ロックマンエグゼ炎山短編
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大会の第一試合まであと1日。
私は大会用のチップフォルダを睨みながら組んでいた。
そしてこれは対炎山に向けた対策フォルダである。
「あと二勝したら……炎山と戦える」
とブツブツ呟く私にPETの中に入ったナビが小言を言う。
『ねぇ、対策するのはいいけどそもそも前の試合を勝ち進まないと炎山くんとは戦えないんだよ?そっちの対策は考えてあるの?』
と言われ私はギクリと体をすくませた。
ぶっちゃけあんまり出来てない、炎山を意識する余り他の対戦者に意識が向いてなかったのだ。
「ちょ、ちょっとだけ……」
『ふーん?
ていうかお風呂上がったら髪乾かしなさいってお母さんに言われてなかった?
ちゃんと乾かさないと風邪引いちゃうよー?』
「私そんなにやわじゃないもん」
後でやるやると言うとナビはほんとにー?と疑わしい目で見ている。
そして……ナビの言うとおり翌日私は本当に風邪を引いてしまった。
「38度超えてるわね……」
体温計を眺める母にちらっと大会の事を言ってみたのだがやはり却下された。
「駄目に決まってるでしょ
運営にはちゃんと辞退のメール送っておくのよ
お母さんほんとは看病してあげたいけど急に仕事入っちゃったから少し辛抱してね」
「…………はーい」
「ちゃんと寝てるのよ」
これ薬ね、と机に置いて母が家を出るのをじっと待つ。
やがて玄関の鍵が閉められたことを確認し私は布団から身を起こしてパジャマを脱いだ。
『ちょっと!!何してるの!?』
「何って出かける準備」
『風邪引いてる状態で試合に出るの!?無茶だよ』
「解熱剤と風邪薬飲んだからへーき」
ぶっちゃけ平気なわけがない、多少薬で熱が抑えられるとはいえ体を動かすのは辛かった。
それでも……
「……今逃したら対戦できない」
オフィシャルネットバトラーである炎山は常に忙しい、彼と知り合いとはいえいきなり勝負を挑んでも断られるに違いないしそんな彼と公式に戦える千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。
『ほんとに大丈夫?後で絶対お母さんに怒られるよ?』
「ちょっと熱下がってきたし早めに試合を終わせてすぐ帰ればバレないよ」
問題は今日行われる試合が合わせて二試合あることだ。
一試合目はまだ薬が効いているからおそらく問題はない、が、二試合目の方は分からない。
他の試合によって試合開始時間が早まる可能性もあるし遅れる場合もある。
こうなっては早めに開始することを祈るしかないが……とりあえず今日は何とか勝ち進めるしかないと私はチップを握りしめた。
『何とか二試合目まで来れたね……?』
ナビに自分の名前を呼ばれ私はぐらついた意識を戻しナビに大丈夫ちょっと目眩がしただけ、と返す。
「それより炎山とさっき擦れ違ったけど風邪でてバレてないかな……」
『うーんどうだろ……』
向こうも試合でぴりぴりしてる雰囲気だったしあまりこっちを気に掛ける様子もなかった様に見えたけど……
さっきの事を思い返そうとしてその記憶が曖昧な事に気付いた。
熱がぶり返してきているのか思考がうまく纏まらずついさっきのことでさえ思い出せない。
こりゃ1日寝込むな、とため息をつく。
でも明日は試合はひとまず休みだし今日何とか乗りきれれば……
「いくよ!!」
『うん!』
PETのコードを繋ぎナビをログインさせいざ第二試合目の始まりだ。
「一気に決めるよ!」
『了解!』
本当は今すぐにでも帰って布団で寝ていたいほどしんどかった私は相手をしっかり注目することもなくいつも使っているチップを入れた。
「よし!決まった!」
黙々と煙がたちこみ勝利を確信した私だったがそれが間違いであるとナビから指摘がきた。
どうやら防御系のチップを送り攻撃を防いだらしい。
『攻撃くるよ!』
「う、うん」
(指示を送らなきゃ)
ナビはオペレーターなしでは実力を発揮できない。
私が上手く指示を出さねばこの試合は負ける。
急いで考えようとしてずきりと頭に強い痛みが走りぐらりと体が傾いた。
(指示を……送らないと……)
体が、動かない。
(ここで負けたら……)
床に倒れたままナビが自分の名前を呼ぶのをうっすらと感じたまま私は意識を失った。
『良かった、目覚めたんだね!』
「……ここは……?」
『会場内の救護所だよ
