「あーもうこんな時間か」

同居するにあたって色々ルールを決めていたのだが(食事当番など)、時計を見れば6時手前になっていた。

「今日の晩飯どうすっか……」

一人なら適当に済ますがそうはいかない。

「それだったら私が作るよ
冷蔵庫見ていい？」

見ていいも何も同居するのだから良いだろう。

ただし個人が買ってきたやつは誤って食べないようにしないといけないが。

あきらは冷蔵庫を開き何を作るか考えようとしたらが、中身を見て
ええーと困惑した。

「全然ないんだけど、食材が……」

買い出しに行く前だったのだろうか。

いや、それにしても少なすぎる。

最低限にしても程があるぞ。

パタンと冷蔵庫を閉めて他の食材を物色する。

(食パン、カップ麺、袋麺、レトルト食品、
チャージ系ゼリーとエナジードリンクのストック……)

「石神ってさあ
めんどくさい時カップ麺で済ますタイプでしょ」

「………ああ、そうだよ」

うーん、これは……。

今日は最低限何とか……するとして。

買い出しに行かないと……。

一体石神は普段どんな食生活をしているのか……。

(お米も少ないし……)

まぁ、そこら辺は独り暮らしだし仕方ないかと思う。

(1合だけ炊くのめんどいよね……)

炊飯器もそのまで大きいサイズではないが、一応置いてあるようだ。

米を洗って炊飯器にいれセットする。

後は米が炊けるまでに他の物を準備するとしよう。

(卵があればなーオムレツにでも出来たんだけど……)

冷蔵庫の中は非常に質素で卵も入ってなかった。(使いきったばかりもあるか)

お味噌汁を作ろうと思ったのだけれど
恐らく千空の家に使える素材はないだろう。
あきらの家庭は出汁を取るのに煮干しを使用していて、これは自宅から
持参してきて良かった。

(調味料……調味料……)

調味料も本当に少ないが、塩と醤油はあったのは幸いな所だ。

それ以外には本当に何も置いていない。

いや、めんつゆはあるか。

便利だけどね？

適当な野菜と豚肉を炒めただけの炒め料理が出来た。

(普通すぎるな……)

後はご飯と味噌汁と……。

うーん、味気がない。

(食材もあまりないし仕方ないか……)

玉ねぎのサラダでも作っとこう。

ほんとは辛みを無くす為に一時間ほど水にさらしときたいけど……。

今日は短時間で。

食器も数が少ないから後で千空に許可を貰うなりして増やしたい。


「千空、晩御飯出来たけど……
ごめん、何か質素になっちゃった」

千空に詫びを入れると上出来だと返ってきた。

「別にそんなハードル高くする必要性はねぇ
つか、味噌汁？冷蔵庫に味噌なんか置いてなかったが」

あきらは冷蔵庫からビニールに入った味噌を取り出した。

「ああ、これね
持参してきた」

勝手に冷蔵庫入れてごめんと言われたがそれは構わないのだが……

「どう見ても市販品じゃねぇよな、それ」

「うん、これは私のおばあちゃんが作った味噌」

他にも色々野菜等作っているらしく昔から時々宅急便で届くのだとか。

「そりゃ、すげぇな」

あきらによると近々米やら届くと言う。

しばらく野菜等には困らなそうだと思いながら千空はあきらの料理を食した。