ロックマンエグゼ炎山短編
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夏のとある連休、あきらは炎山や熱斗達と共に有名な海のリゾートに遊びに来ていた。
何故海に遊びに来ているかと言うと……
「なぁ、今度の夏休みどーするー?」
「うーんと、去年は確かおくデンだにに行ったわよね」
「じゃあ今年は海!行こうぜ!!」
「あら、なら私の持ってる別荘に泊まっててもいいわよ」
さ、流石大金持ち……と熱斗達が驚いたところでやいとがあ……と思い出した。
「でも問題は車ないと行けないのよねぇ
景色はいいんだけど」
「?車なんてやいとちゃんちに何台かあるだろ?何が問題なんだ?」
「それがいくつかメンテナンスに出す予定で空いてるのはパパが使う予定なのよ」
「えーーじゃあ海行けないじゃん!」
と計画が破綻しそうになっていたところたまたま祐一朗が連休中休みの予定にしていたのが分かり光一家の小旅行も兼ねてリゾート地に向かうことになったのである。
そんなわけで現在はリゾートに向けて車で移動中だ。
ちなみに運転しているのは祐一朗で助手席には熱斗の母のはる香が座っている。
「ねーパパー別荘まであとどれくらい?俺もう疲れたー」
「あとちょっとだから辛抱してくれ」
熱斗はちぇーと後部座席に座り直そうとして席がぎゅうぎゅう詰めな状態にむむーと顔をしかめっ面にした。
そもそも熱斗が疲れた原因がここにある。
座ってる順番が左からデカオ、熱斗、炎山なのだがデカオが小学生男子の平均から大幅に越しているせいで真ん中に座っている熱斗の疲弊度が尋常ではない。
ちなみに女子勢はもう一つ後ろの座席できゃっきゃしている。
「ていうかさーなんで炎山もいんだよ」
炎山はいたら悪いかと言わんばかりに熱斗に視線を向けた。
「それはパパが誘ったんだ」
「パパが!?」
「炎山くんも来てくれてありがとう」
炎山はいえ……と答える。
「むしろお邪魔させて貰ってすみません
せっかくの家族水入らずに……」
「ははは、気にしなくてもいいよ
大勢いた方が皆楽しいだろう?な、はる香」
「ええ、そうね、祐一朗さん
私は祐一朗さんとたくさん過ごせるだけで嬉しいわ」
「はる香…………」
「祐一朗さん…………」
と二人はそのままいい雰囲気になってしまい、車内の空気は何とも居心地の悪い空気に包まれた。
「ったく、付き合わされるこっちの身にもなってほしいぜ」
『まぁまぁ熱斗くん仲がいいのはいいことだよ
それよりそろそろ海見える頃じゃない?』
「お!ほんとだ!!すげー!!!」
熱斗はデカオを押しのけ窓の向こう側を見ると青く輝く海が見えた。
「くー!!早く泳ぎてー!!」
「熱斗、泳ぐのは明日よ?」
「せっかちねぇ」
とメイルや、やいとに釘をさされ熱斗は分かってるよ、と返した。
移動時間だけで数時間費やし今日泳ぐ時間はあまりないのだ。
今日は移動で疲れた体をひとまず休め、明日にたっぷり海で遊ぶことになっている。
無事やいとの別荘に着き一休憩をとったところで炎山のPETにメールの着信音がかかった。
すぐさま目を通した炎山は祐一朗に近づくと謝罪した。
「すみません、しばらくこの場を離れててもいいでしょうか?
用件が終わったらすぐ戻ってくるので」
「何か事件があったのかい?」
「あまり急を要するものではないのですが対応出来るオフィシャルが自分以外に居ないようで……」
「なるほど、場所は?」
祐一朗に聞かれ炎山はここから約三十分ほどだと答えると祐一朗は座っていたソファから立ち上がった。
「よし、車を出そう」
「!いえ、そこまでお手を煩わせるわけには……
車ならタクシーを呼びますので」
「呼ぶよりこっちの方が早く着く
気にするな、さっきちょっと休んだから平気だ」
「……すみません、助かります」
と、話す炎山と祐一朗をあきらはもどかしそうに眺めていた。
せっかくの好きな人と一緒に旅行に行けるとなってすごくわくわくしていたのに今は真逆の気分だ。(皆でわいわい出来るのはそれはそれで楽しけど)
車内では座る位置が微妙にずれているせいであまり積極的に話せなかったし。
そもそも炎山が移動中PETに集中していたのもあるが……(あれはオフィシャル関係だったのだうか?)
