季節は冬になった頃石神村の村人たちはまたもや集められていた。
場所は石神村の近くのとある巨木だ。
「あ」
あきらはふと視界に白い何かがちらつくのに気づいた。
雪だ。
これだけ寒いのも納得がいく。
雪が降ってきた、とクロムはヤベーと焦ったが何故か千空はできれば今日がいいと言う。
周囲が疑問を抱く中千空はスイッチをカチリと入れた。

すると突如巨木が光りだした。
あまりの眩しさにあきらは反射的に目を手で覆いつつも驚いた。
電球を作っていたとは聞いていたがまさか木の枝にくくりつけているとは露にも思わなかった。
冬空に爛々と輝く木を見て村人達はみとれている。
「イルミネーション……
なんか一気に戻ったみたいだね～現代に」
しみじみと思い出に浸るかのようにゲンが呟いた。
半年ほど前に一瞬だけ灯った科学の光。
それが今日再び灯ったのだ。

たくさんの電球作りを終え一段落ついたカセキがここまでくるのに２ヶ月かかったと言うと千空は予定通りだ、と返した。
それを聞いてゲンはもしや……ととあるイベントを思い出した。
「もしかして今日って
クリスマスか……！！」
某宗教の記念日だが、日本ではほぼ単なるイベント……なのは置いといて。
クリスマスという単語を聞いて千空はそういやそうだな、と知らぬ素振りだがそれが嘘であることをゲンは見抜いた。
さしずめこのクリスマスツリーは千空から村人へのクリスマスプレゼントと言っていいだろう。
と、そこまで思考が進んだあたりでゲンはふと思い千空に小声で話しかけた。

「さては千空ちゃん
これであきらちゃん喜ばそうと思ってやったんでしょー？」
「あ”？ちげーわ」
え、違うの？とゲンは思った。
千空は電球をどうせ大量に使うならツリーにかけた方が使用法としてちょうどいい………と言っていたが、まぁこれは建前だろう。
それに……と千空は続けた。

「つーかあいつああいうもんに一切興味ねぇからな」
「ええーー？
またまたそんなこと言ってぇ
そうは言っても…………ほんとだ」
あきらがいた方向を見ると名前はコハク、スイカ達とツリーを見ながら談笑していたが、表情は至って普通だった。
宝石三人組はうっとりとしているのに対しあきらはどこか冷めている、とゲンは感じた。
「って千空ちゃん
何でそんな事知ってるの？？」
「…………」
ゲンに追及され千空は遠い昔のとある冬の出来事を思い出した。