「千空が帰ってきたぞ！！」
木に登ったコハクが下りてくる。
千空は目隠しをされた状態でマグマに担がれていた。
千空が連れ去られたと勘違いしたクロムが騒ぐのでクロムには本当の目的を話して大人しくさせる。
そのまま科学倉庫に直行し目的の望遠鏡の前へと連れてくるとゲンがお帰りの言葉をかける。
なんだこりゃと千空は突然のことで状況があまり掴めていないようだ。
コハクは助けを求めても無駄、村の全員もグルだと言う。
サプライズとはいえまぁ悪どい演技をしている。
ならこっちもそれに乗るべきだろう。
「あ、ちなみに私もグルだから」
あきらも一緒にいるとは思ってなかったのか千空は苦虫を踏み潰したような表情になった。
言い方がそれらしい事を言ったからか千空は罠にハマらされたと勘違いしている。
司帝国に差し出す……なんてこの村の人々はそんな事思ってないのに。
千空はそういうところ鈍いというかわかってないなあ。
とはいえこのまま誤解を解かないのもあれなのでそろそろ種明かしといこう。
千空の目隠しをとると千空は目を見開く。
目の前に映るのは望遠鏡と新しく改築された科学倉庫……もとい天文台だ。
千空は目を細めて笑顔になるかと思いきやその望遠鏡が敵を発見する時に使えるなと言う。
いや確かに誰しもコハクのようによく見えるわけではないから便利だけども……！
予想してた言葉とは違うがまぁ千空は素直に喜ぶタイプではないし……

「じゃあ皆揃ったことだしあれ、やらないとね」
「うむ、練習した……あれ、だな！」
千空はあれ？と首を傾げる。
あきらは周囲と目をあわせ、せーの、タイミングを合わせた。
現代に暮らす日本人なら誰しもが歌ったことがあるだろう歌を歌う。
即興だしあきらも歌は得意ではないしとても上手とはいえない合唱だったがその歌声は石神村に響き渡った。

「千空、誕生日おめでとう！」