最近海堂の様子が変だ。
変というよりかは何となくだけどいつもと様子が違う気がする。
何かを隠してるというか何か燻っているような感じだ。
本人に何かあった？と聞いてみたが、別に、と返ってくるので単なる思い過ごしかもしれない……と思いつつやっぱり気になる。
これ以上追及しても語ってくれなさそうなのであきらは男テニの乾に会いにいった。
乾貞治。
海堂の一個上の先輩でこないだレギュラーに再昇格したばかりと聞く。
この先輩あらゆるデータをとっていて確か海堂とも話していたはず……
選手のデータをこまめに取る乾先輩なら海堂の事を知ってるんじゃないかと思い訊ねたのだが……
「海堂が何か悩んでるじゃないかって？」
「ええと、何となくなんですがいつもと様子が違うような気がして」
「うーん、俺はそういった印象は見なかったけど」
「そうですか……
すみません、急にこんな事聞いてしまって」
「いや、気にするな」
やはり自分が感じたあれは気のせいなのだろうか。
違和感はまだ拭えないけどあの乾先輩が言うならそうなんだろうと一旦この話は忘れることにした。


その日の夕方乾はとある河原にきていた。
「海堂、例の女テニの子からこんな話があったんだが」
「そうっすか……でどう返答したんですか」
「とりあえず何も知らないと答えといたよ」
「………すみません、助かります」
海堂はブーメランスネイクを完成させるべく河原で乾と特訓をしていた。
ブーメランスネイクはまだ完成していない。
早く完成しなければ……と焦っていた海堂をあきらは知らずのうちに感じっていたようだ。
「どうする？ここで練習してるって言ったほうがいいか？」
「…………」
「まぁ、答えは決まってるか」
「……はい」
海堂はそういうと川につけた手拭いを握りしめた。
「好きな子にカッコ悪いとこ見せられないもんな」
「…………！！！な、何言ってんスか！！！」
恥じらいを隠すように海堂はバシャバシャと手拭いを振り切った。

「それで海堂いつ告白するんだ？」
「乾先輩！！！！」