大会のスタッフさんがここまで運んできてくれたから後でお礼言おうね』
ベッドに横たわったまま私は元気のない様子でうんと返した。
『……気になる?試合の結果』
「負けたん……だよね」
「……うん、ごめんね」
ナビは申し訳なさそうに謝り私は謝ることないのにと呟く。
「私が風邪なのを無理やり来たから負けたんだよ、あなたのせいじゃない」
と言うとふいに、本当にそうか?と横から声がした。
聞き覚えのある声にがばりと身を起こすとドアの付近に炎山が立っていた。
「……何が言いたいの」
「本当に風邪のせいかって聞いてるんだ
敗因はお前自身だ」
「だからそれは熱のせいだって……!」
炎山に睨まれ私は息を呑む。
「今日の対戦、対策を何もしていなかったな?」
「!」
私は毛布をぎゅっと握りしめる。
「一戦目はラッキーだったようだが二戦目はそれがボロに出ていた
何に気をとられていたかは知らんがそれでよく大会に出ようと思ったな?」
最早何も言い返せる言葉がない、その通りだ。
炎山を意識するがあまり何もしてこなかった詰めの甘さが出た。
そして炎山は短く失望した、と言うと救護所から出ていってしまった。
「…………」
ぽすんと枕に倒れこみ目から涙が溢れ落ちた。
もうその通りして何も言い返せなかった。
「……悔しい」
『……』
「私全然駄目だ、炎山と戦うことしか考えてなかった、他の対戦者なんて頭になかった」
『全く対策してなかったわけじゃ……』
「それでも炎山の言う通りだよ
……これじゃもうネットバトルしてくれないだろうなぁ、あーあ」
こうなるんだったらダメ元でも言えば良かった、と自嘲気味に笑い熱がまた上がってきたことにより私はまた意識を失った。
次目を覚ました時には既に自室にいてベットの横には母親がいた。
勝手に抜け出した等々説教され晩御飯を終えた時母にいつの間に迎えにきていたのかと聞くと驚く返事が返ってきた。
「そっか寝てたから記憶ないのね
伊集院くんがタクシー呼んでくれて送ってくれたのよ」
「え、炎山が……?」
「そう、ちょうど帰宅して居ないって事が判明した時にチャイムが鳴ってね
伊集院くんは仕事で忙しいってすぐ帰っちゃったけど」
母は小学生であんな礼儀正しい子中々いないわよ~~と言うと部屋から出ていってしまった。
一方私は言うとぽかんと口を開けたままだった。
……あんなことを言われた後にわざわざ自宅に送り届けてもらうなんて予想にもしていなかった。
『あ、炎山くんからメッセージきてたよ』
「!な、なんて?」
『しっかり風邪治せだって
あと暇な時だったらネットバトルしてやらんでもない』
「それ断りの上等文句じゃん!
……まぁでも完全に嫌われたってわけじゃないってことだよね
お礼の返事送って貰ってもいい?」
『OK!』
「えーんざん!おはよ!」
炎山にぶんぶん手を振ると炎山は顔をしかめた。
「おい、しっかり治せって送ったはずだが……?」
「?もう治ったよ」
炎山はこつこつとこちらに向かってくるとコツンと額を合わせてきた。(ナビがキャーキャー言っている)
炎山はすっと離れると背を向けた。
「フン、それは本当のようだな」
「あっ、炎山
メッセージにネットバトルしてくれるって書いてたでしょ、今日しよ!」
「生憎だが今日は予定がたくさん詰まってるんでな、また今度にしてくれ」
と言うと炎山はさっさと学校に行ってしまった。
「むーー
……ていうかさっきからうるさいんだけど」
『だって!!あんなの見せられたらキュンキュンってするじゃない!!』
「きゅんきゅん??」
『もーーー小学生五年生にもなって乙女としての自覚がないんだから……
こう……何も感じないの!?』
「別に……お母さんも昔やってたし」
『お母さんと炎山くんは違うでしょお!?』
ナビに怒られ恋心というものがよく分かっていない私はえー?と頭にはてなマークを浮かべるのだった。
私は大会用のチップフォルダを睨みながら組んでいた。
そしてこれは対炎山に向けた対策フォルダである。
「あと二勝したら……炎山と戦える」
とブツブツ呟く私にPETの中に入ったナビが小言を言う。
『ねぇ、対策するのはいいけどそもそも前の試合を勝ち進まないと炎山くんとは戦えないんだよ?そっちの対策は考えてあるの?』
と言われ私はギクリと体をすくませた。
ぶっちゃけあんまり出来てない、炎山を意識する余り他の対戦者に意識が向いてなかったのだ。
「ちょ、ちょっとだけ……」
『ふーん?
