(ふう、すっかり帰るの遅くなっちゃったな)
放課後先生に分からないところを教えてもらっていたのだが、思いの外時間がかかり遅くなってしまった。
幸い今日は晩御飯の当番ではない。
急ぎ足で帰るほどではないか……と思った矢先ふと空を見上げるとどんよりと曇っていた。
そういえば5時から雨が降るとか言ってたっけーーとぼんやり歩いていたが今朝方洗濯物を干した事に気付いた。
(まぁ、石神先に帰ってるかもしんないし取り込んでくれてるかもーーー)
とそこまで思考が進んでからあきらは
ピタリと足を止めた。
ちょっと待て、。
私は今日何を干した………………？？
(制服のシャツ、服、……そして………………)
あきらは冷や汗が首すじを伝うのを感じ走り始めた。
まずい、非常にまずい。
先に帰っているかどうかはわからないが万が一にも洗濯物を取り込まれてたら困るのだ。
どうか帰ってませんように……！！と祈ってるとマンションまであと少しというところで何とポツポツと雨が降ってきたではないか。
「うそ、もう降ってきた！？」
はあはあと息切れしながら階段をのぼる。
鍵を取り出しドアを開けると玄関には既に
千空の物らしき靴があった。
鞄を殴り捨て居間へと向かった。
「石神！洗濯物私が取り入れるか、ら……」
扉を開けたあきらが見た光景は。

ベランダに干してあった下着を見て硬直している千空だった。

「ぎゃあああああああああ！！！！！」
と女子からぬ声を上げると突然の悲鳴に千空はぎょっと身をすくませた。
千空が動揺したその隙に下着がかかったハンガーを取り入れささっと自分の背に隠した。

「……た、ただいま、石神」
ぎこちなく笑うと千空は非常に困ったと言わんばかりに眉間に皺を寄せていた。
「…………おかえり」
「じゃ、じゃあ、私洗濯物片付けてくるからっ」
千空から逃げるようにあきらは顔を背けてベランダから立ち去った。
バタバタと慌てて自分の部屋に飛び込み扉を閉めると一気に力が抜けたのかずるずると扉にもたれかかるように座り込んだ。
(ぜっっったい見られた…………)
上と下両方どちらとも見られたに違いない。
よりによって同級生の男子に下着を見られるなんてお嫁にいけないとあきらは顔を真っ赤にして悶えた。