「海堂いっつも練習する時バンダナつけてるけど、どこで買ってるの？」
「百貨店でだが、それがどうした」
「えっとな、何となく気になっただけ」
誤魔化しように海堂は眉を上げた。


あきらは週末百貨店に来ていた。
海堂が身につけているのと同じバンダナを見つけたのだが、如何せん値段が高い。
どうやら海堂のバンダナはブランド物のようだ。
とても中学生が出せる代物ではないとあきらは百貨店から退散した。
何故百貨店に来てるかというと。
海堂母から近々海堂の誕生日が来ると聞いたからである。
普段彼が身に付けているバンダナをプレゼントしようと思ったのだが……
(あんなに高いなんて知らなかった……どうしよ)
さりげなく欲しい物はあるかと本人に聞くとトレーニング用器具と返ってくるし。
それもあきらにどうこう出来るものではない。
(それかグリップ？
でもそれも個人によって好み分かれるからなあ)
スポーツ専門店で自分用も兼ねて見て回りあきらはとあるブースにたどり着いた。
(複数枚は持ってるだろうけど……
これなら大丈夫かな？？)


5月11日、あきらは海堂宅を訪れていた。
海堂が出てくるとあきらは持っていたプレゼントを手渡した。
「誕生日おめでとう！海堂！」
「こないだ妙に聞いてきたなとは思ってたが
……ありがとう」
やっぱり不自然だったかとあきらは苦笑いする。
開けていいかと言われたので頷くと海堂はプレゼントを開けた。
「スポーツタオルか」
「うん、もう何枚か持ってるだろうけど……」
「た、タオルは余分にあってもこ、困らねぇから大丈夫だ」
海堂は普段25kmは走ると聞いていたのでタオルだったらいいかなと思いきって買ってきたのがだが思いの外喜んでくれたようでほっとした。
ちなみに海堂が好きという(海堂母情報)色の青色を選んだ。
じゃあ、と帰ろうとしたあきらを海堂は引き留めた。
「五十嵐、本当に……ありがとうな
大事に使わせて貰う」
「……！うん」


後日乾は海堂の使っているタオルが新しいものに変わっている事に気づいた。。
(おや？あんなタオル海堂持ってたかな
しかしあのタオル……
あれは確かごく普通のスポーツ専門店で売られていたタオルだ
海堂はブランド物をよく使うイメージなのだが、そうすると……)
乾は、ははーーんとその正体に気づいた。
(さては誰かからのプレゼントだな？)
親からならば通常通りブランド物になるはず。
親以外となると交友の狭い海堂ならば自ずと答えは出ているようなものだ。
(海堂もすみに置けないな)
乾はニヤリと笑いノートにその情報を書き込んだ。