休憩中は主に熱斗やデカオが中心に話しかけておりそれを無理やり中に割って入る勇気もなかった。
話したのは車からキャリーを下ろそうとした時にふいに後ろから、持つ、と急に話しかけられたくらいだ。
あまりに急な事でびっくりしてしまい、とっさにうん、と答えると炎山はキャリーを持つとさっさと別荘に持っていってしまった。
……一応炎山は用件がすんだら別荘に帰ってくるらしいが忙しい彼のことだ、このまま別のところにいってしまう可能性もなきしもあらず。
諦めたように炎山を見つめるあきらをメイルは何かを察したような様子を見せた。
「じゃあ父さんはちょっと行ってくるからな
はるか頼んだぞ」
「ええ、祐一朗さん」
「ちょっと、パパ!俺も行く!!」
と言う熱斗だったが炎山に来るな、ときっぱり断られてしまった。
結局熱斗達はそのまま留守番ということになり不機嫌になりかけた熱斗だったが夕飯の時間になるとさっぱり元の様子に戻っていた。
そして夕飯を食べ終わった熱斗達はやいとにとある部屋を案内されたのだった。
「うぉー!!!すげー!!」
「ふふん、どう?うちのトレーニングルームは」
「すげー、でっけぇモニターもあんじゃねぇか」
まるで大会にでも使うんじゃないかと思うくらい本格的に作られた部屋だ。
ネットバトルの様子がどでかいモニターに映るように細工してあり自主練も出来るとのことだ。
『これならたっぷり練習できそうだね、熱斗くん』
「おう!ロックマン!」
それから皆でネットバトルの対戦をして時間はあっという間に過ぎ気付けばもう夜9時を回っていた。
『熱斗くん、そろそろ寝る時間だよ』
「えーー、まだやろうぜ、ロックマン~」
「ロックマンと言う通りだ、熱斗」
「パパ!!帰ってきたんだ!おかえり!」
ただいま、と返す祐一朗にあきらが近寄った。
「あの、炎山くんは……?」
「ああ……彼はまだ事件の後始末をしていてね、出来れば彼をこっちに送りたかったんだがそこまでしてもらうのは申し訳ないということで先に帰ってきたんだ」
「そう……ですか……」
「さ、明日もあるし皆も早いうちに寝なさい」
祐一朗に促されて熱斗も納得したのか、はーーい、と返事をするとトレーニングルームから出ていった。
「あきらちゃん、私たちもいこ?」
「あ、うん、メイルちゃん」
結局炎山とはまともに会話することなく1日が終わってしまった、皆との対戦がとても楽しかっただけに炎山もそこに一緒にいたらもっと楽しかったのにな、と後ろ髪引かれる思いであきらはトレーニングルームを後にした。
夜中ふとあきらは目が覚め、時刻を見ると午前零時を回ったところでメイルとやいとはあきらが目が覚めたことに気付かずすぅすぅと眠っている。
(トイレ行きたい……)
二人を起こさないようそろりそろりと、抜き足差し足で部屋を抜け出しトイレをすませ元の部屋に戻ろうとしたところでふとトレーニングルームから光がもれていた。
もしかして熱斗がまだロックマンと自主錬しているのかな?と思いドアの隙間から中を覗くと……そこにいたのは炎山だった。
びっくりして、あ、と思わず声を上げてしまい、炎山に気付かれてしまった。
「誰かと思ったらお前か」
「こ、こんばんわ、炎山くん
もう帰ってきてたんだね」
「ああ、一時間前くらいにな」
こんな時間まで事件の後始末をしていたんだ、とあきらは驚いた。
「それでさっきまで何してたの?」
「見れば分かるだろう、自主錬だ」
「こんな夜中なのに?眠くないの?」
と聞くと、炎山は当たり前かのようにああ、と答えた。
炎山の様子から見るにこうして夜中まで自主錬をするのは今日が初めてではないようだ。
炎山はいつもオフィシャルとして忙しそうにしている。
それが終わった後いつもこんな風にトレーニングしているということは炎山は一体何時間寝ているんだろうとあきらは思った。
熱斗ほどではないがあきらもまだ小学生、夜中に起きている事はほとんどない。
なんだか大人の人みたい、とあきらは炎山と距離があるようで少し寂しく思った。
ふと、炎山に明日はどうするのか、と聞いてみたが明日も任務があったら行けないかもな、と返された。
その淡々とした様子に炎山はもしかして海楽しみにしていなかったのかなとしょんぼりしているとふいに後ろから声がした。
「まぁまぁ、せっかくの夏休みだ
気にせずに気軽に楽しんだらいいんじゃないか?」
「光さん」
炎山がまだ起きていらしたんですか?と言うと君もな、と祐一朗は笑った。
夏休暇をとったもののやはり何かをせずにいられない祐一朗は持ち込みの仕事をしていたところトレーニングルームの灯りがついていることに気付き様子を見にきたらしい。
「炎山くん、君はオフィシャルとはいえまだ小学生だ
