とある休日千空はあきらが出かける準備をしているのに気づいた。
服装はいわばお出かけ用の服である。
「何か用事でもあんのか？」
「あ、今日実は琥珀が家に来る予定で」
千空は飲んでいたコーヒーを吐き出しかけた。
家に！？来る！？予定！？！？
琥珀とは親戚付き合いもあるので当然住所も知られている。
ここが家！と言えば当然千空の自宅ということも分かってしまう。
居候している事を知られるわけにはいかないのに何故あえて自分からばらすような事を！？と千空は困惑した。

「何考えてんだ！！
こないだの事もう忘れたのか！？」
「あ、違う、違うの、千空」
そうじゃないとあきらは慌てて訂正した。
「実はこないだ……」
あきらは先日に起こったとある出来事を説明した。



「そういえばあきらこないだランニングしてたら帰宅してるとこを見かけたぞ
声をかける前に家に入ってしまったから話しかけるタイミングはなかったが」
「！？！？」
え？いつ？とぐるぐる思考が巡りあきらはてんぱっていた。
(ど、どうしよう
た、たまたま用事があったとか？
いや一応ただのクラスメイトって関係だしわざわざ家に行ってるなんて別の意味で噂に……)
どうやって弁明しようと悩んでいると。
「あきらの家は一軒家なのだな」
「え……あーーうん、そう！」
一軒家と聞きあきらはほっと安堵した。
琥珀が言っている家、とは多分あきらが千空の家にお世話になる前に暮らしていた家である。
両親が海外出張しているとはいえ一軒家を手放すわけにもいかずそのままにしてあるのだがずっと開けているわけにもいかない。
それであきらは時々元の自宅に赴き掃除やらしているのだが恐らくそこを見られたのだろう。
「しかしあきらの両親は現在海外に行っているのだろう？一人暮らしなのか？
私が言うのもなんだが……それは少々危険ではないか？」
「だ、大丈夫だよ
千空も一人暮らししてるって聞いたことあるし……」
「それもそうだが……」
本当は千空の家に居候しているのだがそれを話すわけにもいかずあきらは誤魔化すしかなかった。



「定期的に休日に出かけるのはそれのせいか」
「っていうわけで琥珀が家に来たいって言っててさ、色々と準備しないと」
「準備？」
「うん、まぁ掃除とかもだけど……
生活感ある程度ださないと住んでないってバレちゃうからその下準備
じゃ、行ってきます」
ああ、と千空はあきらを見送りふうーと息をはいた。
「あ“ー今回はマジで肝が冷えたな……」