いよいよ、携帯電話作りの為本格的に動き始める……のはずだが、千空とゲンはわたあめの品評を行っている。

「何してんの？」

冷たい目で見ていると千空が解説した。

「ククク、慌てんな
それも重要だ
わたあめにムラが出来てるつーことは
金でやった時も同じようになるって事だ」

それは製品として使えない配線が出来上がるということ。

均一に真っ直ぐ仕上げないといけないらしい。

着眼点がいいクロムがわたあめ機の弱点を発見したが、改善をどうすればいいのか。

やいのやいの案をそれぞれが言い合ったが、解決には至らない。

「そもそも人手の問題もあるな
冬備えで人員が割かれる以上科学ばかりしてもらっても困る」

前村長の意見はごもっともだ。

「なら、カセキじいさんの手を借りるしかないな」

職人の腕を借り千空は何か部品を作らせた。

千空はコハクの盾の存在に気付き閃く。

「おっ、ちょうどこの盾サイズが合うじゃねぇか」

「そもそもその盾に合わせて部品作ったんでしょ」

考えなしに動く千空ではない。

しかし、その盾はコクヨウがコハクに贈った物。

父としては大事につかってほしいなと目線でコハクにサインを送ったが。

「ふむ……実用優先！！！」

自ら杭をうち盾にガンガン打ち込むコハクにコクヨウは思わず涙目になっていた。

「いやーーすごいね
コハク……やっぱ祖先の事とか気になって私には出来ないや……」

自分がもし仮に盾と同様な武術品を差し出せと言われたら間違いなく躊躇するだろう。

「コハクはコハク
お前はお前だ
気にする必要はねぇよ」

重んじるやつも必要だと千空は言う。

「…………ありがと」

あきらは少し照れくさくなり目線を反らした。