もちろん、おざなりに出来ないことも理解しているが、たまにはゆっくりと自分のしたいことをしてもいいんじゃないか?」
「…………」
炎山は祐一朗の発言に言い返せず黙ってしまった。
俯いた炎山の様子を恐る恐る見るとどうするべきか迷っているような感じがした。
「とはいえ、私のアドバイスに従わなきゃいけないというわけでもない
決めるのは君自身だ、オフィシャルの任務を優先したいというのならそれもいいだろう」
「……はい」
「さ、夜ももう遅い、二人ともそろそろ寝た方がいい」
祐一朗の促しに炎山とあきらはトレーニングルームから出たが炎山はまだ悩んでいるよう表情をしていた。
翌日。
予定通り、一向は海に遊びにきていた。
その中に炎山の姿はない、やはりオフィシャルの方で呼ばれたのだろう。
と思っていると目の前の木の日陰に一人立っている少年がいる。
言うまでもなく炎山本人であった。(しっかり水着姿である)
てっきり来ないものだと思っていたからびっくりして立ち止まると炎山がこちらに視線を向けた。
「なんだ」
「あ、えっと……オフィシャルの方は大丈夫なの?」
「問題ない、特に込み入った事件も起きていないようだしな」
そっか、とあきらは一緒に過ごせることが分かり嬉しくなって笑顔になった。
「じゃあ、皆のとこいこっか、……?炎山くんどうしたの?」
炎山はじっとあきらを見つめ何かを言おうとしたが熱斗がこちらに走ってきているのを見て、なんでもない、と言った。
「あれー?炎山お前海来ないんじゃなかったのかよ」
炎山はフッと笑い、気が変わったと言うと熱斗は去年と同じような事の繰り返しになんだかなあと呟いたのだった。
何故海に遊びに来ているかと言うと……
「なぁ、今度の夏休みどーするー?」
「うーんと、去年は確かおくデンだにに行ったわよね」
「じゃあ今年は海!行こうぜ!!」
「あら、なら私の持ってる別荘に泊まっててもいいわよ」
さ、流石大金持ち……と熱斗達が驚いたところでやいとがあ……と思い出した。
「でも問題は車ないと行けないのよねぇ
景色はいいんだけど」
「?車なんてやいとちゃんちに何台かあるだろ?何が問題なんだ?」
「それがいくつかメンテナンスに出す予定で空いてるのはパパが使う予定なのよ」
「えーーじゃあ海行けないじゃん!」
と計画が破綻しそうになっていたところたまたま祐一朗が連休中休みの予定にしていたのが分かり光一家の小旅行も兼ねてリゾート地に向かうことになったのである。
そんなわけで現在はリゾートに向けて車で移動中だ。
ちなみに運転しているのは祐一朗で助手席には熱斗の母のはる香が座っている。
「ねーパパー別荘まであとどれくらい?俺もう疲れたー」
「あとちょっとだから辛抱してくれ」
熱斗はちぇーと後部座席に座り直そうとして席がぎゅうぎゅう詰めな状態にむむーと顔をしかめっ面にした。
そもそも熱斗が疲れた原因がここにある。
座ってる順番が左からデカオ、熱斗、炎山なのだがデカオが小学生男子の平均から大幅に越しているせいで真ん中に座っている熱斗の疲弊度が尋常ではない。
ちなみに女子勢はもう一つ後ろの座席できゃっきゃしている。
「ていうかさーなんで炎山もいんだよ」
炎山はいたら悪いかと言わんばかりに熱斗に視線を向けた。
「それはパパが誘ったんだ」
「パパが!?」
「炎山くんも来てくれてありがとう」
炎山はいえ……と答える。
「むしろお邪魔させて貰ってすみません
せっかくの家族水入らずに……」
「ははは、気にしなくてもいいよ
大勢いた方が皆楽しいだろう?な、はる香」
「ええ、そうね、祐一朗さん
私は祐一朗さんとたくさん過ごせるだけで嬉しいわ」
「はる香…………」
「祐一朗さん…………」
と二人はそのままいい雰囲気になってしまい、車内の空気は何とも居心地の悪い空気に包まれた。
「ったく、付き合わされるこっちの身にもなってほしいぜ」
『まぁまぁ熱斗くん仲がいいのはいいことだよ
それよりそろそろ海見える頃じゃない?』
「お!ほんとだ!!すげー!!!」
熱斗はデカオを押しのけ窓の向こう側を見ると青く輝く海が見えた。
「くー!!早く泳ぎてー!!」
「熱斗、泳ぐのは明日よ?」
「せっかちねぇ」
とメイルや、やいとに釘をさされ熱斗は分かってるよ、と返した。
移動時間だけで数時間費やし今日泳ぐ時間はあまりないのだ。
今日は移動で疲れた体をひとまず休め、明日にたっぷり海で遊ぶことになっている。
無事やいとの別荘に着き一休憩をとったところで炎山のPETにメールの着信音がかかった。
すぐさま目を通した炎山は祐一朗に近づくと謝罪した。
「すみません、しばらくこの場を離れててもいいでしょうか?
