夏休みもあと半月を切りあとはどうやって過ごそうかと思っていたあきらは街を歩いていると一方通行らしき人物が路地裏に入っていくのが見えた。
らしきというか髪が真っ白だったので多分一方通行だ。
何となく気になって入っていった路地裏の中に入る。
とはいえ路地裏は複雑な作りだ、どこに行ったのかとうろうろしているとふいに頬に何かの液体がぴちゃりとついた。
「っ！？！？！？」
付くのと同時に脳にある情景が浮かび上がる。


それは中学生らしき少女が一方的に惨殺されている光景だった。
人を人とも思ってないかのような行為をそれは笑いながら少女をいたぶり嘲笑って最終的に殺していた
少女の体はめちゃくちゃな方向にねじ曲げられ体は血の海に沈み、そしてその光景の中心にいたのは……一方通行だった。
血の海の中にいてもなお一方通行は笑っていた。


「……っ、はっっっ、う……」
何で彼があんな事をしたのか、映像のグロテスクさで吐き気と混乱であきらはぺたりと地面に座りこんだ。
(なん、で……一方通行……)


何でこんなことをしているのか突き止める為にあきらは調査し始めた。
(あの……制服……)
常盤台中学校……学舎の園にある有名学校である。
そしてあの少女の顔には見覚えがあった。
レベル5の第三位……御坂美琴そっくりなのだ。
御坂美琴は数少ない顔が世間に知られている有名人だ、関わりのないあきらも当然知っていた。
しかし本人ではない、何故ならさっき偶然見かけたからだ。
となると殺された少女はクローン？
ここで本人と接触するか否かだが……
(ここは様子をみよう)
クローン製造には本人のDNAマップが必要不可欠だ、彼女が仮に実験協力者なら実験の存在を知られたと知って攻撃してくるかもしれない。
実際はその反対だったのだけれど。
そして彼女が触れた場所から思念を読み取りあきらはとある研究所に行き着いた。
物陰に隠れていると施設が襲撃にあった為か研究者達が逃げ出していた。
その内の一人を少し手荒いが物陰に引き込んでスタンガンで気絶させ記憶を読み取る。
(絶対能力進化計画……)
一方通行が関わっているのは絶対能力進化という実験らしい。
その目的とは超能力者である一方通行を更なる進化つまり絶対能力にさせるというものであった。
機械が算出した手順とはレールガンを128体用意させ一方通行と交戦し殺害させることらしいが当然レールガンを128体用意するのは不可能だ。
そこで見方を変えレールガンの下位互換……妹達、レールガンのクローン体を二万体作ればそれでも絶対能力になることが可能という結論が出され戦闘を繰り返し続けている。
一体いつから……？と探るも正確な日時までは読めなかった。
レールガンの妨害により施設が破壊されこの施設はそのアクシデントで委託された外部の研究所らしい。
恐らく妹達の製造または調整用の施設なのだろう。


(止めない、と)
実験が開始した以上既に犠牲者は出ている、それがクローンだとしても。
能力を向上させる為といっても二万体を殺すなど正気の沙汰ではない。
一方通行は……確かに品行方正な人物ではないしどこか危うい面もあった。
けれど……
(あんなことして全く感じないなんて私は思わない)
このまま放っておいて実験が終わったら更に遠いところへ行ってしまう予感がした。
(直接話すしかない)
記憶を読み取れない以上真意を確かめる為にはそれしかない。
あきらは携帯を操作して一方通行にメールを送った。
たとえ一方通行に敵視されて嫌われても……この計画に参加した意図を知らなければならない。