ギアを獲得しわたあめ機は金の細線を生み出す物へと変貌した。

「すごいよう、これ、楽チン！
これなら一人で一方向にゆっくりでいいし
ずーーっと回してられるよおおお！！」

銀狼がハンドルを回すような動きでぐるぐる回すのを見たクロムは何かを思い付いた。

「やべええええええ！！！」

カセキをひっぱりこそこそ内緒話をしていたと思うと突如カセキの服が弾けとんだ。


そして、クロムとカセキは携帯作りの作業を手伝わずに森へと消えてしまう。

「怪しいな！クロムのやつ
一体何を…………」

良からぬ事ではないかと疑ったが、千空とゲンはほっとけと言う。

「人に構ってる場合じゃねぇぞ！！
これからテメーら全員地獄の作業が待ってんだ」

千空はケケケと悪魔のような笑みを浮かべた。

「この金のわたあめをこよりこよりしてコイルに巻く極細線を作る！！」

コハクがどれくらいの長さを作ればいいかと聞くと千空は何と遥か遠くの山くらいまでと答えた。

とんでもない長さを作らねばならないのか…………

「ほんと無茶振りな事要求して………」

「結局マンパワーの人海戦術ね
ジーマーで村長になっといてよかったね
千空ちゃん……」

仕方がないとはいえ、凄まじいスパルタだ。

子供たちが率先して金の細線を作る作業を申し出た。

「スイカたちもお役に立つんだよ！！」

あきらも木を運んだりわたあめ機を回していたが、やはり日が落ちると作業は出来なくなる。

(そうだ、ごたごたですっかり忘れていたけど……)

「千空、お願いがあるんだけど……」

あきらは夜、千空に頼み事をした。
「何だ」

後は寝るだけなのだが、あきらはどうしてもやっておきたい事があったのだ。

「コハクたちから村のルーツを聞いたよ」

話自体は少し前に聞いていたものの、中々話すタイミングが無かった。

携帯作りで更に忙しくなる前に話しておきたかった。

「……白夜の事か」

「うん、どうしても実感わかなくて……」

話す機会は少なかったが、千空がスマホで発射中継をみていたのは覚えている。

あきらは先生が困ってると思ったが、千空は全く気にしない質なので注意は野暮だった。

「話が事実である以上もうこの世にはいねぇな」

千空は星を見上げた。

キラキラと光る星が映っている。

遥か昔白夜と見た星空と重なり千空は俯いた。

人にましてやあきらに涙は見せたくないのだ。


「あのさ、千空
お墓参り……してもいいかな」

「墓参り？？
いいが、何で俺に聞くんだ」

「だって村長は千空だし
白夜さんは千空の父親なんだから
息子である千空に聞くのが妥当でしょ」

千空はあきらの方を見て笑った。

「あ“あ、分かった分かった
ったく毎度律儀なやろーだ」