四月下旬、そろそろ桜の季節も終わりだ。

暖かな日差しを感じ眠くなってきてが、
ここは校庭。

寝る訳にはいかないと欠伸をして何とか耐え抜く。

「なあ、伊作、何分たった？」

「まだ10分も経ってないよ……
相変わらず長いねぇ……学園長の話」

留三郎や伊作だけではない。

真面目な文次郎は置いといてほぼ大川学園の生徒がこのながったらしい
全校集会を恨んでいた。

いや、もう先生方も早く終わらないかなともとれる顔をしているからほぼ全員ではないだろうか。

学園長の話など誰もが聞いていなかったが、この日ばかりは真面目に聞いておくべきと誰しも思った。

「さっきから……真面目に聞かんかあ～～！！」

態度が悪いと学園長が怒る。

(あ、まずい)

あきらは学園長の悪癖を思い出した。

「そうじゃ！突然の思いつきじゃあ～～！！！」

ああああ～～～と生徒、先生が頭を抱えた。

またか、と。

「最近の若もんは弛んどる！！
よって！！バレーボール大会開いちゃう！！」

用はスポーツ大会なのだが、ここでのバレーボールは意味を変える。

「バレーボール、だと……？」

仙蔵は隣のクラスを見た。

「バレーボール！！！
イケイケどんどんでやるぞ！！」

小平太は爛々と目を輝かせているが。

殺るぞ、の間違いじゃないだろうか。

せめてあの暴君とだけは当たらないよう仙蔵は祈った。

いや、大川学園内の生徒が暴走機関車こと七松小平太とだけは当たらないよう思っているに違いない。



「はあ……授業やらテストの準備もせにゃいかんのに……あの学園長は……」

教員の山田先生や土井先生達は急ピッチでバレーボール大会の内容を決めねばならない。

「大会の為に１日費やされますからね……
うう……授業が遅れる…………」

土井はまた腹がキリキリ痛むのを感じ常備している胃薬を飲んだ。

「とりあえず、クラス対抗戦にして
ちゃっちゃと選手の用紙作成するかあ……」

山田はかたかたとパソコンを操作して各クラスごとに作成した。

これを終わったあともまだ仕事が残っている。

「山田先生、そっちの方は簡単ですし……
小松田くんに頼んだらどうでしょうか？」

小松田とは大川学園に勤めている事務員なのだが……。

ミスが多いのだ。

「しかしなあ……」

「でも、これは男子と女子を分けるだけですし……小松田くんでも大丈夫じゃないでしょうか」

そうだなあ……と返事をして山田先生は小松田に仕事の振り分けをする事にした。