「……はい、すみません……
いえご心配なさらないでください」
それと海堂くんにもごめんなさい、と伝えあきらは電話をきった。
そのまま自室に向かいベッドに倒れこむ。
今日は本当は海堂との週に一度の練習の日なのだが風邪を引いたと嘘をついてしまった。
幸い電話に出たのが海堂の母だったがもし海堂が出たとしたら嘘とバレてしまっただろう。
でも海堂は仮病だと察するかもしれない。
(学校で会ったらどうしよ……
あ、でも今夏休みだったや)
通常よりは出会う回数が少ない夏休み。
普通なら会える回数が少ないと嘆くものだが今のあきらにとっては幸運だった。


「あきら！！まったく夏休みに入ってからゴロゴロ……起きなさい」
「はーーい……」
母に叱られのそのそとベッドから身を起こす。
「今日海堂くんの試合でしょ
関東大会の決勝戦くらい応援に行きなさい
こないだ練習すっぽかしたこと向こうのお宅に言うわよ」
「～～分かったってば……」
はあ……と溜め息をついて身支度を済ませ家を出た。
今からなら試合には間に合うだろう。
けど……
(相手が立海じゃねぇ……)
立海付属大中学校。
かつてあきらも当たりそして負けた相手だ。
全国に名を轟かせるその学校は最早怪物といってもいいだろう。
全国プレイヤーの部長が怪我の為抜けた今、青学が突破出来るとは正直思えなかった。


テニスコートに着くとあきらの目に映ったのは。
海堂の放ったブーメランスネイクが相手選手にそっくり返されてしまったとこだった。