「小平太……流石に触っちゃ駄目でしょ……」
伊作は引いていたが、何故か仙蔵は感心していた。


「そんな事しておいてよく生きてるな……お前……
くのたまなら即殺しそうだが……」

確かにそうだ、くのたまを怒らすと大変怖いのである。

「うーん、一回死にかけたがな！！
いやー危なかった危なかった」

流石ゴリラ、生存力は強いのか。


「次は危ないじゃすまないよー？」
伊作が小平太に注意する。

「分かったってー
仙蔵は何か原因思い付く？」

「駄目だな、さっぱり思い付かん……というか、嫌われる要素などあるか……？？
割りと顔は整っている方だし、性格も問題ないと思うのだが」

仙蔵は全く思い付かないらしく首を傾げている。
というか、自分の容姿をやっためたら誉める奴は割りと敬遠されがち……だと思うが、とりあえず置いとこう。

「そこなんだよね、顔が更けてる文次郎と長次ならともかく
仙蔵って割りとウケいいと思う
顔だけならね」

伊作に更けてると言われた文次郎と長次は軽くショックを受けた。

「更けてって……まぁ、事実そうなんだが……
仙蔵、お前2年くらい前は告白されていなかったか？」

「そうだな、あの頃はよく告白されていたし、時々デートしにも行っていたな」

デートと聞いて文次郎が三禁だなんだと反応したが、あきらが遮った。

「前同級生が後輩に立花は止めとけって忠告してたんだけど、もしかしてくのたまになんか言った？」

そういえば……と仙蔵は当時の様子を振り返った。

「あれは……そうだな、確か4年の頃にくのたまに告白された時だったか……」

当時仙蔵に想いを寄せていたくのたまがおり、一緒に茶屋に行って忍術学園に帰る際に告白されたのを仙蔵は何故か断った。

「えっ、告白断ったの！？！？」

思わず伊作は前のめりになり、告白された経験のない小平太は上の空である。

「ん？
ああ、その当時は特にくのたまから嫌われてるわけでもなかったしな
まぁ、そのくのたまがタイプではなかったというのもあるんだが」

仙蔵が今現在くのたまからの評価が低いのは
告白の後の行動である。

仙蔵は告白を断る際、最初は当たり障りのない回答をしていた。

しかし、作法委員会に所属している事が災いし、そのくのたまの仕草や作法の訂正、更にはくのたまのメイクの指摘をしだし、いつのまにか話が説教に移り変わり、小一時間ほどずっと説教をしていたのである。


実際、その指摘は事実であり、仙蔵の言っている事は間違いではないのだが、言い方がキツいのもあり、最終的にくのたまを泣かせる事となる。

そして、そのくのたまが先輩に泣きついて「立花はヤバいやつ」と認識されたのだ。


「事実をそのまま言っただけなのに、後日くのたまに制裁を食らうわ、
とんだ災難だ」

やれやれと言う仙蔵に伊作達は何となく理由を察した。

「まあ……あれだね………ほら仙蔵って自分にも他人にも厳しそうだし……
そこらへんが勘違いされるのかな……？なんて」

その他にもしんべえ、喜三太所謂厳禁組で突然キレて焙烙火矢を投げる事も一因なのだが、本人達は知るよしもなかった。