「…うるさい」

保健室で伊作に手当てされていたあきらは鬱陶しそうに呟いた。

原因は同級生の食満留三郎の奇声である。

武器の鉄双節棍の練習になるととにかくうるさい。

しかもボーズまで試行錯誤しててとにかく後輩からカッコいいと言われたいようだ。


「まあまあ、あきらちゃん、留三郎だって必死に練習してるんだし…」

伊作は級友を庇う。普段不運や何やらで迷惑をかけているから何かしら思う所はあるのだろう。

「それはそうなんだけど…」

単純にうるさい、しかもことあるごとにポーズがカッコいいか確認してくれとか頼まれるし。


ふうとあきらはため息をつく。

(でも好きなんだよなあ……)


奇声はともかく練習している姿は好きだ。



すると留三郎の奇声が段々保健室の方へと近づいてきた。

「ほわちゃあああああ！！！！」

何、あいつ歩きながら練習してんの？

すると、保健室の戸が開き留三郎が入ってきた。

「伊作ー、おっあきらもいたのか
ちょうどいいから聞いてくれよ」

というとまた叫びだした。

「あーちゃちゃちゃちゃ！！！」

「ちょ、留三郎何してるの！？」

あきらと伊作はびっくりした。

「あ？何って…鉄双節棍の練習の時の気合いれる声の練習だよ」

ちょうどいい声出せねえと練習に身が入らねえからなと言ってまた始めた。

(じゃあさっき聞こえたのはただ単に奇声だけ叫んでたのか…)


「…留三郎が静かになるような薬でも作ろうかな」

「いいんじゃない？」

二人が話しているのに気づいていないのか、今日も忍術学園には食満留三郎の奇声が響いた。