「今日はここまでにするか」
作業を一段落終えた千空はあきらに声をかけた。
「おい、そろそろ寝るぞ」
「あーーー……それなんだけど
今日から別のとこで寝ることにしたの」
石神村にやってきてはや2週間くらい経ったがあきらはまだ倉庫で共に就寝していた。
「それは構わねぇが、どこで寝んだ
まさか地べたとか言わねぇよな？」
「言わないって
実はコハクのとこで寝させて貰える事にって」
あきらが言うには全村長のコクヨウと話をした際にそういえばどこで寝ているのだと聞かれ千空、クロムのとこにお邪魔していると話したら。
「何か年頃の娘が男と一緒に寝るのはあれだって言われて
まぁ、実際その通りだし」
一緒に寝させて貰っていたのはその当時村に立ち入れなかったからであり、その制限が解除された今一緒に寝る理由が無くなったのだ。
「……“ああ、分かった」
「んじゃあ、そろそろ私は村の方いくね
あ、後、色々と無理させてごめん」
あきらは千空が今まで一緒に寝させてくれたのはあくまでも仕方がない事で無理をさせていると感じていた。
千空は気にすんなと言ったがあきらは本心とはあまり受け取らなかった。


あきらが立ち去った後背後から声がかかった。
「あ～～あ、行っちゃった」
「何の用だ、メンタリスト」
振りかえり睨んだが、ゲンは相変わらず飄々としていた。
「千空ちゃんも素直に本心を言えばいいのにさ
無理なんかしてない！
君の事が好きだから一緒に寝たい！って言えばいいのに～～」
ゲンは千空を茶化したが千空は益々眉間の皺を深くするばかりだ。
「誰がんな事言うか
それに離婚したての奴が異性と寝てたら色々と不味いからな
コハクんとこで寝てくれるならそっちの方がおありがてぇ」
恐らくコクヨウが別の所で寝るよう勧めた原因の１つだろうと千空は推察した。
「ふーーん」
ゲンは理由を聞いて納得したのかしていないのかどちらか知らないが相づちをうったのち、そろそろ俺も寝ようかなーーと村の方へと歩みを進めた。(なお、ゲンは現在カセキの家にお邪魔している)
そういえばさ、とゲンは足を止め振り向いた。
「あきらちゃんが好きっていうのは否定しないんだね」
じゃ、とゲンはひらひら手を振って村へと帰っていった。
一方の千空は事実を指摘され僅かに舌打ちしたのだった。