「さて、食べ終わったことだし忍術学園帰るか……」
と言おうとしたところで下級生達が寝ていることに気づいた留三郎は声の大きさを慌てて抑えた。
あきらと顔を見合せる。
「寝てるね、皆」
「起こすのも何だし俺らもちょっと昼寝するか」


「……いかん、もうこんな時間か」
予定してよりも少し長めに休憩をとってしまったようだ。
さっさと周りを起こして帰ろうと思った留三郎は自分の肩に誰かが寄りかかっているのに気付く。
(うぉ、あきら！？！？)
あきらはまだ夢の中にいるようだ。
留三郎はごくりと生唾を飲み込みあきらの顔を凝視する。
あと少し近づけば触れてしまえそうな距離で。
好きな相手が至近距離にいたら思春期の男子が考えるような事は一つ。
(でも恋人でもねぇのにやったら絶対怒られるよな……)
考えられる事態を予想し留三郎はやっとこさ顔を真正面に向けた。
でも隣から聞こえる寝息が気になってつい目で追ってしまう。
触れようか触れまいか迷っていた時しんべえが突然大きな寝言を言った。
それがあまりにも大きかった為かあきらははっと身を起こして目を覚ました。
「今の、何？」
「あーしんべえが『もう食べれない』だってよ」
「夢の中でも食べてるの？しんべえ」
あきらはふふ、と笑った。
「さてと皆起こさなきゃな」
「あのさ、話変わるんだけど
もしかして私……寄りかかって寝ちゃってた？」
「おう……まぁ、気にすんな」
「うん……」
気にするなと言ったもののお互いに気恥ずかしさが残った二人だった。