遡る事約三日前、千空達は日本刀の製作にとりかかっていた。

「松の木を1200度で熱して紫色になったら……
叩いてそれを折り畳んで熱して……をひたすら繰り返す」

本来はその工程等に時間を要するのだが、見た目はさほど重要ではない。

問題はキレ味だ。

「後は刀の形にする」

千空が科学用語で何やら言っているがカセキ達には分からなかったがー。

「要は切り裂く刃は鋭く受けるうなじはしなやかに……そういう事じゃな？」

焼き入れをした刀身を水に浸けると温度差で一気に水が蒸発する。

刀身が出来上がった。

「どうだ？あきら
まぁ、使ってたやつには到底及ばねぇだろうがな」

あきらはカセキから手渡された刀をじっくりと見る。

「刀匠さんでもないのに、ちゃんと出来てるだけすごいと思うよ？
まぁ、見た目は置いといてさ」

後は実際に斬れるかどうだけど……

刀身は出来ても握りが無ければ握れない。

その他の鍔も作ってもらってようやく一本目の日本刀が出来た。

人数分もあわせてまだ作る必要がある。

少し時間はかかったが無事に人数分の刀を作る事が出来た。


「あきらが言っていた竹を持ってきたぞ」

こんなのでいいのかとコハクが持ってきた竹を受け取りあきらは頷いた。

「木でもいいけど日本刀って刃こぼれしやすいし折れやすいし
万が一でもそんな事起きたらしゃれにならないし…
まあ、とりあえず試し切りしないとね」

よく使ってたのは藁のやつだけど、いまからあれこれと作成する暇はない。

「あの構えはなんだ？」

コハクに聞かれ千空は答えた。

「ありゃ、居合い切りだ」

何回かあきらの練習を見た事があり居合い切りの練習をしていた事もあった。

「す、すごい圧なんだよ……！」

刀身も抜いていないのに、ピリピリと空気が揺れる気がした。

そして、一呼吸をしてあきらは竹に向かって刀を横に振りかざした。

スパン、と音がして竹が真っ二つに切れる。

「おっしゃ、切れ味は問題なさそうだな」

満足げに千空は言った。