百夜は千空に話があると自室へと移動した。
理由はあきらに聞かれない為だ。
「何だ百夜話って」
「千空まさかとは思うが
あきらちゃんに手は出してないよな……？」
恐る恐る聞いてきた百夜に千空は呆れている。
「はあ～～～何だと思ったらそれかよ……
安心しろ、手なんざ出すはずねぇだろ」
「ほんとに何があっても手出さないか？」
「百億パーありえねぇ
ったく恋愛のれの字も興味ねぇつってんだろ」
本当に興味なさそうな表情で言う千空に百夜はほっとしたが若干別の意味での不安が残る。
(興味ないのは分かっていたが…ここまでとは……
別の意味で心配だ……)
何も起こらないのはいいがそれはそれで高校生男子としてはいかがなものか……と百夜は苦笑いをした。


夕食はあきらが作った料理を三人で食していたが、酒が回った百夜はあきらに千空の小さい頃の話を勝手に話し始めた。
「それでな、千空が……」
「そうだったんですか」
勝手にペラペラ喋られ千空は大変不機嫌である。
「まぁ、ともあれ千空と仲良くやってくれ」
「はい、分かりました」
言いたい放題していた百夜は話し終わると机でぐーすか寝てしまった。
風邪を引いてはいけないとあきらは百夜にブランケットをかける。
「悪いな、話し相手になってもらって」
「ううん、何かこっちこそ石神の小さい時の話知っちゃってごめん」
「……気にすんな、怒ってんのは五十嵐じゃなくて百夜の方だ、ったく」
すると百夜が身動ぎ寝言をいった。
「……千空、ちゃんと食ってるか……ぐう」
自分の事を言われていると千空は気まずそうに頭をかく。
「石神のお父さん、きっと石神の事が心配なんだよ」
「…………知ってるわ、んなこと」
後ろを向いた千空の耳は赤かった。