第一章
夢小説設定
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はっはっ、と浅く呼吸をして夜道を走り敵がついてこないことに安堵する。
しかし、切られた箇所は思ったよりも深いらしく血が滲みだしどんどん痛みが増してくる。
一刻も早く忍術学園に戻らねばならないのに、足が段々言う事を聞かなくなってきて、ついに膝から崩れてしまった。
「ぐっ!」
どさりと土の上に倒れこみ、留三郎は薄れいく意識の中あきらの姿が浮かんだ。
こんな所で倒れるなんて、しかも追手もいる。
このままあいつと会えぬまま俺は死ぬのだろうか。
嫌だと思ったが、意識はそこで途切れてしまった。
次に目を覚ますと天井が視界に入った。
「留三郎!?よかった、目覚ましたんだ…」
ほっと安堵した人物は同級生であるあきらだった。
「!?あきらで、ぐっ!」
無理やり体を起こそうとしたが、あちこち悲鳴を上げていて起きれそうにない。
「起きなくていいから!全身傷ついてるから動かないで」
あきらに睨まれしぶしぶ横たわる。
それにしても、ここはどこだ?
忍術学園ではないことは分かるが…。
「ここ?偶然発見した空き小屋だよ、長い事住んでなさそうだからちょっと廃れてるけど
…ほんとにびっくりしたんだからね」
学園長のお使いで出かけていなかったら、と思うとぞっとする。
留三郎を発見した時なんかはもう心臓が止まりそうだった。
空き小屋をたまたま見つけてそこに運び応急処置をした。
とはいえ…あきらは伊作のように医療が得意なわけではない。
最低限やれる事はやったが、やはり専門に診せないといけないだろう。
「留三郎は、ここで休んでて、伊作呼んでくる」
小屋から出ようとするあきらの腕を留三郎が掴んだ。
「駄目だ…!学園に文書渡さなきゃいけないんだよ!」
留三郎は痛む体を無理やり動かそうとするのを慌ててあきらが止めようと抱きついた。
「お、お前、だ、抱きつくって!!」
思わず留三郎は頬を赤くしたが、あきらが震えている事に気づいた。
「……!!馬鹿!!そんな体で戦ったら傷口が開くに決まってるでしょ!!
そんなことしたら…!留三郎が……っ」
こらえようとしていた涙が溢れてくる。
「あきら…気持ちは分かるんだが、文書を持ってりゃ追手が来る事には変わりねえんだ」
こんな形で抱きしめる事になるなんてな、と思いながらそっとあきらを抱きしめる。
「あきらを傷つかせるわけにはいかない、このまま帰ってくれ、分かってくれるか?」
留三郎はあきらの頭を名残惜しそうに撫で、説得しようとした。
あきらは静かに体を震わせている。
「な?このまま忍術学園に戻ってくれ」
「………嫌」
何とあきらは留三郎の要求を跳ね除けた。
「は!?何言ってんだ!!ほんと融通きかねえな!!」
せっかく傷つけまいとしていたのに…と留三郎は焦った。
こうしている間にも追手が近づいているかもしれない。
万が一一緒にいる所を見られればあきらまで追われる可能性がある。
するとあきらは留三郎の服の下に手を入れごそごそ探りだした。
「ちょっ、こ、こんなところで…、まずいだろ!
そ、そういうのはだな…もうちょっと…雰囲気がある所でした方がいいんじゃねーの!?
ま、お、俺は別に嫌じゃないけどな!」
留三郎はいかがわしい事に発展するのか!?と焦ったが、あきらは返事せずまだごそごそしている。
「あった」
あきらはするりと留三郎の懐から文書を抜き取った。
「これだよね?例の文章」
「あっ、いつの間に!!」
(そ、そっちかーー!)
あきらと夜枷になるのではと少し期待していた
留三郎はがっくり肩を落とす。
何で肩落としてるのか、とあきらは不思議に思ったがあまり時間はないので話を進めた。
「ようは、これを持ってるやつが追われる
んだよね?
なら……私が持ってればいい」
あきらは懐に文書を入れた。
「な、何してんだ!!
