明智短編夢
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二月三日、現実と融合しつつある現状を打破する為怪盗団一行は丸喜パレスに乗り込んでいた。
死闘の末、やっとのことで丸喜を無事倒すことが出来たのものの、改心させるということはすなわちパレスが消えるということで。
いつもならモルガナが車に変身して脱出するところだが、周りの道路は崩れて走れそうにない。
このままパレスと共に消えるかと全員の頭によぎった瞬間、モルガナは車ではなくヘリコプターに変わっていた。
しかし一回り小さいサイズに変貌した為かただでさえ人数が多いのにさらに窮屈になってしまった。
女子勢に踏まれることになりモルガナに文句を言った明智の下から苦しそうな声がする。
下に視線を落とせば不満そうな目であきらがこちらをじとりと見ていた。
「……重い」
「無茶いうなよ、ていうか文句があるならモルガナに言ってくれ」
そういえばヘリコプターにジョーカーの姿がないがどうやらワイヤーで吊られているようだ。
これで元の世界に帰還出来ると思われた瞬間ヘリコプターがぐん、と何かに引っ張られた。
外を見れば何と丸喜がペルソナの力を行使し、ヘリコプターをこちらに引き寄せようとしていた。
そして、何を思ったのかジョーカーはワイヤーを戻しあろうことか丸喜の元へと行ってしまったのだった。
「ナビ、ジョーカーの様子は!?!?」
「ちょっと待て、今調べてる
……なんか、殴り合いしてるっぽい??」
「はぁ!?」
「まぁ、あいつのことだ
最後のケリに付き合ってる……てとこじゃね?」
周りの会話に明智は何やってんだか、とため息をつきもうそろそろ時間かなと終わりを予感した。
今いる自分は丸喜が作り出した認知上の明智だ。
丸喜を改心させ元の世界に戻れば、消えてしまう。
だがそれを自分は後悔はしない、それが自分の選んだ道なのだから。
ちなみに明智が認知の存在であると知っているのは作り出した本人である丸喜と、昨日丸喜から聞かされたジョーカー、そして……
今さっきまで自分の下敷きになっていたあきらである。
さきほどまでとは違い自分の隣に座っているあきらは明智と目を合わそうとせずジョーカーの決着を見守っていた。
あきらが明智が認知の存在であると気づいたのは全員で改めてパレスに侵入した一日目のことだった。
ここらで切り上げようとリーダーの判断に従い各々帰ろうとしたところ、明智は呼び止められた。
「ちょっと話したいことがあるんだけどいい?」
「……別にいいけど」
とあきらに連れられたところは彼女自身の家だった。
「で、自分の家にまで連れてきて何の話かな?」
「あんた、明智じゃないでしょ」
「!へぇ」
明智は一瞬驚いた顔をした後、にやりと笑った。
「何?偽物って言いたいの?」
「あ、いや、別に偽物って感じはしないんだけど……
なんか、こう……明智なんだけど明智じゃない気がして……」
「どっちだよ」
と言うとあきらはむむ、と言い淀んでしまった。
恐らく何らかの違和感を感じるものの、それが何なのかわかっていないのだろう。
「……いいだろう、教えてやるよ」
明智から答えを聞かされたあきらはそう、と寂しそうな目をして答えた。
「で、周りに助けて、って言うの?
このままじゃ明智くんが死んじゃう、丸喜を改心させないで、って皆に頼みこむのかい?」
にっこり笑うと、怒りと悲しさがこもった目で睨み付けられる。
それが出来ればどれだけ楽か、それが出来ないのを分かっていて揺さぶりをかけるのか、と無言の圧力がかかる。
「……しない
ここで聞いたことは誰にも言わないしリーダーにも言う気はない」
「……わかってるじゃないか
なら話は終わりだ」
明智は背を向け家から出ていった、一人項垂れたあきらを残して。
(結局こいつは俺のことを誰にも言っていないようだな)
リーダーを含め、誰にも悲壮感を悟られぬようあきらはいつも通りに明智に接し続けた。
それは今し方最終決戦までもその演技は続いていた。
そして、今もうすぐ消えるというのに涙一つすら流さない。
(鉄の女だな)
が、内心は深く傷ついていることを明智は何となく分かっていた。
……ジョーカーが丸喜に勝ったようだ。
ジョーカーと丸喜を拾うべくヘリコプターが近づく。
あと消えるまでわずか。
……こんなことをしても何にもならないことはわかっている。
慰めにもならないし、むしろあきらの心をより深く傷つけるだろう。
でも、それでも。
「おい、あきら」
名前を呼ぶと流石に心に響いたようでようやく振り返ってくれた。
なに、と言うとした口を自分の口で塞ぐ。
あきらの目が大きく開かれるのを何となく分かりつつ明智の体を大きな光が包み込んだ。
「お、俺ら戻ってこれたのか??」
「た、多分???
