ルリの話を聞き終わる頃には日が落ちて辺りは真っ暗になっていた。

「不思議なお話すぎてスイカにはどういう事か分からないんだよ？？」

だいたいを理解したクロムは補足した。

「おう、だいぶ何千年も昔によ
人類は全員石になったんだ」

クロム達は石像を見たことがあるが、それがかつて人間だったものだ。

「千空の親父たち六人だけが
宇宙にいたおかげで助かった
俺ら石神村の住人は全員……
その何千年越しの子孫ってことだ……！」

しかし、そうなるとコハク含め全員が千空の親戚となるのでは？と言われた千空は否定した。

そもそも千空と白夜は血縁関係ではなく系図だけとなるがそんなに時が経っていれば親戚と果てして呼べるだろうか。いや、否だ。

話している間に村長就任の宴が開かれていて早くこいと村民が言ってきた。

「行きましょうか、宴に」

ルリの促しで村の誕生の話はお開きになった。

「ほらほら、あんた達もこっち来て呑みなよ！！」

どんちゃん騒ぐ村民に無理やり引っ張られあきらとゲンは宴に参加させられた。

「おっ、あきらじゃあないか」

「あれ、千空は？？」

コハクに声をかけられあきらは周囲を見渡したが集団の中には千空はいなかった。

「ルリ姉に連れられて村の外へと向かったぞ？」

そっか、とあきらは寂しそうな目をして物憂げな様子だ。
「やはり、あきらはめっぽう可愛らしいな、いじらしいとも言うが」

えっ、とあきらは動揺した。

「ふふふ、どこかの科学にしか興味がない男に想いを寄せているのだろう？？」

「………………！！！」

ブンブン首を振って否定するが、コハクは追求に念がない。

「千空が結婚した時に失神したと聞いたぞ？
好き、なんだろう？？
さっきだって悲しい顔をしていたじゃないないか」

「気のせいだって、そんなんじゃないから」

それから色々と聞かれたがようやく話から解放された所で千空が帰ってきた。
ルリと何を話していたのかは分からないがとりあえず終わったらしい。
「聞かせてもらおうじゃねぇか、メンタリスト
何があった」

そういえば……とあきらも思い出した。

スパイに行っているゲンが村にやってきた目的は？？？
一瞬で空気が変わるのを感じ取りあきらは身を固くした。
何か嫌な予感がする。
「来るよ、司ちゃんたちが」

「ついに科学王国VS司帝国の始まりか」

「いやはや、司ちゃんって勘がするどいよね～この村をもし千空ちゃんが生きてたら発見してしまうって予想してさ～～
武力を集めたらここ襲撃するらしいよ」

武力……、もしかして私はそのつもりで復活させられたのか。

「そうだね、あきらちゃんもリストに入ってたと思う
でも、精神状態が良くなかったから司ちゃんも外してたけど
今ガンガン石化解いてる真っ最中だけど……司ちゃんと並んで特にバイヤー人がいんのよ」

氷月ちゃんって言うんだけど、と言ってあきらも彼の事を思い出した。

竹筒を通した槍を持って戦う男、それが氷月だ。

直勢面を合わしたことはないけれど、時期有力選手としてテレビでも取り上げられていた。

「ぶっちゃけ……そのどっちかでも来てたら……もう逃げるしかないよ」

戦闘力では司と並ぶ強者だ。
こないだコハクから聞いたが司にかなわなかった事を上げると…
勝ち目は少ないだろう。

すると、橋の方から銀狼が敵がきた！！と大声で走ってきた。

「えっ、もうやってきたの！？あいつら」

ゲンは金狼が闘っている相手を見て冷や汗をかく。

「って、金狼ちゃんが闘っているやつ……
氷月だ！！！」

何か嫌な音がした。

槍が人の血肉に埋まっている。

「金狼ーーー！！！」

金狼は橋を切って落とせと銀狼に言うが銀狼は泣きじゃくり出来ないと悲痛な叫びが響き渡る。

このままではーーー。

千空は突如カセキが持っている鉄の棒をぶん取り土を詰めてから反対側に火薬を入れた。

「クク、ラストの火薬をこんな時に使うはめになるとはな」

ゲンはジーマーで？と言うがマグマに石を投げるよう頼み込んだ。

「あ、そうそう、あきらちゃん
ちょっと、ここら辺に立っといてね～」

ゲンは氷月から見えない位置にあきらを誘導した。

千空は鉄の棒を敵に向けると発射される音と供にマグマが石をぶん投げた。

本来火薬だけで玉は入っていないのを悟らせない為の策だ。

「氷月ちゃん！！この村銃完成しちゃってる！！」

ぐいぐいと銃を持ち上げアピールしてゲンは村から去っていた。

「へぇ、君が……」

氷月は銃を持った男に注目する。

「ああ、伝えろ、司に
石神千空は生きてるってな！」