部員届けを職員室に出しあきらは正式に陸上部のマネージャーとなった。
制服に着替えた琥珀と並びながら夕暮れの校舎を歩く。

「いやはや助かった、うちの陸上部には一年のマネージャーが居なくてな」
「？どうして？」

何か理由でもあるのだろうか。
琥珀は少し理由が長くなるのだが……と話し始めた。

「瑠璃姉……二つ上の姉がマネージャーをしているんだが
今年で瑠璃姉は高3で卒業をしてしまうから今年の春に募集をかけたんだが……
訪れる者は瑠璃姉目当ての男だらけでな
来る度に追い払っていたら誰も来なくなってしまった」
「クラスの人に声かけたりはしなかったの？」
「一応してみたんだが既に仮入部期間が終わっていて大抵の生徒はどこかの部活に入ってしまっていたからな……」

琥珀は追い払わずに引き留めれば良かったか……？とぼやいている。

「だがそれも問題あるまい
あきらが入ってきてくれたからな」
「……でも私あんまり詳しくないよ？」
「大丈夫だ、瑠璃姉に何でも聞くといい」

なんだか流れでマネージャーをやることになってしまったけど何にもしないよりかはましだし……
これからの学園生活に思いをはせていたからかあきらは曲がり角で人とぶつかってしまった。
ぶつかった衝撃で尻餅をついてしまったあきらは擦りつつぶつかった相手を見るとそこにいたのは千空だった。

「おい、大丈夫か？」
「いたたた……あ、千空」
「あ、ってお前……っ」
千空はしまったといわんばかりに苦い顔をしている。
その理由は。
「なんだ、二人とも知り合いだったのか？」
「「っ」」
二人が居候しているなんて露にも知らない琥珀が目の前にいたからである。