持ちでにっこり笑いかける。
「ごめん、僕この後用事があって
用件があるならまた今度に……」
「あ、思い出した」
思い出した?とはてなマークを浮かべる明智はああ、となるほどと納得する。
おそらく探偵の方か、テレビ出演に出ているところを見たのだろう。
それで最近は街中で話しかけられることも多い。
そう思っていた明智はあきらが発した言葉を聞いた次の瞬間目を見開いた。
「ってとこの孤児院にいたことあ…………わっ」
「ちょっときて」
明智は勢いよくあきらの手を掴むとずんずん足早に屋上へと向かった。
ぐんぐん、と力強く引っ張られることには流石に驚いたのか、あきらは息を呑んだが素直に従ったようだ。
目的地の屋上へとたどり着くと明智はあきらを押し込み出口の鍵を閉める。
そして、先ほどまでのにこやかな雰囲気はどこへやら、明智は苛立ちを交えた冷ややかな目で彼女を睨み付けたのだった。
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