食べ終わった後順番に歩いて回ろうと話になったのだが、気づくと隣にいた海堂はこつぜんと姿を消していた。
え、いつの間に！？と驚いて慌てて着た道を戻ると海堂は写真部の展示の前に立っていた。
海堂はじっととある写真を見つめ微動だにしない。
そんなに見つめるくらい写真のことが好きなのだろうか……
しかし写真が趣味なら複数の写真を順々に見ると思うが海堂はそうではないらしい。
「海堂」
声をかけると海堂は慌てて写真の前からずれた。
「悪い、勝手に居なくなっちまって」
「あーいやそれはいいんだけど」
あきらは海堂が先ほど見ていた写真を見てその理由が分かった。
「海堂って猫好きなの？？」
「………………！！！ばっ、ち、ちげえ！」
「だって、あんなに見てるし
後ろに立っても全く気づかないし」
野良猫か飼い猫どちらか分からないが壁には一匹の猫が写った写真が貼られている。
海堂は違うと言い張っているが慌てようと照れようから察するの猫が好きなのだろう。

「そ、それは……その綺麗に撮れてるなって」
綺麗に撮れてるというなら他の写真も同じではないかと内心思ったがまぁこういうのは無駄につつくといけない。
猫か、そういえば……とあきらはペラペラとパンフレットをめくった。
「ね、海堂、こんなのあるらしいよ」
映像部が映画等を教室で上映しているらしいがその上映スケジュールの中に猫のドキュメンタリー映画が入っていた。
「…………！猫……」
「行ってみる？」
海堂は顔を背けぶっきらぼうに答えた。
「てめえがどうしても行くつーなら行かなくてもねぇ」
意地でも猫が気になるので行きたいとは言いたくないらしい。
よほど恥ずかしいと見える。
まぁ、強面の海堂が猫好きとは以外だったし気持ちはよく分かったのであきらは譲歩することにした。
「うん、私これ見たいな」
「なら決まりだな」
映像部の展示に向かう海堂の足取りは軽やかだった。


そして映像部へと向かう二人と偶然すれ違った荒井は振り向き様呟いた。
「海堂あいつ女と回ってやがる」