「そういやあきらは部活入らねぇのか？」

と千空に聞かれたので特に興味もないと答えたものの……
学校と家の往復だけでは何か物足りない。
(でも体験入部期間終わっちゃったしなあ
それに今から入ります、って言うのも何か気が引けるし)
特に用のない学校をぷらぷら歩いているといつの間にか校庭に出てきていた。

何気なしに校庭へと目を向けると一人の女子生徒が高跳びをしていた。
その女子生徒は棒を片手に走って何メートルか分からないハードルを軽々と越えていく。
ひたむきな姿に夕陽が差し込む。
その姿に見せられてあきらは惹き付けられるように飛ぶ様子をじっと見ていた。
何度目かの高跳びでその女子生徒は今になって見られている、ということに気づいた。


「なんだ、陸上部に興味があるのか？」
さっきまで高跳びをしていた女子生徒が話しかけてきた。
金髪だ、ハーフなんだろうか……？
興味があるのか、と言われても……と名前は必死に首を横に振った。
そういうとその女子生徒は残念だ、と肩をすくめた。
「わ、私運動神経よくないから」
「ならマネージャーならどうだ？」
「ま、マネージャー」
それなら運動神経が良くなくても出来そうだけど……
あんまりにもその人が期待した目で訴えかけるからついあきらは頷いてしまった。
「本当か！？」
「う、うん」
少し食い気味で若干後退りしつつ頷く。
「私は琥珀、尺神琥珀だ
君は何と言うんだ？」
「……五十嵐あきら、よろしく琥珀」