ていうかお風呂上がったら髪乾かしなさいってお母さんに言われてなかった?
ちゃんと乾かさないと風邪引いちゃうよー?』
「私そんなにやわじゃないもん」
後でやるやると言うとナビはほんとにー?と疑わしい目で見ている。
そして……ナビの言うとおり翌日私は本当に風邪を引いてしまった。
「38度超えてるわね……」
体温計を眺める母にちらっと大会の事を言ってみたのだがやはり却下された。
「駄目に決まってるでしょ
運営にはちゃんと辞退のメール送っておくのよ
お母さんほんとは看病してあげたいけど急に仕事入っちゃったから少し辛抱してね」
「…………はーい」
「ちゃんと寝てるのよ」
これ薬ね、と机に置いて母が家を出るのをじっと待つ。
やがて玄関の鍵が閉められたことを確認し私は布団から身を起こしてパジャマを脱いだ。
『ちょっと!!何してるの!?』
「何って出かける準備」
『風邪引いてる状態で試合に出るの!?無茶だよ』
「解熱剤と風邪薬飲んだからへーき」
ぶっちゃけ平気なわけがない、多少薬で熱が抑えられるとはいえ体を動かすのは辛かった。
それでも……
「……今逃したら対戦できない」
オフィシャルネットバトラーである炎山は常に忙しい、彼と知り合いとはいえいきなり勝負を挑んでも断られるに違いないしそんな彼と公式に戦える千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。
『ほんとに大丈夫?後で絶対お母さんに怒られるよ?』
「ちょっと熱下がってきたし早めに試合を終わせてすぐ帰ればバレないよ」
問題は今日行われる試合が合わせて二試合あることだ。
一試合目はまだ薬が効いているからおそらく問題はない、が、二試合目の方は分からない。
他の試合によって試合開始時間が早まる可能性もあるし遅れる場合もある。
こうなっては早めに開始することを祈るしかないが……とりあえず今日は何とか勝ち進めるしかないと私はチップを握りしめた。
『何とか二試合目まで来れたね……?』
ナビに自分の名前を呼ばれ私はぐらついた意識を戻しナビに大丈夫ちょっと目眩がしただけ、と返す。
「それより炎山とさっき擦れ違ったけど風邪でてバレてないかな……」
『うーんどうだろ……』
向こうも試合でぴりぴりしてる雰囲気だったしあまりこっちを気に掛ける様子もなかった様に見えたけど……
さっきの事を思い返そうとしてその記憶が曖昧な事に気付いた。
熱がぶり返してきているのか思考がうまく纏まらずついさっきのことでさえ思い出せない。
こりゃ1日寝込むな、とため息をつく。
でも明日は試合はひとまず休みだし今日何とか乗りきれれば……
「いくよ!!」
『うん!』
PETのコードを繋ぎナビをログインさせいざ第二試合目の始まりだ。
「一気に決めるよ!」
『了解!』
本当は今すぐにでも帰って布団で寝ていたいほどしんどかった私は相手をしっかり注目することもなくいつも使っているチップを入れた。
「よし!決まった!」
黙々と煙がたちこみ勝利を確信した私だったがそれが間違いであるとナビから指摘がきた。
どうやら防御系のチップを送り攻撃を防いだらしい。
『攻撃くるよ!』
「う、うん」
(指示を送らなきゃ)
ナビはオペレーターなしでは実力を発揮できない。
私が上手く指示を出さねばこの試合は負ける。
急いで考えようとしてずきりと頭に強い痛みが走りぐらりと体が傾いた。
(指示を……送らないと……)
体が、動かない。
(ここで負けたら……)
床に倒れたままナビが自分の名前を呼ぶのをうっすらと感じたまま私は意識を失った。
『良かった、目覚めたんだね!』
「……ここは……?」
『会場内の救護所だよ
大会のスタッフさんがここまで運んできてくれたから後でお礼言おうね』
ベッドに横たわったまま私は元気のない様子でうんと返した。
