「喉乾いたな……」
夜中喉の渇きにより目が覚めたあきらは食堂に水を飲みにやってきたのだが何と食堂には先客がいた。
乾だ、しかも寝ている。
食堂の机にたくさんノートを並べてデータを纏めていたのだろうがボールペンを握りしめたまま寝落ちしたらしい。
うつらうつら……と乾の頭が揺れている。
「こんな時間まで……」
時計を見るともう一時半近かった。
水を飲みにきたのて水道を捻って水を飲んだのだが少し物音を立てても乾が起きる気配はない。
このまま放っておくのもあれなので乾の肩に手を起きゆさゆさと揺さぶる。
「おーーい、乾、起きて」
「ん…………」
返答後下を向いていた頭が起きて視線があったかと思うと乾はガタン！と大きな音を立てて椅子から転げ落ちてしまった。
「い、乾！？大丈夫……？すごい音したけど…」
「あ、ああ、心配してくれてありがとう」
慌てて駆け寄ると乾はよろよろと起き上がった。
「もうこんな時間か……寝落ちしてたようだな」
「それはもうぐっすりと寝てたよ
てかなんで食堂でやってるの？」
「皆が寝てるとこでやるわけにはいかないからな
集中してると一人でしゃべる癖もあるし」
そういえばよくぶつぶつ言ってる時があったっけ。
なら確かに食堂でやる方が効率がいい。
「いつもこんな時間までやってるの？
睡眠不足にならない？」
「ならない……て言いたいところだけど……
なってる時もあるな」
乾はデータを突き詰めるあまり徹夜してしまった事もあるという。
練習に支障は出ないのだろうか……
とそんな風にみていたからか乾は大丈夫と笑った。
「好きでやってる事だから苦じゃないし
ほんとにヤバイ時は寝るから」
「ほんと？徹夜した時あったんでしょ」
「……まあ、その事は置いといて……
今日はほんとに寝るよ、せっかくの合宿だからね」
なら、よかったとあきらはほっとした。
じゃあ、お休みと声をかけたのだが何故か乾はこちらをじっっっと見ていた。
「？何？」
「あ、いや、何でもない、お休み」
「うん、お休み……」
ノートを片付け部屋に向かった乾にあきらは首を傾げる。

(寝癖でもついてたのかな……)