第一章
夢小説設定
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「ない……ない……」
静まり返った食堂をなにやらごそごそと探していた女がいた。
棚や床など手当たり次第探しては目当ての物がないと分かり溜め息をついたところ、背後から何者かに襲いかかられた。
「ど、泥棒~~~!!!」
慌てて物色していた女は慌てて振り返り釈明にかかった。
「ぼ、僕です!!!
善法寺伊作です!!!」
「え??善法寺くん??」
着ている忍服はくのたまの物だが、顔つきや雰囲気はまさに善法寺伊作を彷彿とさせた。
「言われてみれば……」
「ええと……食堂のおばちゃん……で合ってますか?」
伊作がそう聞くと相手はええと答えた。
いつもの割烹着を着ていたから判別出来たが、以前の姿とはだいぶ異なっていた。
忍術学園全体に広がった性別反転は食堂のおばちゃんにも影響がでているようで、今対峙している人物はどう見てもおっさんだ。
言い換えるなら食堂のおじちゃんになるのだろうが、あえて伊作はいつもの呼び方で言った。
「性別が変わってるならおじちゃんになるのだろうけど……
悪いけど善法寺……くん」
「ええ、はい
食堂のおばちゃんは食堂のおばちゃんですから
僕の事も善法寺くん、で呼んで貰えると助かります」
そう言うとおばちゃんは安心したらしくいつもの暖かい笑顔に戻った。
「と、そうだ、善法寺くん
何かを探していたようだけど……」
伊作は言い出すか悩んだのち答えた。
「それなんですけど、最近食堂に落とし物あったりしませんでしたか??」
あれは……そうねぇ、数日前の事だったかしら……と食堂のおばちゃん(男)は語りだした。
数日前の事。
食堂のおばちゃんは事務員の小松田に呼び止められた。
「食堂のおばちゃん
机にこんなのがあったんですがー」
「あら、本当
これは……茶葉かしら」
こんなところにあるなんて、誰かの忘れ物かしらねえ……と首を捻る
おばちゃんに小松田はこう言った。
「きっと日頃のお礼ですよ」
「そうかしら」
「そうですよ!!」
にまにまと笑顔で答えた小松田におばちゃんはそうね、と返した。
「じゃあ、早速この茶葉を使おうかしら」
「いい匂いですね、この量だと数人分くらいですね」
「そうねぇ……そうだ
この茶葉を淹れたお茶を使ってお菓子を作るなんてどう?」
それなら自分たちだけではなく忍術学園全員に配れるわ、とおばちゃんは頷いた。
こうして、おばちゃんが作ったお菓子は忍術学園の全員に配られた……これが数日間の出来事である。
「結局この茶葉がどの生徒から贈られたのか分からないのよねぇ、善法寺くん知らない?」
「……いえ、知らないですね」
伊作はそしらぬ顔で否定した。
その後保健室に戻った伊作は一人自分が調合した記録を見返していた。
(確かこの日はこの薬の調合をやっていたはず……なるほど)
うんうん、と頷き何故こうなったのか説明がついた。
先日から忍術学園を騒がせている性転換事件……
原因はやはり善法寺伊作のせいである。
伊作が調合した薬を混ぜた茶葉をたまたま食堂に忘れ……
その茶葉が偶然食堂のおばちゃんの手に渡り、その茶葉を使ったお菓子が忍術学園全体に配られたので結果的に全員に薬の効果が見られた……というのが一件の流れである。
(この薬の効能時間は分からないけど何倍にも薄まってるからあと数日経てば元に戻るかな??)
問題はその事を皆に伝えるか……だが。
伊作はあえて黙っていることにした。
(今さら僕のせいです、なーんて言ったらどうなるか)
絶対怒るに違いない、六年の同級生あたりは激怒するだろうがまだましだ。
先生方からも説教は受けるだろうがそれは横に流せばいいとして。
(問題はくのたまだよね……)
あのくのたまに自分のせいだとバレたらきっと命はない。
いや、命を落とすどころか更に恐ろしい事をされそうだと思うと寒気がした伊作だった。
静まり返った食堂をなにやらごそごそと探していた女がいた。
棚や床など手当たり次第探しては目当ての物がないと分かり溜め息をついたところ、背後から何者かに襲いかかられた。
「ど、泥棒~~~!!!」
慌てて物色していた女は慌てて振り返り釈明にかかった。
「ぼ、僕です!!!