『……気になる?試合の結果』
「負けたん……だよね」
「……うん、ごめんね」
ナビは申し訳なさそうに謝り私は謝ることないのにと呟く。
「私が風邪なのを無理やり来たから負けたんだよ、あなたのせいじゃない」
と言うとふいに、本当にそうか?と横から声がした。
聞き覚えのある声にがばりと身を起こすとドアの付近に炎山が立っていた。
「……何が言いたいの」
「本当に風邪のせいかって聞いてるんだ
敗因はお前自身だ」
「だからそれは熱のせいだって……!」
炎山に睨まれ私は息を呑む。
「今日の対戦、対策を何もしていなかったな?」
「!」
私は毛布をぎゅっと握りしめる。
「一戦目はラッキーだったようだが二戦目はそれがボロに出ていた
何に気をとられていたかは知らんがそれでよく大会に出ようと思ったな?」
最早何も言い返せる言葉がない、その通りだ。
炎山を意識するがあまり何もしてこなかった詰めの甘さが出た。
そして炎山は短く失望した、と言うと救護所から出ていってしまった。
「…………」
ぽすんと枕に倒れこみ目から涙が溢れ落ちた。
もうその通りして何も言い返せなかった。
「……悔しい」
『……』
「私全然駄目だ、炎山と戦うことしか考えてなかった、他の対戦者なんて頭になかった」
『全く対策してなかったわけじゃ……』
「それでも炎山の言う通りだよ
……これじゃもうネットバトルしてくれないだろうなぁ、あーあ」
こうなるんだったらダメ元でも言えば良かった、と自嘲気味に笑い熱がまた上がってきたことにより私はまた意識を失った。
次目を覚ました時には既に自室にいてベットの横には母親がいた。
勝手に抜け出した等々説教され晩御飯を終えた時母にいつの間に迎えにきていたのかと聞くと驚く返事が返ってきた。
「そっか寝てたから記憶ないのね
伊集院くんがタクシー呼んでくれて送ってくれたのよ」
「え、炎山が……?」
「そう、ちょうど帰宅して居ないって事が判明した時にチャイムが鳴ってね
伊集院くんは仕事で忙しいってすぐ帰っちゃったけど」
母は小学生であんな礼儀正しい子中々いないわよ~~と言うと部屋から出ていってしまった。
一方私は言うとぽかんと口を開けたままだった。
……あんなことを言われた後にわざわざ自宅に送り届けてもらうなんて予想にもしていなかった。
『あ、炎山くんからメッセージきてたよ』
「!な、なんて?」
『しっかり風邪治せだって
あと暇な時だったらネットバトルしてやらんでもない』
「それ断りの上等文句じゃん!
……まぁでも完全に嫌われたってわけじゃないってことだよね
お礼の返事送って貰ってもいい?」
『OK!』
「えーんざん!おはよ!」
炎山にぶんぶん手を振ると炎山は顔をしかめた。
「おい、しっかり治せって送ったはずだが……?」
「?もう治ったよ」
炎山はこつこつとこちらに向かってくるとコツンと額を合わせてきた。(ナビがキャーキャー言っている)
炎山はすっと離れると背を向けた。
「フン、それは本当のようだな」
「あっ、炎山
メッセージにネットバトルしてくれるって書いてたでしょ、今日しよ!」
「生憎だが今日は予定がたくさん詰まってるんでな、また今度にしてくれ」
と言うと炎山はさっさと学校に行ってしまった。
「むーー
……ていうかさっきからうるさいんだけど」
『だって!!あんなの見せられたらキュンキュンってするじゃない!!』
「きゅんきゅん??」
『もーーー小学生五年生にもなって乙女としての自覚がないんだから……
こう……何も感じないの!?』
「別に……お母さんも昔やってたし」
『お母さんと炎山くんは違うでしょお!?』
ナビに怒られ恋心というものがよく分かっていない私はえー?と頭にはてなマークを浮かべるのだった。
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