「さて……」
部活休止期間に入り一日目。
休みの代わりに今日はランニングをする予定だ。
居間を通るとちょうど家族がテレビを見ていたので当然その内容が耳に入ったのだがその内容に乾は足をとめた。
ニュースでは今日の気温が何度とかとニュースキャスターが喋っている。
外を見ればじりじりと太陽が照らしいかにも夏真っ盛りだ。
夏といえば暑いのは当たり前だがここまで暑いと運動には支障が出るのでは……？
とはいえ自分は忍耐には自信があると思っているしこの程度の気温なら問題はないだろうが……
と思案しているとニュースからcmに切り替わっていた。
「……あそこならいいかもしれない」
乾は頷いて家を出た。


やってきたのは民間が運営するプール。
先ほどリニューアルオープンしたとcmで流れていたとこだ。
ここなら暑さを気にすることなく体力を鍛えれるだろう。
「それにしても……」
夏休みに入ったからか人が多い、そしてカップルだらけだ。
こんなに多いと自分が泳ぐスペースはないかもしれないな……と50mのところに来ると見覚えのある後ろ姿が目に映った。
見ればプールの淵に立っていて震えていて手にはがっしり何かを掴んでいる。
(ビート板？)
「五十嵐？」
「わっ！！あ」
声をかければなんとあきらは驚きのあまりプールに落ちてしまった。
「お、溺れる……！！」
かぼがぼとパニックになっているあきらに乾はその様子をじっっと眺めていた。
「み、見てないで助けてよ！」
「五十嵐、五十嵐、そのプール足つくぞ」
「へ？？」
落ち着いて見れば水深は自分の身長よりも低く冷静になってみればなんのこたない。
こんな典型的なポンコツをやらかすなんて……とあきらは羞恥心で恥ずかしくなり身を縮ませた。