日本刀に石が敵うべくもなく見事に打ち砕いていく。

「くっそ……！！」

と思った矢先一人が気付いた。

「おい！こいつ刀じゃなくて木なんか持ってんぞ！！」

しかも女だ、これなら勝てるかもと思い突っ込んでいった。

それをあきら攻撃をさらりと避けて的確に敵の手を叩き武器を落とさせた。


(あの、顔……)

氷月はその少女を死んだと思われたあきらだと気づいた。

(何故……？)

一体何故この村にいるのか。

手引きしたやつがいるとは予想はするがまずは戦況を正さねば。

長く戦いを引き延びさねばならない。

(全く、この連中は全く使い物になりませんね)

日本刀にビビってあの有り様だ。

「さて、この私の貫流槍術に敵いますかね？？」

いよいよ、本命が動き出した。

全員が何も手出しが出来ないほど氷月は強かった。

(そもそも近接武器の日本刀は槍に不利だっていうのに……！)

加えてあのうねりのある槍先が面倒だ。

(どうする……？？)

その時茂みからゲンがひょっこり顔だして氷月に助言をした。

「村最強はマグマちゃん、コハクちゃん、金狼ちゃんの三人だよ～～～」

(いや、私入ってない！！)

とは言え村の一員と呼べるかどうかはわからないので正しいのかもしれない。

「あ、あとあきらちゃんは木刀だから相手にもならないよね～～」

思わずあきらはこめかみに青筋を浮き立て殺気を露にした。

「なんだと……？？おい、ゲン」

(ひいっ！睨まないでよ！！
演技だってば！！！)

ゲンは目配せで合図を送る。

三人で立ち向かわないと勝てる見込みすらないからだ。

マグマの巨体を囮にコハクは金狼の刃に足を乗せ高くジャンプした。

しかし、それでも尚対応してくる氷月にコハクは応戦しようとしたが、ぐるぐる回る槍先が捉えなれなかった。

それはつまり。

死を意味する。

「コハク……！！」

しかし、槍がコハクに触れる前にいきなり弾けてしまった。