科学王国の発展を目にした氷月はここで叩くのではなく、一度帰って大部隊で潰した方がいいと判断し司の元へと帰った。

「ゲン君の報告は全て出鱈目です」

千空が村を発見するよりも、先に制圧しようと氷月を含む少数精鋭の部隊を送ったが、状況が変わった。
村は既に科学力をつけていた。
誰の仕業なのか、考えれば彼以外にはいない。

「生きていたんです
千空くんがーー」

そう報告すると、司の表情に部下の男は恐れおののいた。

「それと……死んだと思われていたあきらくんですが……
こちらも村に居ました、恐らくゲンくんが手引きしたのでしょう」


「うん……そうだね……
悪い予感が当たってしまったな」

しかし、司は焦る素振りも見せず淡々と対科学王国へと対策を練るのだった。


一方司帝国との戦いに備えて千空は村に足りない物を示した。

それは人手だ。

司帝国側が、どんどん人を復活させているのに科学王国は人数を増やせない。

それは石化復活液を量産出来ないからである。

そもそもの硝酸を作る時間がなく硝酸がなければ火薬すら作れない。

これは司にもバレている以上別の戦法をとるしかあるまい。

千空は科学を進歩させて先制攻撃しかねぇと言った。

「ハ！ならば座して待つほど不利になる
私も先制攻撃に賛成だ！」

同じくあきらもコハクと同意見だ。

「そうだね、先に攻撃を吹っ掛けた方が勝つ、これはいついかなる時も一緒」

意気揚々と攻撃を吹っ掛ける気満々の二人についていけないのか銀狼は冷や汗を流した。

「あ“あ楽しい科学の武器作ってからな」

勿体ぶってねぇで教えてくれとクロムが言う。

「ククク、泣いて喜べ
ついに現代技術のご登場だ
人類200万年最強の武器！
それはー」
と言ったところで、ゲンが核と言いかけてそれはないと自ら否定し千空も顔をしかめた。

そもそも作れる技術があろうと千空はそんな物は使わない。

「通信技術だケータイを作る
この石の世界でな、そそるぜこれは……！」

(？？？？？？はい？？)

ゲンとあきらは思わず言葉を疑った。

「ちょ、ちょっとあきらちゃんこの人何言ってんの！？」

「いや、訳が分からないよね」

ヒソヒソ千空の正気を疑う二人に対し携帯がどんなものか知らない村人はまだ実態を掴めていない。

ゲンが携帯……の詳細を話すとコハク、マグマ含める組は離れた場所でも話が出来ると聞いてどよめいた。

一方クロムとカセキはそんな技術があるのかと目を輝かせている。

コハクがそんなモノがどうやって役にたつのか聞くと千空は情報がいかに役に立つかを話した。

「通信が戦力差をひっくり返す！
例えば内通者が情報を相手側に伝えるだけで圧倒できる」

こちらには携帯が、あれど向こうには連絡手段がなく情報のタイムラグが起きる。

これを上手く支えれば司帝国無血開城すら夢じゃないと千空は言った。

(内通者……？)

銀狼が内通者なんてどこに……と言ったが千空は既に敵の懐にいるじゃねぇかと話す。

「大樹&杠、二人もよ……！！」

千空は村人にロードマップの絵を描くよう頼んだ。

「ククク、大樹の欲しがってたスマホがいよいよ爆誕だな、
まぁ、唯のhornだかな」


いや、こうも見ると本当に作れるのか……とあきらもゲンもまるで実感がわかない。

とは言え千空はあり得ない事を言う人物ではないから信頼はしてるけども。

「どんだけ遠くに見えようがな
再現性をたぐれば100億%ゴールに着く
それが科学だ……！！」