それに、これは俺の任務で……!」
「死んだら元も子もないでしょ!!」
ピシャリと怒られ留三郎は思わず黙った。
「とりあえず、私が敵を引き付けるから留三郎はここで休んでて
忍術学園に着いたら伊作を呼んでくるから」
身を翻しあきらは静かに荒れ小屋から外に出た。
そして、暗闇をじっと監察し、懐にしまってある文書を僅かに見せた。
一瞬暗闇の中動揺する音をあきらは聞き逃さなかった。
(かかったな)
再度しまって、闇夜をかける。
様子を伺っていた追っ手が全員着いてくるのを察知してあきらは口に弧を描く。
「さあ、楽しい奪い取り合戦の始まりだ」
しかし、切られた箇所は思ったよりも深いらしく血が滲みだしどんどん痛みが増してくる。
一刻も早く忍術学園に戻らねばならないのに、足が段々言う事を聞かなくなってきて、ついに膝から崩れてしまった。
「ぐっ!」
どさりと土の上に倒れこみ、留三郎は薄れいく意識の中あきらの姿が浮かんだ。
こんな所で倒れるなんて、しかも追手もいる。
このままあいつと会えぬまま俺は死ぬのだろうか。
嫌だと思ったが、意識はそこで途切れてしまった。
次に目を覚ますと天井が視界に入った。
「留三郎!?よかった、目覚ましたんだ…」
ほっと安堵した人物は同級生であるあきらだった。
「!?あきらで、ぐっ!」
無理やり体を起こそうとしたが、あちこち悲鳴を上げていて起きれそうにない。
「起きなくていいから!全身傷ついてるから動かないで」
あきらに睨まれしぶしぶ横たわる。
それにしても、ここはどこだ?
忍術学園ではないことは分かるが…。
「ここ?偶然発見した空き小屋だよ、長い事住んでなさそうだからちょっと廃れてるけど
…ほんとにびっくりしたんだからね」
学園長のお使いで出かけていなかったら、と思うとぞっとする。
留三郎を発見した時なんかはもう心臓が止まりそうだった。
空き小屋をたまたま見つけてそこに運び応急処置をした。
とはいえ…あきらは伊作のように医療が得意なわけではない。
最低限やれる事はやったが、やはり専門に診せないといけないだろう。
「留三郎は、ここで休んでて、伊作呼んでくる」
小屋から出ようとするあきらの腕を留三郎が掴んだ。
「駄目だ…!学園に文書渡さなきゃいけないんだよ!」
留三郎は痛む体を無理やり動かそうとするのを慌ててあきらが止めようと抱きついた。
「お、お前、だ、抱きつくって!!」
思わず留三郎は頬を赤くしたが、あきらが震えている事に気づいた。
「……!!馬鹿!!そんな体で戦ったら傷口が開くに決まってるでしょ!!
そんなことしたら…!留三郎が……っ」
こらえようとしていた涙が溢れてくる。
「あきら…気持ちは分かるんだが、文書を持ってりゃ追手が来る事には変わりねえんだ」
こんな形で抱きしめる事になるなんてな、と思いながらそっとあきらを抱きしめる。
「あきらを傷つかせるわけにはいかない、このまま帰ってくれ、分かってくれるか?」
留三郎はあきらの頭を名残惜しそうに撫で、説得しようとした。
あきらは静かに体を震わせている。
「な?このまま忍術学園に戻ってくれ」
「………嫌」
何とあきらは留三郎の要求を跳ね除けた。
「は!?何言ってんだ!!ほんと融通きかねえな!!」
せっかく傷つけまいとしていたのに…と留三郎は焦った。
こうしている間にも追手が近づいているかもしれない。
万が一一緒にいる所を見られればあきらまで追われる可能性がある。
するとあきらは留三郎の服の下に手を入れごそごそ探りだした。
「ちょっ、こ、こんなところで…、まずいだろ!
そ、そういうのはだな…もうちょっと…雰囲気がある所でした方がいいんじゃねーの!?
ま、お、俺は別に嫌じゃないけどな!」
留三郎はいかがわしい事に発展するのか!?と焦ったが、あきらは返事せずまだごそごそしている。
「あった」
あきらはするりと留三郎の懐から文書を抜き取った。
「これだよね?例の文章」
「あっ、いつの間に!!」
(そ、そっちかーー!)
あきらと夜枷になるのではと少し期待していた
留三郎はがっくり肩を落とす。
何で肩落としてるのか、とあきらは不思議に思ったがあまり時間はないので話を進めた。
「ようは、これを持ってるやつが追われる
んだよね?
なら……私が持ってればいい」
あきらは懐に文書を入れた。
「な、何してんだ!!
それに、これは俺の任務で……!」
「死んだら元も子もないでしょ!!」
ピシャリと怒られ留三郎は思わず黙った。
「とりあえず、私が敵を引き付けるから留三郎はここで休んでて
忍術学園に着いたら伊作を呼んでくるから」
身を翻しあきらは静かに荒れ小屋から外に出た。
そして、暗闇をじっと監察し、懐にしまってある文書を僅かに見せた。
一瞬暗闇の中動揺する音をあきらは聞き逃さなかった。
(かかったな)
再度しまって、闇夜をかける。
様子を伺っていた追っ手が全員着いてくるのを察知してあきらは口に弧を描く。
「さあ、楽しい奪い取り合戦の始まりだ」