あきらが晩御飯の準備をしていた所、チャイムがなった。

あきらがドアを開けるとそこに立っていたのは後輩である作兵衛だった。

「ごめんね、おつかいなんか頼んじゃって」

あきらは袋を受けとり、お礼を言うと作兵衛は手をぶんぶん振った。

「い、いえ！これくらいの事はさせてください！！よ、用具委員ですから！」

あまり用具委員と関係してるとは思わないが、責任感が強い作兵衛はとりあえず何かしなくてはと思い手伝ってくれたのだろうとあきらは
追及しなかった。

「服とか一式買ってきたので、これで大丈夫だと思います
食満先輩は今何を？」

「今はとりあえず、テレビ見てもらってる
なるべく早く戻るといいんだけど……
伊作と連絡つかないんだよね」

あきらはため息をついた。

「あ、そうだ、作兵衛
晩御飯ってもう食べた？」

急に聞かれた作兵衛はきょとんとしつついいえと答えた。

「じゃあ、今晩御飯作ってるとこなんだけど……
食べてく？？」


「………………………………ええー！？！？！？」

予想もしてなかったあきらの言葉に作兵衛は顔を真っ赤にして驚いた。

「あーーー……
やっぱ先輩の家で食べるのは緊張するか、ごめんね作兵衛」

あきらは申し訳なさそうに苦笑して謝った。

「い、いえ！！その……
別に嫌とかじゃないです！！
大丈夫です！！むしろうれしいです！」


あきらを密かに慕っている作兵衛にとって一緒にご飯をしかも
あきらの家で食べれるのだ、
これ以上喜ばしい事などないだろう。

(でも、今先輩の家にはちっちゃくなった
食満先輩もいるんだよな……)

小学生のときの留三郎と自分は面識などあるはずがなくいきなり出ていったら困惑するのではないだろうか……？

と考えた作兵衛はあきらの誘いを断った。

「その……お誘いはほんとにうれしいのですが……
今俺が行ったら食満先輩がびっくりするんじゃないかと思って……」

「作兵衛……
確かに軽率だったね、ごめん」

「そんな気になさらなくて大丈夫です
じゃあ、俺はこれで」

作兵衛はあきらにお辞儀して、立ち去った。


(俺のバカバカバカ！！！
ああ……あきら先輩の手料理食べたかったなあ……)