合宿二日目。
朝から走り込みなど練習をしてもうすぐ昼になる。
部長から休憩の指示が来たのでやっと休めると菊丸は地面に倒れこんだ。
「もーーー、暑いにゃーーー」
「はい、菊丸、水分補給しっかりとってね」
「あ、ありがとーーマネージャー」
あきらからスポーツドリンクを受け取った菊丸はごくごくと飲み干した。
あきらは同様に他の部員にタオルと共に渡していく。
大石、不二に渡し次は……
「はい、乾」
「ああ、ありがとう」
と渡したところ偶然乾の手と触れてしまいあきらは持っていた水筒を落としてしまった。
「ご、ごめんっ」
「いや、気にするな
中身は出てないようだから大丈夫だよ」
「そ、それなら良かった
じゃ、じゃあ他に渡してくるね」
(ああ、もう何で落とすかな……)
こんな分かりやすく動揺するなんて……とあきらはつい顔を赤くしてしまう。
動揺を悟られぬようあきらはくるりと背を向けその他の部員の元へと急いだ。
乾が先ほど触れた手をじっと見つめていることなんて知らずに。