「ルリ！！！しっかりしろ！！」

急激にルリの容態が悪化しゴホゴホと更に咳き込むルリを見て村民は千空が飲ませた薬が原因ではないかと疑った。

そして、コクヨウが千空に掴みかかった所
何と千空は村人が言っている事に肯定した。

千空はルリの容態を見て何の細菌なのか判断し
説明を始めた。

「肺炎レンサ球菌、様のスペシャル技だな
つまりルリの病名は、肺炎だ」


一見普通の病気と思われがちだが、肺炎は恐ろしい。

人類の敵とも言える難病だ。

「サルファ剤は肺炎レンサ球菌をブチ殺す！
勝ったんだよ、人類の科学はよ……！！」

拳を握りしめて今まで原因が分からない物に
科学は勝利したのだと千空は喜びを顕にする。


「原因が分かりゃ後は問題ねぇ！
薬をがんがんぶちこめば容態は落ち着くはずだ」

しかし、コクヨウは言う事が信じられず
むしろ殴りにかかったのをコハクが止めた。

「父上これは妖術なのではない
科学という人類の英知の結晶なのだ」

そして科学共に千空という人間を信じていると父に告げクロム、金狼、銀狼、スイカ、カセキたち千空と接してきた人間全てが頷いた。

信じてくれ、と。

コクヨウ含め村民に訴えかけた。

「…………、お前たち……」

それから千空、クロムは大急ぎで薬を生産しルリに飲ませまた夜が明けた。

コクヨウの眼に朝日に照らされ真っ直ぐ自分の力で立つルリの姿が映った。

「ルリ、ルリ……！！！」

もう長くないと覚悟を決めたあの日。

父として涙を流すまいと決めていたが
コクヨウは涙を止められずうずくまったのを見てコハクやジャスパー達も涙を流した。

クロムもルリの命が助かり良かったと
無言でルリや周りの村民を暖かい目で見守る。

(痛く、ない………)

大きく胸で空気を吸い込み呼吸した。

(むしろ、気持ちいい？？)

深呼吸や走った感覚も忘れるほど病を患っていたルリは涙を浮かべて爆走した。

コハクもやんちゃだが、本来は姉妹共通らしい。

村の救世主と今度こそとコクヨウ達は千空を長として認め堂々と次期村長を紹介した。

「千空こそがこの村
石神村の新しい長だ……！！！」