異世界ナビも消えてるし……」
「ということはメメントスとの融合は防げたってことで合ってるのよね?」
「あれ!?!?蓮いない!!モナもいない!!」
「明智も見当たらないようだな……」
「た、大変!さっきから……あきらちゃんがうずくまりながら泣きじゃくってて……」
「ぐすっっ、あけ、ち…………の、ばかぁ……」
ぐしゃぐしゃになった顔で思いっきり罵倒する。
何だって土壇場のギリギリであんなことをするのか、そんなことしたら私がより悲しくなるのを分かっていて。
あの男は私に一生癒えない傷を残して消えていったのだ。
死闘の末、やっとのことで丸喜を無事倒すことが出来たのものの、改心させるということはすなわちパレスが消えるということで。
いつもならモルガナが車に変身して脱出するところだが、周りの道路は崩れて走れそうにない。
このままパレスと共に消えるかと全員の頭によぎった瞬間、モルガナは車ではなくヘリコプターに変わっていた。
しかし一回り小さいサイズに変貌した為かただでさえ人数が多いのにさらに窮屈になってしまった。
女子勢に踏まれることになりモルガナに文句を言った明智の下から苦しそうな声がする。
下に視線を落とせば不満そうな目であきらがこちらをじとりと見ていた。
「……重い」
「無茶いうなよ、ていうか文句があるならモルガナに言ってくれ」
そういえばヘリコプターにジョーカーの姿がないがどうやらワイヤーで吊られているようだ。
これで元の世界に帰還出来ると思われた瞬間ヘリコプターがぐん、と何かに引っ張られた。
外を見れば何と丸喜がペルソナの力を行使し、ヘリコプターをこちらに引き寄せようとしていた。
そして、何を思ったのかジョーカーはワイヤーを戻しあろうことか丸喜の元へと行ってしまったのだった。
「ナビ、ジョーカーの様子は!?!?」
「ちょっと待て、今調べてる
……なんか、殴り合いしてるっぽい??」
「はぁ!?」
「まぁ、あいつのことだ
最後のケリに付き合ってる……てとこじゃね?」
周りの会話に明智は何やってんだか、とため息をつきもうそろそろ時間かなと終わりを予感した。
今いる自分は丸喜が作り出した認知上の明智だ。
丸喜を改心させ元の世界に戻れば、消えてしまう。
だがそれを自分は後悔はしない、それが自分の選んだ道なのだから。
ちなみに明智が認知の存在であると知っているのは作り出した本人である丸喜と、昨日丸喜から聞かされたジョーカー、そして……
今さっきまで自分の下敷きになっていたあきらである。
さきほどまでとは違い自分の隣に座っているあきらは明智と目を合わそうとせずジョーカーの決着を見守っていた。
あきらが明智が認知の存在であると気づいたのは全員で改めてパレスに侵入した一日目のことだった。
ここらで切り上げようとリーダーの判断に従い各々帰ろうとしたところ、明智は呼び止められた。
「ちょっと話したいことがあるんだけどいい?」
「……別にいいけど」
とあきらに連れられたところは彼女自身の家だった。
「で、自分の家にまで連れてきて何の話かな?」
「あんた、明智じゃないでしょ」
「!へぇ」
明智は一瞬驚いた顔をした後、にやりと笑った。
「何?偽物って言いたいの?」
「あ、いや、別に偽物って感じはしないんだけど……
なんか、こう……明智なんだけど明智じゃない気がして……」
「どっちだよ」
と言うとあきらはむむ、と言い淀んでしまった。
恐らく何らかの違和感を感じるものの、それが何なのかわかっていないのだろう。
「……いいだろう、教えてやるよ」
明智から答えを聞かされたあきらはそう、と寂しそうな目をして答えた。
「で、周りに助けて、って言うの?
このままじゃ明智くんが死んじゃう、丸喜を改心させないで、って皆に頼みこむのかい?」
にっこり笑うと、怒りと悲しさがこもった目で睨み付けられる。
それが出来ればどれだけ楽か、それが出来ないのを分かっていて揺さぶりをかけるのか、と無言の圧力がかかる。
「……しない
ここで聞いたことは誰にも言わないしリーダーにも言う気はない」
「……わかってるじゃないか
なら話は終わりだ」
明智は背を向け家から出ていった、一人項垂れたあきらを残して。
(結局こいつは俺のことを誰にも言っていないようだな)
リーダーを含め、誰にも悲壮感を悟られぬようあきらはいつも通りに明智に接し続けた。
それは今し方最終決戦までもその演技は続いていた。
そして、今もうすぐ消えるというのに涙一つすら流さない。
(鉄の女だな)
が、内心は深く傷ついていることを明智は何となく分かっていた。
……ジョーカーが丸喜に勝ったようだ。
ジョーカーと丸喜を拾うべくヘリコプターが近づく。
あと消えるまでわずか。
……こんなことをしても何にもならないことはわかっている。
慰めにもならないし、むしろあきらの心をより深く傷つけるだろう。
でも、それでも。
「おい、あきら」
名前を呼ぶと流石に心に響いたようでようやく振り返ってくれた。
なに、と言うとした口を自分の口で塞ぐ。
あきらの目が大きく開かれるのを何となく分かりつつ明智の体を大きな光が包み込んだ。
「お、俺ら戻ってこれたのか??」
「た、多分???
異世界ナビも消えてるし……」
「ということはメメントスとの融合は防げたってことで合ってるのよね?」
「あれ!?!?蓮いない!!モナもいない!!」
「明智も見当たらないようだな……」
「た、大変!さっきから……あきらちゃんがうずくまりながら泣きじゃくってて……」
「ぐすっっ、あけ、ち…………の、ばかぁ……」
ぐしゃぐしゃになった顔で思いっきり罵倒する。
何だって土壇場のギリギリであんなことをするのか、そんなことしたら私がより悲しくなるのを分かっていて。
あの男は私に一生癒えない傷を残して消えていったのだ。
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