居候パロ
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「千空!!!言われたもの持ってきたぞー!」
「よお、デカブツ」
千空宅にやってきたのは大木大樹。
千空の幼馴染であり、度々ロケット制作に必要な者を持ってくるのはご近所にとっては毎度おなじみの恒例事だ。
じゃあ、上がるな、と言って中に入ろうとした大樹を千空は慌てて両手で遮った。
大樹は少し挙動不審な千空にきょとんとしつつ止められたのでとりあえず足を止める。
「どうした?千空」
「ああ~えっとなーーー」
はて、こういう時どうすれば自然な引き留め方が出来るのだろうか。
千空は必死に思案したのちこう答えた。
「あ!!ufo!!!」
千空は大樹の背後を指差し叫んだ。
「な、何ーー!?!?」
ぐるりと体を正反対に向けて大樹は必死に空を凝視した。
これで少しは時間稼ぎが出来るだろう……と安堵しつつ千空は己の言い訳の仕方に苦笑した。
相手が大樹だったから良かったものの、相手がもしゲンならこうはいかないだろう。
するとちょうどよくポケットに入ったスマホが僅かに動いた。
あきらからの合図だ。
「おい、デカブツ
さっさと中入れ」
「え、い、いいのか?ufo」
「あんなのジョークに決まってんだろーが」
そ、そうか……と首を傾げつつ大樹は千空の家にお邪魔した。
自室にしばらく籠りロケットの一部のパーツが出来上がった。
「っと今日はここまでだな」
「千空、いつもの場所に置いとくぞ」
おーーーと考え事をしながら生返事した千空だったがある点に気付いた。
大樹は物置き場となっている部屋を開けようとしたところ慌てた様子で千空が扉の前に立ちふさがった。
「”あーー、ちょうど物でいっぱいでここにゃ置けねぇんだ」
「ん?そうか」
千空はあぶねぇ……と冷や汗をかきつつ大樹に自室に置いとくよう頼んだ。
部屋が狭くなるがしょうがない。
と安堵した千空の傍らで大樹の目に一冊の本が入った。
それはとある小説本だった。
言わずもがなあきらの所有する本である。
千空は本を読むとは言えほとんど専門書や参考書が多い。
これがゲンなら明らかに本人の持ち物ではないことに気付き怪しむだろうが大樹はそうではなかった。
(千空も普通に小説読むんだなあ)
珍しいなとは思いつつもそこで思考が止まった大樹は特に問いかける事もなくそのまま千空宅を後にした。
大樹が帰ったのを見て千空は物置き場の戸をノックした。
「もう出ていいぞ」
やっと普通に生活できる……とあきらは部屋から出てきてほっと息をついた。
「特に怪しまれること無かった?」
ああ、と言おうとした千空ははた、と机に置いてある本に気づき声を上げた。
「何、急に声上げて…………あっっっ」
しまった、回収するのを忘れていたとあきらは口に手を当てた。
「何か言ってた……??」
「……いや、本に関する事は言って無かった……が……
気付いてないって事でいいのか、これは……」
「とりあえずごめん……
次からは気を付ける……」
ともあれこれで一件落着、と二人は安堵した。