善法寺伊作です!!!」
「え??善法寺くん??」
着ている忍服はくのたまの物だが、顔つきや雰囲気はまさに善法寺伊作を彷彿とさせた。
「言われてみれば……」
「ええと……食堂のおばちゃん……で合ってますか?」
伊作がそう聞くと相手はええと答えた。
いつもの割烹着を着ていたから判別出来たが、以前の姿とはだいぶ異なっていた。
忍術学園全体に広がった性別反転は食堂のおばちゃんにも影響がでているようで、今対峙している人物はどう見てもおっさんだ。
言い換えるなら食堂のおじちゃんになるのだろうが、あえて伊作はいつもの呼び方で言った。
「性別が変わってるならおじちゃんになるのだろうけど……
悪いけど善法寺……くん」
「ええ、はい
食堂のおばちゃんは食堂のおばちゃんですから
僕の事も善法寺くん、で呼んで貰えると助かります」
そう言うとおばちゃんは安心したらしくいつもの暖かい笑顔に戻った。
「と、そうだ、善法寺くん
何かを探していたようだけど……」
伊作は言い出すか悩んだのち答えた。
「それなんですけど、最近食堂に落とし物あったりしませんでしたか??」
あれは……そうねぇ、数日前の事だったかしら……と食堂のおばちゃん(男)は語りだした。
数日前の事。
食堂のおばちゃんは事務員の小松田に呼び止められた。
「食堂のおばちゃん
机にこんなのがあったんですがー」
「あら、本当
これは……茶葉かしら」
こんなところにあるなんて、誰かの忘れ物かしらねえ……と首を捻る
おばちゃんに小松田はこう言った。
「きっと日頃のお礼ですよ」
「そうかしら」
「そうですよ!!」
にまにまと笑顔で答えた小松田におばちゃんはそうね、と返した。
「じゃあ、早速この茶葉を使おうかしら」
「いい匂いですね、この量だと数人分くらいですね」
「そうねぇ……そうだ
この茶葉を淹れたお茶を使ってお菓子を作るなんてどう?」
それなら自分たちだけではなく忍術学園全員に配れるわ、とおばちゃんは頷いた。
こうして、おばちゃんが作ったお菓子は忍術学園の全員に配られた……これが数日間の出来事である。
「結局この茶葉がどの生徒から贈られたのか分からないのよねぇ、善法寺くん知らない?」
「……いえ、知らないですね」
伊作はそしらぬ顔で否定した。
その後保健室に戻った伊作は一人自分が調合した記録を見返していた。
(確かこの日はこの薬の調合をやっていたはず……なるほど)
うんうん、と頷き何故こうなったのか説明がついた。
先日から忍術学園を騒がせている性転換事件……
原因はやはり善法寺伊作のせいである。
伊作が調合した薬を混ぜた茶葉をたまたま食堂に忘れ……
その茶葉が偶然食堂のおばちゃんの手に渡り、その茶葉を使ったお菓子が忍術学園全体に配られたので結果的に全員に薬の効果が見られた……というのが一件の流れである。
(この薬の効能時間は分からないけど何倍にも薄まってるからあと数日経てば元に戻るかな??)
問題はその事を皆に伝えるか……だが。
伊作はあえて黙っていることにした。
(今さら僕のせいです、なーんて言ったらどうなるか)
絶対怒るに違いない、六年の同級生あたりは激怒するだろうがまだましだ。
先生方からも説教は受けるだろうがそれは横に流せばいいとして。
(問題はくのたまだよね……)
あのくのたまに自分のせいだとバレたらきっと命はない。
いや、命を落とすどころか更に恐ろしい事をされそうだと思うと寒気がした伊作だった。