山を少し登って見晴らしのよい場所まで出る二人は木の下で腰をおろした。

「ねぇ、皆連れて来なくて良かったの？」

こそこそと村を出てバレないように来たがそうする意味はあったのだろうか。
いや、千空の事だ、噂されたくないかもしれないけど。

「……前に星空見せてやるって約束しただろうが
忘れた、なんて言わねぇよな？」
思わずあきらは目を見開いた。
「まさか、忘れるわけないじゃん
そっちこそ忘れてるかと思ったけど」
「連れてくるって約束したんだ
男に二言はねぇよ
っと、これやる」

千空は竹筒に入った何かをさしだした。

「これ……何？」
「夜は冷えるからな
これでも飲んで体暖めとけ」
ほのかに生姜の香りがして暖かい。
素直に礼を言って飲むと少し暖まったような気がした。
ドリンクを飲みつつ千空と一緒に星空を眺めた。
星には詳しくないけれど現代よりも遥かに星は多い。
千空に解説されつつ星空を見てたわいもない話に花を咲かす。
この頃すごくもやもやしていたけれど、
少し気分が晴れたような気がした。
「……何か眠くなってきた……」
体が暖まったせいだろうか。
急激に眠気が襲い掛かってきて目蓋が閉じれなくなってきた。
ここで眠るのはまずいと思ったが、体の言うことが聞かずあきらは千空の肩へともたれかかってしまった。
それに対し千空は呆れるどころかほっと胸を撫で下ろした。
「やーーと、寝たか……」
そして、ごそごそと草むらに隠していた何かを取り出したのだった。