用件が終わったらすぐ戻ってくるので」
「何か事件があったのかい?」
「あまり急を要するものではないのですが対応出来るオフィシャルが自分以外に居ないようで……」
「なるほど、場所は?」
祐一朗に聞かれ炎山はここから約三十分ほどだと答えると祐一朗は座っていたソファから立ち上がった。
「よし、車を出そう」
「!いえ、そこまでお手を煩わせるわけには……
車ならタクシーを呼びますので」
「呼ぶよりこっちの方が早く着く
気にするな、さっきちょっと休んだから平気だ」
「……すみません、助かります」
と、話す炎山と祐一朗をあきらはもどかしそうに眺めていた。
せっかくの好きな人と一緒に旅行に行けるとなってすごくわくわくしていたのに今は真逆の気分だ。(皆でわいわい出来るのはそれはそれで楽しけど)
車内では座る位置が微妙にずれているせいであまり積極的に話せなかったし。
そもそも炎山が移動中PETに集中していたのもあるが……(あれはオフィシャル関係だったのだうか?)
休憩中は主に熱斗やデカオが中心に話しかけておりそれを無理やり中に割って入る勇気もなかった。
話したのは車からキャリーを下ろそうとした時にふいに後ろから、持つ、と急に話しかけられたくらいだ。
あまりに急な事でびっくりしてしまい、とっさにうん、と答えると炎山はキャリーを持つとさっさと別荘に持っていってしまった。
……一応炎山は用件がすんだら別荘に帰ってくるらしいが忙しい彼のことだ、このまま別のところにいってしまう可能性もなきしもあらず。
諦めたように炎山を見つめるあきらをメイルは何かを察したような様子を見せた。
「じゃあ父さんはちょっと行ってくるからな
はるか頼んだぞ」
「ええ、祐一朗さん」
「ちょっと、パパ!俺も行く!!」
と言う熱斗だったが炎山に来るな、ときっぱり断られてしまった。
結局熱斗達はそのまま留守番ということになり不機嫌になりかけた熱斗だったが夕飯の時間になるとさっぱり元の様子に戻っていた。
そして夕飯を食べ終わった熱斗達はやいとにとある部屋を案内されたのだった。
「うぉー!!!すげー!!」
「ふふん、どう?うちのトレーニングルームは」
「すげー、でっけぇモニターもあんじゃねぇか」
まるで大会にでも使うんじゃないかと思うくらい本格的に作られた部屋だ。
ネットバトルの様子がどでかいモニターに映るように細工してあり自主練も出来るとのことだ。
『これならたっぷり練習できそうだね、熱斗くん』
「おう!ロックマン!」
それから皆でネットバトルの対戦をして時間はあっという間に過ぎ気付けばもう夜9時を回っていた。
『熱斗くん、そろそろ寝る時間だよ』
「えーー、まだやろうぜ、ロックマン~」
「ロックマンと言う通りだ、熱斗」
「パパ!!帰ってきたんだ!おかえり!」
ただいま、と返す祐一朗にあきらが近寄った。
「あの、炎山くんは……?」
「ああ……彼はまだ事件の後始末をしていてね、出来れば彼をこっちに送りたかったんだがそこまでしてもらうのは申し訳ないということで先に帰ってきたんだ」
「そう……ですか……」
「さ、明日もあるし皆も早いうちに寝なさい」
祐一朗に促されて熱斗も納得したのか、はーーい、と返事をするとトレーニングルームから出ていった。
「あきらちゃん、私たちもいこ?」
「あ、うん、メイルちゃん」
結局炎山とはまともに会話することなく1日が終わってしまった、皆との対戦がとても楽しかっただけに炎山もそこに一緒にいたらもっと楽しかったのにな、と後ろ髪引かれる思いであきらはトレーニングルームを後にした。
夜中ふとあきらは目が覚め、時刻を見ると午前零時を回ったところでメイルとやいとはあきらが目が覚めたことに気付かずすぅすぅと眠っている。
(トイレ行きたい……)
