あきらは留三郎とトランプや、人生ゲームなど、なるべく時代を感じさせない物で遊んでいるとあっとゆうまにお昼前になった。

「そろそろ、お昼ご飯にしようか」
「うん、あーお腹空いたー」
留三郎はペタンと床に座り込んだ。
「じゃあ、お姉さん作ってくるね
留三郎くんは待ってていいからね」

あきらは長い黒髪をポニーテールにしてキッチンでオムライスを作りはじめた。

(ここで調理していたという事実を隠滅するためになるべく気づかれないようにしなきゃ)
あまり時間がないので、チキンライスは自宅にあった冷凍を採用する事にした。
ご飯を解凍している間に卵の準備をする。
ボウルに卵を割って人数分を入れてかき混ぜたら塩を少々振って味を調整。
解凍がまだなのでサラダの準備。
洗う手間を出来るだけ省きたいのでレタスを
ちぎり、カニカマを散らすだけの簡単なやつ。
皿の準備をしてる間にチキンライスが温まったので温めたフライパンにバターを入れ、バターが焦げないように温度を高めたら卵を一気に
入れて菜箸で勢いよくかき混ぜる。
卵がある程度固まったら楕円形の形になるようにフライ返しで両側を折ってなおかつ重なるようにしたら上下をひっくり返す。
「後は……皿に盛ったチキンライスの上に……
って留三郎！？」
料理で気付かなかったが、いつの間にか留三郎が近くに来てて様子を見てたらしい。
「すっげぇ、いい匂いしてからつい……」
留三郎は頬をかき、申し訳なさそうにした。
「料理中は危ないから……、うーん、
まぁ、最後の方だし、次からは気を付けてね」
「分かった！、で、チキンライス乗せるんだろ？」
「あ、忘れてた」
あきらはオムレツをチキンライスの上に乗せて、包丁を取り出した。
「包丁？何に使うの？」
「まぁ、見てて」
あきらはオムレツの真ん中に包丁で切れ目を入れて、左右に開いた。
「うわあ！すげえ、ふわっとしてる！」
いわゆるタンポポオムライスである。

あきらは自分の分も作り、テーブルに座った。
「頂きます」
「いただきまーす！」
留三郎はオムライスを食べるとたちまち目を輝かせて笑顔になった。
「美味しい！！！」
「それは良かった、頑張って作ったかいがあったよ」
「お姉さんは、料理上手なんだね」
「まぁ……両親が家を空けることが多いからね……」
「あ、ごめん……」
留三郎は謝ったのであきらは大して気にしていないと言った。
「ほら、冷めちゃうよ」
あきらは話題を逸らさせた。