「そこの現代人二人ちょっとこっちこい」
あきらとゲンは自分を指差し私/俺？とはてなマークを浮かべている。
「お前らの他にどこに現代人がいるんだよ
多少なりとも村の人間より化学わかんだろこっち手伝え」
「そうかな～～？？」
「無理だって……」
そんな急に応援なんて頼まれても……
「高校の化学の授業の記憶今すぐ、思い出せ
ないよりかはマシだ」
「え～～～？？？いや～～ちょっと記憶の彼方いっちゃって分かんないなあ～～」
しかし千空はきにせず説明を続ける。
千空なりに(本当に分かりやすく言っているらしい)手順をかいつまんで説明したつもりだったのがーーーその長い工程を聞いただけであきらの意識は遠くなった。
呪文か何かか？
一方ゲンははっと目を見開いている。
もしかしてその意味を理解したのかー？と思いきややはりあきらと同じレベルだった。
そして千空は挙げ句の果てにクロムの方がマシか……と言う。
ちょっと何言っているか分かんない。
無理やり連れてきてそういうのは筋違いじゃないだろうか、いや実際本当にわからないからしょうがないけど。

「ねぇあきらちゃん今の説明分かった？」
「さっぱり」
こそこそとゲンと話していると作業に取りかかった千空が厳しく睨んできた。
「おい、そこの二人話してねぇで手動かせ」
む、ちょっと話してただけなのに手厳しい。
とはいえ何もしないのもしょうにあわないので千空の指示に従った。

一夜明けた。

「おーーし、できたぞ、タングステン歯磨き粉！」
慣れない科学作業をして疲労困憊のあきらとゲンはひとまず置いといてーまずはもう１つの加熱チームの様子を見に行くと。
「なんだこの欲張り全部セット！？」
クロムが満足そうに完成……と言っているが正直ごちゃごちゃしててよく分からない。
クロム曰く全部ぶちこめと言ったから、太陽光、わたあめ機、しまいには電気も要いたらしいが……
こう全部詰め込めばいいってものじゃあない。
……が、全員が協力してるという意味ではまぁ案外いいかもしれない。
そしていよいよタングステンフィラメント完成の仕上げといこう。
石神村全員がこのとき初めて一致団結した。
作り上げたものはわずか数cmの小さな結晶だけれどーー
絆は確かに育まれ思いは１つとなった。


こうしてケータイの心臓部のタングステンフィラメントが完成した！！