二人を起こさないようそろりそろりと、抜き足差し足で部屋を抜け出しトイレをすませ元の部屋に戻ろうとしたところでふとトレーニングルームから光がもれていた。
もしかして熱斗がまだロックマンと自主錬しているのかな?と思いドアの隙間から中を覗くと……そこにいたのは炎山だった。
びっくりして、あ、と思わず声を上げてしまい、炎山に気付かれてしまった。
「誰かと思ったらお前か」
「こ、こんばんわ、炎山くん
もう帰ってきてたんだね」
「ああ、一時間前くらいにな」
こんな時間まで事件の後始末をしていたんだ、とあきらは驚いた。
「それでさっきまで何してたの?」
「見れば分かるだろう、自主錬だ」
「こんな夜中なのに?眠くないの?」
と聞くと、炎山は当たり前かのようにああ、と答えた。
炎山の様子から見るにこうして夜中まで自主錬をするのは今日が初めてではないようだ。
炎山はいつもオフィシャルとして忙しそうにしている。
それが終わった後いつもこんな風にトレーニングしているということは炎山は一体何時間寝ているんだろうとあきらは思った。
熱斗ほどではないがあきらもまだ小学生、夜中に起きている事はほとんどない。
なんだか大人の人みたい、とあきらは炎山と距離があるようで少し寂しく思った。
ふと、炎山に明日はどうするのか、と聞いてみたが明日も任務があったら行けないかもな、と返された。
その淡々とした様子に炎山はもしかして海楽しみにしていなかったのかなとしょんぼりしているとふいに後ろから声がした。
「まぁまぁ、せっかくの夏休みだ
気にせずに気軽に楽しんだらいいんじゃないか?」
「光さん」
炎山がまだ起きていらしたんですか?と言うと君もな、と祐一朗は笑った。
夏休暇をとったもののやはり何かをせずにいられない祐一朗は持ち込みの仕事をしていたところトレーニングルームの灯りがついていることに気付き様子を見にきたらしい。
「炎山くん、君はオフィシャルとはいえまだ小学生だ
もちろん、おざなりに出来ないことも理解しているが、たまにはゆっくりと自分のしたいことをしてもいいんじゃないか?」
「…………」
炎山は祐一朗の発言に言い返せず黙ってしまった。
俯いた炎山の様子を恐る恐る見るとどうするべきか迷っているような感じがした。
「とはいえ、私のアドバイスに従わなきゃいけないというわけでもない
決めるのは君自身だ、オフィシャルの任務を優先したいというのならそれもいいだろう」
「……はい」
「さ、夜ももう遅い、二人ともそろそろ寝た方がいい」
祐一朗の促しに炎山とあきらはトレーニングルームから出たが炎山はまだ悩んでいるよう表情をしていた。
翌日。
予定通り、一向は海に遊びにきていた。
その中に炎山の姿はない、やはりオフィシャルの方で呼ばれたのだろう。
と思っていると目の前の木の日陰に一人立っている少年がいる。
言うまでもなく炎山本人であった。(しっかり水着姿である)
てっきり来ないものだと思っていたからびっくりして立ち止まると炎山がこちらに視線を向けた。
「なんだ」
「あ、えっと……オフィシャルの方は大丈夫なの?」
「問題ない、特に込み入った事件も起きていないようだしな」
そっか、とあきらは一緒に過ごせることが分かり嬉しくなって笑顔になった。
「じゃあ、皆のとこいこっか、……?炎山くんどうしたの?」
炎山はじっとあきらを見つめ何かを言おうとしたが熱斗がこちらに走ってきているのを見て、なんでもない、と言った。
「あれー?炎山お前海来ないんじゃなかったのかよ」
炎山はフッと笑い、気が変わったと言うと熱斗は去年と同じような事の繰り返しになんだかなあと呟いたのだった。
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